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Is Ben Simmons LeBron James ?  / ベン・シモンズはレブロン・ジェームズなのか?

 平均 17.9得点 9.4リバウンド 7.1アシスト 2.1 スティール 0.9 ブロック(日本時間12月3日13時時点)。ルーキーとは信じがたい、というか、すでにこれオールスター級だろうと思わせるスタッツを残すベン・シモンズ。その得点・アシスト・リバウンドなど全方位に発揮される支配力から、レブロン・ジェームズと比較する声もちらほら出てきています。ベン・シモンズはネクスト・レブロンなのか?シモンズとルーキー・レブロンを比較するとどうなるのか?スタッツから迫ってみたいと思います。今回は基本スタッツに注目していきます。

以下,データは全て日本時間12月3日13時時点におけるNBA.com/Statsのものを使用して解析しています。

 まずは得点を比較してみます。シモンズの平均得点は17.9点ルーキー・レブロンの平均得点は20.9点です。ではここから「ルーキー・レブロンの方が得点力がある」と結論付けてよいのでしょうか。ここで得点のヒストグラムを作ってみると次のようになります。

ルーキー・レブロンは13試合で30得点以上を記録しています。一方シモンズは今季(出場21試合)ここまで1回のみ。爆発力という観点では,ルーキー・レブロンの方が(現時点では)優れていた,と読み取れるかもしれません。

また,ルーキー・レブロンの平均得点は20点超ですが,17得点前後の試合が最も多かったことが分かります。これはシモンズの場合も同様で,彼も17点前後の試合が最も多いようです。安定感という観点では,むしろ平均(17.9点)に近い得点をコンスタントに残すシモンズの方が優秀とも考えられるかもしれません(次の得点の確率密度グラフを参照)。

(↑試合に出場したとして何点とる確率がどれだけあるか,を表している。例えば17点くらいとる確率はベン・シモンズの方が高いが,30点以上とる確率はルーキー・レブロンの方が高い,と言ったことが読み取れる)

ルーキーの平均17.9点以上は,シモンズ以前で言うと16-17ジョエル・エンビード(20.2),15-16タウンズ(18.3),12-13デイミアン・リラード(19.0),11-12カイリー・アーヴィング(18.5)などの現スコアリング・スターたちが達成している。シモンズにもそのポテンシャルが…?!)

 次にアシスト数のヒストグラムを見てみましょう。シモンズは平均7.1アシストルーキー・レブロンは平均5.9アシストです。

ルーキー・レブロンは79試合に出場して,10アシスト以上が6試合ありました。シモンズはなんと,出場21試合時点で10アシスト以上を4回達成しています。アシストの確率密度グラフ(次図)からも,シモンズの方がたくさんアシストを記録する確率が高いことを示しています。これはシモンズの方がレブロンよりもアシスト能力に秀でていることを意味するのでしょうか?

もちろん,そうとは限りません。アシストとはパスを受けた選手が決めて初めて成立するものです。パスをすることよりも得点を取ることを期待された選手は,パスできた場面でも自分でシュートを撃たなければならないかもしれません。アシスト数のみでその選手のアシスト能力を測ることはできないでしょう。しかし少なくとも,シモンズにはレブロンに匹敵する,あるいはそれ以上のアシスト能力を持つ選手になるポテンシャルを持っていることは確かではないでしょうか。

(そもそも「ルーキーが平均7アシスト以上を記録」することがすさまじい。ルーキーの平均7アシストの直近の前例は,11-12のルビオ(8.2 / ※出場41試合),10-11のウォール(8.3)であり,その前となると05-06のクリス・ポール(7.8)まで遡る。パスに定評のあるエリートPG級のスタッツをシモンズが残していることは事実である。あと,ロンゾ・ボール(7.1)も

 リバウンド数はどうなのでしょうか。ヒストグラム(次図)を見ると,10アシスト以上を記録した試合数でシモンズ(11試合)はすでにレブロン(7試合)を超えていることが分かります。平均リバウンド数もシモンズの9.4とレブロンの5.5で,大きく差があります。

もちろん一概には言えませんが,やはりシモンズは身長が大きい分リバウンダーとしての素質は高いのかもしれません。というかルーキーの平均リバウンド数が9を超えるもなかなかないことで,直近で言うと15-16のカール=アンソニー・タウンズ(10.5),10-11のブレイク・グリフィン(12.1),そして08-09のケビン・ラブ(9.1)です。これまたエリート・ビッグマンが名を連ねる敷居に,シモンズは足をかけているのです。

 ディフェンシブ・スタッツはどうでしょうか。スティールとブロック数を足したものについて確率密度をグラフ化して,二人を比較してみましょう。

シモンズ(平均2.1スティール&0.9ブロック)の方が,ルーキー・レブロン(平均1.6スティール&0.7ブロック)よりもスティール&ブロックで良いスコアを残した試合が多いことが分かります。実はルーキーが平均2スティール以上を記録することも,これまた滅多なことではなくて,11-12のルビオ(2.2 / ※出場41試合),08-09のマリオ・チャルマーズ(2.0),そして05-06のクリス・ポール(2.2)が直近です。ルビオとクリス・ポールが出てくるの2回目ですね…。

 と,いうことで,基本スタッツについてルーキー・レブロンとシモンズを比較してきましたが,シモンズは,レブロン個人との単純比較というよりも,むしろ各スタッツのエリートたちとそれぞれ比較すべき存在なのかもしれません。ルーキー・タウンズやルーキー・アーヴィング級の得点力を持ち,ルーキー・クリス・ポール級のアシスト力を持ち,ルーキー・ケビン・ラブ級のリバウンド力を持ち,ルーキー・ルビオ級のスティール力を持つ。そんな可能性を感じさせるのがベン・シモンズという選手です。

 一方で,そんなシモンズに引けを取らないスタッツを残していたルーキー・レブロン,彼は当時高卒19歳のルーキーでした。そんなレブロンがこれだけのスタッツを残したことは,非常に驚異的です。彼は現在,エリート・スコアラーの得点力とエリート・リバウンダーのリバウンド力とエリート・パサーのアシスト力とエリート・ディフェンダーのスティール力を持つ存在として君臨しています。シモンズがレブロンを凌駕するのかどうか。とてもワクワクします。

 次回はシモンズとルーキー・レブロンのシュートエリア&シュートタイプについて見ていきます。その前に予習を。これをご覧ください。

これはルーキー・レブロンのショット・チャートです。さまざまなエリアからシュートを放っており,点の取り方もオールラウンドであると感じさせます。一方でシモンズはこうなります。

シュートエリアが,極端にペイントゾーンに集中しています。これは,異常です。レブロンと同様にスタッツ全方位で活躍をしているシモンズですが,そのシュートエリアはオールラウンドからほど遠く見えます。むしろビックマンのシュートエリア,いや,ビックマンとも違う不思議なチャートをしている気がします。おそらくこの「シュートエリア」が,シモンズとレブロンの最大の差異,もっと言うと,シモンズとその他の選手を分かつポイントとなるのではないでしょうか。

 ということで第2弾はこちら。


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