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玉子焼き。

私は給食を
食べた事がない。

公立の小学校にも
まだ給食制度が
導入されてなかった。

どんだけ昔の人って
話になるが。事実だ。
必然的に弁当を
持って通学する。
偏食が酷かった私は
嫌いな物が詰め合わせ
られていた。
完食したか先生から
チェックされる
システムが両親からの要請で構築されていた。 
そんな中
玉子焼きが大好きで
必ずお弁当に入って
いるのが唯一の救い
だった。

玉子焼きは甘めが
好きだ。
塩と砂糖の絶妙な
バランスが大事。
 
中学校から
汽車通学する事に
なり
学校は県下のあちこち
から通学する生徒の為に
昼休みが2回あった。
1回目の休みに
先ずは持参のお弁当を
食べる。
お手伝いのKちゃんが
作る玉子焼きメインのお弁当が好きだった。

必ず美しい玉子焼きが
入っていて皆から
注目されていた。
"美味しそうやね?"
"食べてみる"と
気前のよい私だった。
中休みが終わると
短い昼休みは
食堂でうどんを食べて
満腹感で幸せだった。

結婚すると
玉子焼きが大好きな
夫の為にお弁当を
作った。

1人息子が月曜
寮のある学校に帰って行く時は
これまた玉子焼きを
入れたお弁当を
持たせた。

寮に入り
ちょっと世間の風に
触れた息子が
当たり前にあった  家庭の味を喜んでいる
姿に成長を感じて
幸せだった。

全国から生徒が集まる
学校だったので
週末には友だちを
連れて帰る事も
多々あった。
若い食欲は
見ていて嬉しい。
作り甲斐があり
多幸感に満たされる。

玉子焼きは
私の幸福の象徴だった。

今は昔。

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