関野佳介「映画のおかげ出会えた旅(7日目)」
2023年11月10日(金)
10時ごろ人の声が聞こえて目を覚ましたものの、寝不足気味で眠い。共有スペースで國吉さんと丹治さんが話していた。たしか國吉さんは午前中に出ると言っていたことを思い出し、挨拶しなくてはと思い部屋を出る。
私は明日からの土日で三島に行き、三島満願芸術祭の撮影をする仕事がある。そのため勝呂さんにお願いして一泊分滞在を延長してもらった。だから他のふたりの旅人よりも、結構のんきな午前中を過ごしている。
でもせっかく起きたので日記を書き始める。途中國吉さんが出発するとのことで、丹治さんと勝呂さんと一階まで見送る。國吉さんのピンクのダウンジャケットが見えなくなるまで、3人とも駅の方を見つめていた。
日記を再開する。映像と合わせて大体いつも2時間近くかかっているので、終わった頃には13時を過ぎていた。
展示の在廊から帰ってきた丹治さんが、ご友人と一緒に車で出発する。今度も勝呂さんと下まで見送りをして、車の姿が小さくなるまで手を振った。こうしてひとりずつ減っていくと、寂しさが強調される気がする。すると横にいる勝呂さんも同じことを言っていた。
シャワーを浴びてGotemba Apartment Storeに展示を観に行く。昼食がまだだったこともあり待望のナポリタンを注文して、先に腹ごしらえ。滞在中会った少なくない人たちがこのナポリタンの話をしていて、私もついに食べられて嬉しい。玉ねぎやピーマンなど具がたくさん入っていて、とても美味しく満足だった。ちょうど私がお店に来たときに、バーカウンターで森谷さんと鈴木さんが話していて、ふたりにも最後に挨拶をできて良かった。
森谷さんとは御殿場で映画祭が出来ないかという話もした。現実として工夫しないといけない点や、資金面の問題など、地域にとって良い効果をもたらしながら継続的に開催できるまでにはさまざまな課題はある。けれど今回の滞在で行った場所、出会った人たちを見ていると、全く根拠のない夢物語でもないような気がしている。
夕方、マイクロアートワーケーションのチラシをウェブサイトからダウンロードし、コンビニで印刷した。一昨日話したマウント劇場の大家さんご夫婦に、私がなぜここにいるのかを説明するためだった。私が作家活動をしていることを伝えると、続けられるよう頑張ってくださいと言ってもらった。
夕飯は勝呂さんと「友達」という飲み屋へ。JPさんとそのご友人たちもいて、笑いの絶えない時間だった。馬刺しに初めて挑戦した。普通のものよりレバーとハラミが美味しかったけれど、JPさんには変な馬刺しデビューしちゃったねと言われた。たしかに変化球すぎたかも。
勝呂さんと宿に帰り、映画の話をした。私と勝呂さんはきっと映画の好みがかなり違う。でも相手が好きな作品を否定することではなく、こうしてコミュニケーションを取って一緒に過ごすことで、自分の知らない世界に出会えるということもお互い分かっているような気がした。勝呂さんが「自分が興味ある人の好きな映画は僕も興味あるもん」と言っていたことが、何よりも根本で、他者と出会うことについての話だと思った。MAW最後の夜、勝呂さんと映画の話ができて良かった。
最後に空っぽの劇場を映像に撮り、荷造りをした。明日は朝から三島に向かうので、夜のうちに勝呂さんに挨拶。またここ戻ってくるために、お別れはあっさりと。
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