【記事後半ネタバレあり】アサツグトリ感想

Nintendo Switch版『アサツグトリ』クリアしました。

最初にネタバレのない感想を述べて、後半にネタバレあり感想を書きたいと思います。
前後でネタバレ有無を分ける理由としては、「気になるけどプレイするか迷ってる」という人への一助になれば良いなという想いからです。

※ここで言う【ネタバレなし】はシナリオ面に配慮したものになっております。
※プレイ時間やプレイした感覚の話を見たくない場合は閲覧を避けてください。

ネタバレを避けてゲームの感想を見たい方はスクロールにご注意ください。

<ネタバレなし感想>

私は好きだけど、高評価は与えられないな……というのが率直な感想です。
理由は以下の通り。

(1) 値段の割にゲームボリュームが小さい
私はところどころ結構悩みながら進めましたが、プレイ時間は30時間程度でした。
このゲームは会話パートと探索パートを繰り返しながら進めるのですが、私の場合はプレイ時間の多くが探索パートでの試行錯誤の時間になりました。探索がうまくいかなかったら主人公のヒバリちゃんの能力で時間を戻し、同じ時間を何度も繰り返しながら事件を解決していくのですが、自由に戻りたい時間を指定できるわけではなく、あくまで“ ヒバリちゃんが戻りたいと思っている時間に戻る”ので必要な情報が得られる時間まで待機するような状況もあるわけです。
同じ時間を繰り返す点と待機する点があるため、実際のプレイ時間に対する本筋のシナリオは短くなってしまい、ゲームボリュームが小さく感じてしまいました。
手こずらずにサクサク進められたらプレイ時間かなり短くなりそうな気もします。7000円でこのプレイ時間は物足りないかも……。

(2) テンポが悪い
これは私の責任でもありますが、探索パートで毎回手こずってしまうのでシナリオに気持ちが乗りづらくなった印象を持ちました。
ただ、探索パートで手こずった理由としてゲームシステムの悪さも挙げられます。探索パートでは各キャラが時間によって様々な行動をしているのですが、キャラの移動は“ 現在地からパッと消えて次の場所にパッと出る”といった方法で行われるので、行動を追うのが非常に面倒になります。また、常に全員が行動しているわけではないので、その点も非常に紛らわしくなっております。そういうシステム面の悪さに加え、前述の「待機する時間」もあったりするのであまり気持ちよくゲームさせてくれません。
でもヒバリちゃんの苦悩をプレイヤーも一緒に感じられてるのは考えようによっては良いのか?そうか?
あと、これは現段階(2021/12/14)ではアップデートで解消されていますが、プレイ中に頻繁に5~30秒程度フリーズするのでプレイ中のストレスはなかなかのものでした。進行不能になることはありませんでしたが、かなりキツかったです。

(3) サポート機能が乏しい
この点については、私はむしろ良かったと感じています。ただ、最近の傾向には則していないかな……って印象。
探索パートの目的となる行動のヒントが少し前の会話パートにあったりするのですが、一度探索パートに入ってしまうとその会話を振り返る術がなくなってしまいます(こまめにセーブ分けてたらそこからプレイするとかできますが)。しっかり会話を覚えていないと何をしたらいいのかわからなくなって、しらみつぶしに行動しなければならなくなったりするかも……。
他にも、こういうゲームによくある「セリフの重要な部分に色が付く」とかもないので、あやしいと思ったらちゃんと覚えておかないと後悔することになります。
こういう難易度の高さ、人によってはむしろ歓迎されるかもしれません。

以上、私が高評価を与えられないと感じた理由になります。
でも、過酷な環境を通じて個性的なキャラクター同士が心を通わせていく様はとても楽しかったので私は満足してますし、その点こそがこのゲームの魅力なのではないかと感じています。

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-------------ここからネタバレあり感想------------------------

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<ネタバレあり感想>

このゲームはプレイヤーがどこに主眼を置くかで感想が変わってくる印象を持ちました。

少女たちの関係性構築や成長物語として見ると魅力的な作品だと感じるかと思います。私はこちらがメインだったので、この作品を“好き”と感じました。
対して、綿密に組まれたシナリオを期待したり、推理小説のようなミステリー要素を期待している場合はあまり良い印象にならないかと思います。

私が感じたシナリオ面の不満点は以下の通り。
●誘拐関連の説明が不足している。
「なぜこの8人?」については、たぶんPSI発現率が高そうな人が集められたんだろうけど明言はされてない。作中に複数回この疑問が挙げられてるんだし、説明はあるべきだと思った。
「どのように誘拐された?」については本格的にわからない。これも作中で挙げられてたから説明してほしかった。薬で眠らせたりしたにしても、目覚めたタイミングとか考えるとほぼ同時期に誘拐したんだろうけど、トノガイ単独じゃ無理では?
こういう点が気になって、エンディング後も少々スッキリしなかった。

●この事件、根本的に解決してないのでは?
トノガイ曰く「期日を迫られるから時間遡行の力が欲しかった」とのことだが、これはPSI研究が人知れず大きな組織の下で進んでいるということになる。この組織がどういうものなのか全く触れられずに終幕するので、あんまりスッキリ終わった気がしなかった。トノガイのこれらの発言が嘘なのかもしれないけど、それにしては大掛かりな施設があったり多くの資料があったりするのでそういう組織はいるんだろうなぁ……って。

●PSIの扱いがあまり上手くない。
正直、終盤の展開をやりたいが為にPSIが用意された感が否めない。
殺人に使えそうな能力が少ないってのはあるけど、ただでさえストーリー短くて事件少ないんだからもう少し目立たせても良かったのではないかと感じてしまう。まあ登場人物みんなが言ってた「あまり知られたくないから迂闊に使えない」=「目立たせることができない」になるんだけど、終盤くらいしか目立たないのはもったいないよ。
フヅキがドッペルゲンガーと一緒に荷物運んでたようなああいうのをもっといろいろ見せてほしかったな。

でも前述の通り、キャラクターについてはとても魅力的だと感じました。
最初の事件以降、スズとフヅキがしばらくギクシャクしてたけど、ヒバリの行動やフヅキの勇気で関係性が改善したところは一連の流れがとても良かった。プレイヤーにある程度長めにギクシャクを見せてたから、和解後の安心感が心に染みました。
トウカの考え方も好きだったなぁ。良し悪しと好き嫌いを分けて考えられるところと、それが周囲にうまく伝わってないところのチグハグさがもどかしくもあり愛おしかった。
スズの成長途中の未熟さというか、浅い策士のようなところがとても好きだった。エノとふたりでヒバリ救出の準備してるとことか、脱出直前にブスの話してるとことか、スズ自身が自分の強さと弱さをしっかり理解した上で動こうとしてるのが本当に良かった。

トノガイから逃れるために何度も同じ時間を繰り返すけど全部ダメで諦めそうになるヒバリちゃんに対してみんなが「私たちを頼って」って言うところ、めちゃめちゃ最高だった。予想できる内容ではあったけど、それでも心に響いたよ。(その後の死んだみんなからタグ借りるループのとこでめちゃくちゃてこずって心折れそうになったけど……)

そういうキャラクター同士のやりとりは本当によかったと思う。

ただ、本当にボリュームが小さい……。
普通にクリアするだけでスチルも全回収できちゃうし、普通にループしてたらだいたい全部会話見ることができる。
そして1周するのにそんなに時間がかからない。

あと、シナリオが割と王道展開というか、わかりやすい展開なので想像した通りに話が進んでいって“ 予想外”ってことがなかったのも残念だったな。
マチネが内通者なのは最初からかなりわかりやすかったし……。

このゲームには確かに良い部分はあるんだけど、それすらも“シナリオが短い”という点や“ システムが悪い”という点で大きく減点されてしまう。
7000円出せばもっと良いゲームたくさんあるからね……。

お金と時間と心に余裕のある人はやってもいいゲームだと思います。

好きなんだけど評価しようとするとあまり褒められないね。

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