見出し画像

桜の季節

桜の花が咲くと
街が華やぎ心嬉しい。
毎年
1日でも長く咲いていて
欲しいと願って暮らす。

花見などもう何年して
ない?忘れた。


夫の介護をしていた頃
母と二人で花見に出掛けた。
福岡の桜の名所で
とても暖かい天気の良い
1日で弁当を食べて
寝転がると青い空に
桜の花が咲き乱れ
二人で顔を見合わせ
思わず"綺麗ねぇ"と
詠嘆した。
目を瞑るとその日の
光景と母の優しい笑顔が
眼前に広がる。
美しく懐かしい!!
今年の春母はいない。

涙が溢れる……。
息子の
入学式に行き京都でみた
桜の艶やかさ….哲学の道
を歩き疎水にハラハラと
まい散る桜の可憐さ….
母は96才の人生を全う
して春を待たず逝った。

桜の季節に思う
母の面影は私の中で
益々大きくなり寂しい。

私の辛い介護生活のある日
海に行った。
母と弁当を食べたら
突然母が
"バカヤロー"と叫ぼうって
いい始めた。
普段の母からは想像も
つかない言葉だったが
二人だけの海…..何度も
沖に向かって叫んだ。
"バカヤロー"って!!

最後は二人で大爆笑した。

それ以来
私はバスに乗り
玄界灘に向かって
"バカヤロー"と何度か
いいに出かけた。
気持ちが開放されて
最後はいつも笑っていた。

今日は花冷え
体調不良でベッドの中に
ずっといた。

桜の季節に思う母の事
もっともっと生きていて
欲しかったなぁ!
亡くして強かに知る
母の大きな愛情をだ。 

「さまざまの
  事思ひだす さくらかな」

        芭蕉

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?