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口癖

私たちは、生まれてすぐに話せたわけじゃない。
だけど、周りの人たちの言葉を聞いて、真似をして、話せるようになった。そうして、たくさんの言葉に触れながら今日まで生きてきた。そんな言葉の中から選んだものが、今の私を作っている。

めんどくさい

正直、こんな言葉を選んだ記憶なんてないんだけどなぁ。
いつからこの言葉を使い始めた? 本当に覚えていない。だけど、気がつくと口癖になっている。考え方までめんどくさくなった。人から見てもめんどくさいのだろうと、自分を卑下する。そうして何年も何年も培養液のように”めんどくさい”という言葉の中に浸っていると、自分自身がめんどくさいで出来ているような気がしてくる。あぁ、だめだ。またこんなこと考えてる。本当は使いたくないのに。

この言葉のおかげで、どれだけやる気を無くしてきたか。

言葉は麻薬だ

いい言葉も悪い言葉も、全て自分が一番近くで毎日毎日聞いていると、不思議なもので自分はその言葉と一体になってくる。それがまさに洗脳なのかもしれない。自分で自分を洗脳ってできるんだねぇ。とのんきなことも思ったが、これがなかなか強敵で、めんどくさいと一日中思っていれば、何もやる気が出なく、人と関わるのも嫌になってネガティブ思考に突入してくる。

あれ、おかしいな、朝あんなに早く起きれていたのに、寝坊ばかりしている。お菓子も食べなくなっていたのに、今じゃお腹いっぱいになってももっともっと詰め込めるまで詰め込もうとしている。無性に硬くて醤油の濃いおせんべいが食べたい。極厚の大きなザクザククッキーが食べたい。カカオ濃いめのチョコレートが食べたい。一人じゃ食べきれない大きなピザポテトが食べたい。どうしようもなく、自分じゃ抑えきれない衝動にかられる。

どれだけお腹いっぱいだろうが、満腹感がない。感覚がない。ねぇこれって本当に私??? 誰かが操っているんじゃないの? ねぇ、いい加減にしてよ。なんだよこれ。何かに操られているように、体は動く。精神も蝕まれる。やばいやばいやばい……。頭の中ではわかっているのに体が言うことを聞かない。あれ? 私前もこんなことあったわ、って言うかこんなことばっかりだった。自分をコントロールできなくて、完全に夜型生活の運動不足で日々ストレスを抱えてる、その時の私の思考はもっとやばかった。

誰かのために何かをする意味がわからない

「感謝をしなさい」

去年まで一緒に働いていた人から常に言われていた言葉。その頃の私は、本当に自分のことしか考えていなかった。

感謝って何? どこからくるの? 何それ、美味しいの? 意味がわからない。どうして感謝をしなくちゃいけないの。周りは敵だらけなのに。そんなの感謝をするだけ損。本当にこの人は何を言ってるのかわからない。自分以外に信じられるものなんてないのに。

批判的で、トゲトゲしくて、誰にも頼れず甘えられず、仕事も一人でなんとかしなくちゃ、一人で生きていかなくちゃ。理解してくれる人が数人いれば、他には何もいらない。みんな私を傷つけにくるだけじゃない。私は悪くない。
今思えば”刺される前に刺す”みたいな危険思考だった。心も体もボロボロで、頼ることも知らず、一人で当たり前のように周りの人たちを利用していた。やってくれて当たり前だから感謝する意味もわからない。それなのに、自分は「やってあげたのに、お礼くらい言えよ」と思ったりしていた。

その時の口癖は、本当にひどいものばかりだった。

当たり前、だって、どうせ、でも、あかんの? 、ええんや・・・、ややこし、そんなん、何が楽しいん? 、最悪や、おもんない、はらたつ、アホや、言わんかったらよかった………などなど。

書いてて悲しくなってきた。こんな言葉毎日言うてたら、そらろくな人間にならんわ。

言葉には力がある。わかっていたのに、この沼から抜け出すのは、本当に苦しかった。無意識で使っていた言葉とおさらばするのは本当に根気がいることだった(相手が)。
隣で私の口癖を聞いていた相手は本当にしんどかっただろうなと思う。なのに、この人は、根気よく、「あ、またみどりその言葉使ってる!」となんどもなんども言ってくれた。最初は腹が立っていた私も、そのありがたさにようやく気付き、「この人に嫌われたら私は終わりや」と理解してようやく受け入れ始めた。

心も体も健康に

この時の私はあまりにも不健康だったので、とりあえずジムに行くことにした。体を鍛える事で、少しずつではあるが、感謝を感じるようになってきていた。体を鍛えれば心も自然と健康になるのだと、この時初めて知った。今も毎朝体操して体を動かしてはいるが、生活習慣が崩れ出してきている。そろそろ見直しのタイミングなのかもしれない。

あの時、あの同僚に出会わなければ、今の私はなかったんだと思うと本当にゾッとする。自分一人で根気強く自分と向き合う勇気はなかった、だけどそのおかげで、今私は自分を見つめることを教わった。

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