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紫陽花


一軒家に住んでいた。

家は建てて貰っていたが
網戸がない。雨戸がない。
門がない。カーポートがない。ないないだらけ。
前の道は3.78㍍の私道で
3軒先で行き止まり。
丘の上にあり
友だちに"〇〇のチベット"
と揶揄されていた。
池の上に建っていたので
後に
国有池の改修工事が
決定した後は補助金を
貰い擁壁をついた。

十分、一軒家が建つ程
リフォームもしていた。
が、当時は
末っ子が可愛くて堪らない
姑の過干渉に悩んでいた。
"建ててやった家に住んでいる"と何かと云われていた。
未熟者だった私は
とても嫌だった。
こちらの都合に
お構い無しに
やって来ては同じ話を
延々と聞かされる。
決まったオチになる迄
続く話は食傷気味だった。
好きな場所で
漬物食べてでも
家族3人で暮らしたいと
願っていた。
感謝の足りない私だった。
と、今は思える。

そんなある日
紫陽花の可愛いピンクに
誘われて小さな鉢を
購入してきた。

リビングに飾り
楽しんだ後 
庭に植えた。

土地に合ったのか年々
大きくなった。

ピンクの可愛い花が
ジャングルのように
増えた。

すると
道を通る方から
"1枝分けて頂けませんか?"と声をかけられる事が
多くなり 
あちこちに貰われていった。

紫陽花は
酸性の土ではピンク

アルカリ性の土ではブルー
になる。と云われている。

うちの子たちも
貰われていった場所で
各々の色合いで
たおやかに咲き誇り
豊かな空間を形成していた。

紫陽花の季節になると
あの家で過ごした
家族の華の時間を
懐かしむ。
嫌な事は昇華され
今や楽しい思い出しか
残っていない。

花言葉。
青〓辛抱強い愛情
ピンク〓元気な女性
白〓寛容

私は断然ピンクです。
白〓寛容な方の出現
待ってます。アハハ




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