南瓜とマヨネーズの『ハギオ』

お疲れ様です。初瀬です。

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題名の漫画、読んだことありますか?映画はまだ観てませんがすごく好きというか、わたしの頭の中、身体の中に染み込んで抜けない作品で20代の頃は事ある毎に本当によく思い出していました。

30代になり、読み返す事もなくなり部屋の本棚の隅で背面が日焼けして薄くなりながらそっとおいてあります。

そんな作品を、思い出してしまったのは昨日の夜にわたしが生涯のうちでいちばん愛した男から連絡がきたからなのです。

もう二度と連絡を取ることは無いと思っていた男。いちばん愛した男。その全てが好きだった男。匂いも顔も声も身体も性格も、透明と思えるようななんの光も感じない何も見てないような眼も。誰一人として彼には適わなかった。

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もう二度と会うことは無いと思っていた男からの「元気?」のLINEはこわくて既読を付けられずにいた。

数分後、悩んで「どうしたの?」と返信すると

「おー!返ってきた!」と嬉しそうな返事が送られてきた。

私の住む町とは別な町で暮らす彼は、仕事の出張でこの町へ来ていたらしい。ふと、私のことを思い出して連絡をくれたらしい。

約5年ぶりのやり取りは、些細な近況の報告なのに嬉しかった。

「死ぬ前に1回会おうよ?」と言うと二つ返事でOKをもらえた。

今から少しドライブ付き合ってと誘うと、いいねー!と乗り気だった。

宿泊してるホテルの前まで迎えに行くとすぐに降りてきた。

最後に会った時と何ら変わらないルックスの彼が見慣れないスーツを着ていた。

ドライブしながら、他愛も無い話をした。単純に楽しかった。昔なら耐えられなかった彼の別れた恋人の話も笑って聞けた。

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昔と何も変わらない透明な光のない眼を見て、何も変わらない細い身体を見て、少し癖のある声を聞いて、どうしてもこの人を嫌いになれないんだと確信した。

付き合いたいとか結婚したいとは思わなくなったし、嫉妬もしなくなった私はすこしだけメンヘラを抜け出して大人になれたのかと思った。

大切な大切な恋人がいても、固い意思を持っていたとしても、わたしのその意思をぐにゃぐにゃにしてしまう事が出来る唯一の人間だ。

それは、例えるなら「南瓜とマヨネーズ」のハギオなのである。

どうしようもなく好き。

ただそれだけ。

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彼の幸せを願うことは出来ない。

愛してるが故に。

彼の幸せの中にわたしがいないなら、不幸になって欲しいと思う程に愛してる。

彼の幸せにわたしは入れないから、不幸を願うことしか出来ない。

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死ぬまでにあと1回、還暦の時くらいにまた会おうと口約束をした。



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こんなに人間を愛せるのかと、幸せに思える。




いつか、彼の口から

私を愛してると聞きたくて、長生きしたいと思えるのだ。



こんなに人を愛することが出来たわたしは、幸せなのだと思う。





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