2023.11.26

何年も続いた苦しいことから解放されて1年以上たって、それでもまだ完全に癒えていないことが罪に感じる。夢に出る、道を歩くのが怖い、美術館に一人で行けない、そこまでのことが果たしてあったのかと言われるときっとそんなことはない。良いことも悪いことも同様に、たくさんあったはずだけど、まあ、悪いことしか覚えていられないし、良いことだって悪いことを想起させるという意味で嫌な思い出になるものだ。

昔好きだったスタイルの絵が描けなくなったのが、誰かのせいなのか、誰のせいでもないのかもわからない。もし私が大人気絵師だったら、あの頃の絵は描かないのですかとマシュマロで言われてそのまま自殺していたかもしれない。トラウマだ、もう描けない、もう描けない。

幼い頃からの諸々のせいで自分は普通の人間ではなくて、誰かからの加害を求めていた。誰かを加害者にしてしまう性質があると言われた。知っている。知っている。知っている。知っている……今はもうしない、煽ってない、そう信じているのにいまだにただ、待ち合わせをしているだけで、一人で歩いているだけで、知らない人から下品な言葉を投げかけられたりする。だからもう私は怖くて、一人で大きな街を歩くことができない。そういうことをするのが、とても好きだったのに。

美術館が好きなのに、一人で行くことができない。無意識に避けていた。この前人と美術館に行く機会があって、そこで周りの男性を観察するのはやめた方が良いと注意されて初めて、自分がどれだけ恐怖していたのか、だから行きたい展示があってもどうしても行けなかったのだ、ということを知った。

悪いことは全部夢に出てくる。物心ついたときから今までのこと全部。けれど、ここ1年くらいのことは出てこない。幸せが壊される幻覚は出てくるけれど、実際に起こった苦しいことというのは出てこない。夢に出るほど苦しいことなんてほとんどないからだと思う。基本的にここ最近は過去の苦しみを想起させられて苦しんでいることばかりで、新しい過剰な苦しみが襲いかかってきたりはしていない。

それなのに、少し寒くなった、少し眠れなくなった、そんなことで一気に精神が揺らぐ自分に嫌気がさす。寛解してきたからこそ、精神の揺らぎを強く感じるのだろうと思うから、いいことかもしれない。揺らいでいると言ったって、少し前と比べたら信じられないほど調子がいいと言っても、全く過言ではない。それは私が物心ついたときから病気だからであって、望ましい状態ではないということも、今であればわかる。

精神科でもらった薬を毎晩5錠飲んでいる。朝には2錠。まあこれは発達障害の薬だから仕方ない。それに加えて子宮に病気があるので低用量ピルも飲んでいて、アレルギー体質なのでアレルギーの薬も飲んで、必要なのかわからないけど醜形恐怖なので美容内服も飲む。苦しいときには頓服も飲む。10錠ぐらいになる。子供の頃にあまりにも頭が悪くて市販薬を何十錠も飲んでたから余裕だ。アホか。そのときに死んだらよかった。いいや生きていてよかった。

自律神経が生まれつき弱めなので(幼い頃からだし、家族全員そうなので本当に遺伝だと思う)チルトトレーニングというものをしている。これをしないと失神する。この前は部屋で失神して倒れてたんこぶを作った。びっくりした。チルトトレーニングは万能ではないけど、やらないよりマシなのでやっている。結構苦しい。普通の人は苦しくないらしい。毎朝20分がこれで奪われる。

お金がないので、昇進のための試験勉強を必死でしている。今まで勉強をまともにしたことがなかったから本当に難しい。ちょっとだけ人より勉強が得意だから、適当でも平均以上の場所にずっといられてしまったし、今だって私みたいな環境の子達の中ではかなり上澄みの場所にいる。こんな待遇で上澄み……? 格差社会を感じて苦しくなる。昔から勉強できる環境だったらなあと思う。小学生の頃から不眠と過眠と希死念慮と家庭の問題と発達障害となんか色々とずっと戦っていて、全然それどころじゃなかった。

うつ病が寛解し始めて、私は意外と真面目らしいとわかった。勉強もなんだかんだしている。もちろん私が定型であれば、もう少しやれただろうと思うけれど、それでも、子供の頃と比べたら目覚ましい進歩だ。喜ぶべきことだ。変に真面目なのは特性のせいという見方もあるけど……それ故に鬱が加速したという見方もあるけど……。

最近夢見が悪くて、起きれない。寝ぼけがひどい。自分は布団で横たわっているということが分かりながら、頭の中の声と現実でなっている音の区別がつかない。とはいえ1〜2週間前とかよりマシだから少しずつ良くなってはいる。もっとひどい時は触覚まであって、気持ち悪くて苦しくて頭がおかしくなる。眠剤を減らすのは早かった……いつか飲まなくていいようになりたいのに。

悪夢を見てもいい、けれどせめて、現実に起きていないことに置き換わってほしい。今まで本当に起きた苦しいことを思い出させてくるのは、あまりにも、あまりにもひどい。脳が自傷を求めているのか。幸せになるなと言ってきているのか。今まで通り苦しめ、変化をするなと。

変化というものはそれが良いものであれ悪いものであれ、体にとっては同等にストレスらしい。現実が良い方向に変わってきてるから、きっと体がストレスを感じているんだろう。病休をとらなくてはいけなくなったのも、むしろ今まで感じていたストレスから解放されたことによる負担があったのだと思う。今は過渡期なのだと信じて、幸せに慣れる日が来ると信じて、起きている間ぐらい幸せを享受しよう。今日もストレッチをしてチルトトレーニングしてその間に英単語なんかやりながら、ご飯食べて、勉強して、ちゃんと1日を過ごそう。

明日から職場復帰訓練が始まる。地元の美味しいお菓子屋さんにお菓子を買いに行って、私の穴を埋めてくれたみなさんにお礼を言う。楽しみ。

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