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うちが好き


高台の一軒家に
住んでいた。

裏には
国有池があった。

私たちが住み始めた
頃は自然の池で
下の方で
稲作をする人たちの
為。
渇水時に
水を提供する目的の
貯水池だった。

しかし
ザリガニとりに来る
子どもたちもいて


何人かの子どもが
溺死したとか。

夏の前は
ウシガエルの鳴き声が
うるさい。

従って
私の大嫌いなへびも
いる。

野性味溢れる場所だった。

息子が生まれ
色々話を聞いて
万が一池に落ちても
浮いていられる位の
水泳の能力を持たせないとまずい。

浅知恵の私は
息子をスイミング
クラブに入れた。

当時
顔に水が
つくだけでも嫌な
息子は
スイミングクラブの建物が見えると
泣きわめき嫌がる。

命がかかっているのだ。
私は心を文字通り
鬼にして通った。

暫くすると
水泳の楽しさが
わかったのか
友だちが出来て
楽しいのか
スイミングクラブに
嫌がらず通った。

時は流れて
貯水池の機能を果たし終えた池が大々的な改修工事に入る事になった。
宅地化して農地は
なくなったのだ。
池に面している
我が家を入れた5軒が
補助金を貰って
擁壁を造る事になった。
家は建てて貰って
いたが次々に家屋の改修をしていたので
またしても感が
拭えない。
既に家が一軒建つ位の
費用を負担していた。
しかし

擁壁をついた事で
一段下に新たな土地が
出来た。
姑が畑をしようと
言ってきた。
池側に階段をつけた
ので姑がいつでも
来られるようになったのだ。
家族に無農薬の
新鮮な野菜を食べさせる事が出来るのは
魅力的だった。
結果
チャボも飼う事になり
器用な舅が小屋を作り上げた。
連作の出来ない野菜が
ある事などを学びながら色々なものを
作った。どれも採れたての野菜は美味しい。
じゃがいも等は
本当に美味しかった。
タバコを吸う姑が
タバコの吸い殻を
水に入れて作った
液体が農薬変わりに
なるとか?凄い。
苺は
"明日はこれがおやつ
だね"
と楽しみにしてると
"あ~あ!"
息子が言う
"1番大きいのナメクジが食べちゃったね"

広いベランダを池側に
つくり
日曜のブランチは
いつもここで
楽しんだ。
桜の季節は花見。
花火大会では
真正面に花火が
上がる。
バーベキュー大会を
兼ねて社員がやって
来る。料理が得意な私は15名位のもてなしは平気だった。
しかし
夫が病に倒れ
段々と先が見える
ようになった時期
一軒家を維持するのは
女手一人では
大変だから
街中のマンションに
移った方がいいよ。
と息子が言い始めた。
確かに
窓を大きくとった家は
光が入り放題。
風は吹きわたる。
台風時は何かと
大変だった。
両親もあっさり認めて
くれて
あるマンションを
購入した。

大濠公園の花火大会が
屋上でみられる。
オール電化で
床暖房が売りのマンションだった。
このマンションを設計した
1級建築士の女性を
信頼している友人から
紹介されて友達になった。
ここから私の人生が
またしても波乱を呼び起こす事になった。
詳しく話せないが
残念な事だった。

好きなうち探しが
始まった。

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