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香川裕樹「都会とは異なる許容値」(2日目)

・三保地域を歩いて出会う地元の方々にマイクロアートワーケーションやアーツカウンシル静岡の説明をするがほとんどの方が、なんなのかあまりよく分かっていないご様子。 
 あらかた想定はしていたが、こういった地域を巻き込んだ文化芸術事業は大きな話題性や予算の使える大きな規模感でないと、地元の方々には認知されないのだなと思った。ただ、私の周りのアーティストなど文化芸術に対して感度の高い人には知られつつあるので、継続していくことで数年後にイベントや展覧会などの何かしら目にみえるかたちで地域に還元されていく予感がする。


・清水・三保地域は「人がいい」と聞いていたが、それを実感する出来事がいくつかあった。
 
庭先などで急にこちらからお声がけしても、あまり警戒されていない印象がある。都市部だとセールスや押し売りだと勘違いされたり、用もないのにウロウロしていると不審者扱いされてしまうのだが、この辺りはどなたも丁寧かつ親切に受け答えしてくださる。そのような態度だけでこの街がいかに安全で安心なのかを漠然とだが測り知ることができた。
 
 初日の夜に地域のお祭りに参加してお神輿を担がせていただいた時、参加者の中に他の方と身なりや雰囲気が異なる方がいらした。地元の方がその方に対して、分け隔てなく接していたことや休憩中にその方にサッと灰皿を差し出す姿がとても印象的だった。その方と他の方との関係性は詳しくはわからないが、祭りという名目のもと集いみんなで神輿を担いでいる光景に都会とは異なる許容値のようなものを感じた。


・商業施設やリサイクルショップ巡りは地方に行った時の楽しみの一つでもある。
 こちらのホームセンターではエスカレーターではなく「動く歩道」という名称の踏み面が平らなものが導入されていた。(画像参照)調べてみたところ性質上、傾斜を緩くしないと滑る恐れがあるために設置空間がエスカレーターの数倍も必要とされる欠点があり、結果的に売り場面積などが犠牲になるので、導入される施設が郊外型の大型施設などに限定されるとのこと。見慣れないものに対する好奇心は、旅人独自の視点であり、物事の背景や成り立ちがたちあがって見えてくる瞬間はとても新鮮だった。

 夜に遠出して立ち寄った温泉施設の休憩室は全面タイル張りで、隅に大きめの壺が置かれていた。お客さんが誰も利用しようとしていないのが、とても良かった。

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