櫻井麻樹 「数々の始まりと終わりを繰り返しながら」(滞在レポート まとめ)
御前崎から帰ってきてまだそんなに日はたっていませんが、早くも身体が東京に慣れ始めています・・・・御前崎の土、風、空、植物、海、食べ物などなど、あの自然を身体が素直に感じれていた時が懐かしい。
東京に戻って次の日のリハーサルで、身体の反応がやや鈍い…これはネガティブな部分ではなく、本当にあの土地の心地よさに心も身体も浸る事が出来ていたという事だと思う。身体にゆっくりと流れていく時間がまだ残っていたからだと思う・・・御前崎に行ってみてわかったのがみんな明るく、陽気なオーラを身にまとい外から来た人を受け入れてる性質を持つ人が多いいという事。もはやちょっとした海外といってもいいくらいで、中にはハワイとか、カリフォルニアだとかいう人もいました。日照時間も長く、一年を通して雪は降らず、比較的暖かいそんな場所である。サーフィンを愛する者が移住してくる事も多く、移住組も排除することはせず、一緒に存在しようとしてくれる温かさもあり、環境を大事にし、野菜を育て、中には自給自足で生活している人もいて、海と宇宙(月や星)とのつながりなどの話も聞くと、もっと以前人がまだ自然に根付いていた生活をしていた頃は自然をもっと感じ心も身体も会話もできたんじゃないだろうかと感じさせてくれる土地でした。
そうかといえば思えば、原子力発電所が立ち、自然との真逆のベクトルの存在もあり、その恩恵を時には受け、またそれも変わりつつある場所。色々なものが入り混じったそんな独特の場所。
御前崎にはまだ「文化芸術は根付いていない」と社会教育課文化芸術担当の清水さんやOMAEZAKI STYLE CLUBの人達は言っていたが、短い時間の滞在の中でも、そのポテンシャルの高さは感じました。
というのは僕が思う芸術というのは、人が日々を豊かに生きるためにその失いかけた豊かさを改めて気付きなおすためのきっかけをくれるものだったり、その豊かさをさらに広げていくために必要なもの、そして日々を自分で主体的に生きていくための力を育んでいくために必要なものだと思っています。
その第1歩目としてまず「そこに」気付いてもらう、そこまでが果てしなく大変であると感じていて、御前崎に住む人は自分で生きる楽しさを見つけて、それをやり遂げる逞しさを持っているし、その大切な1歩目の要素を持つ方が沢山いるなと感じました。
深掘りツアーのみきさん
芋掘りの富田さん
GOOD DAY COFFEEののざきさん
日本、または海外のミュージシャンが集まるなごみカフェ、
皆が自然体で楽しめるIPPUKU HOUSE 椿さん
市民文化祭、
丸尾記念館のお茶会
おんぱく
おしごとはくらんかい
・・・などなど。
そこで出会った人、味わった体験がそう思わせてくれました。
もっと細かくジャンルを見ると、上に書いたように音楽は結構広がっていて、
絵などの美術の分野
やダンスの分野もまだ行われているように感じました。
そこで演劇となると・・・・少し前には作品を創って上演をした所もあったと聞きましたが、今回御前崎をまわった感じだと、演劇をやっているイベント、人は見ませんでしたし、やはりなかなかその辺りは難しいなと感じました。
ホールとしては市民会館(文化祭をやった)、小劇場クラスの劇場がもう一つあるとか(最終日に聞いたので見に行けませんでした・・・)
でもこうやって芸術に触れる機会、芸術イベントがちょこちょこ開催されているので、次の2歩目として、イベントが開催されているのを知らなかったという声もちらほら聞いたので、その一つ一つのコミュニティーをもっと整理して市民の方が把握しやすくして、もう少し気安くみんなが立ち寄れる環境を整えて整えて行ったらまた変わっていくんじゃないかと思いました。
整えていくという点では、今回お世話になったOMAEZAKI STYLE CLUBの方達は昨年、今年とおんぱくをやり、今年はおんぱくの期間中におしごとはくらんかいも同時に主催したというとてもバイタリティーあふれる人達が集まっているし、一つ一つの企画も面白く、手伝ってくれる人達とのつながりも広く思えました。
今後もどんどん広がっていきそうな予感を感じつつ、あとは行政とのかかわり方だったり、OMAEZAKI STYLE CLUBの皆さんがさらにどこに向かっていくのか?
それがもっと見えてきたら、とても面白い未来になりそうだと思っています。
もちろんそんなに簡単な事ではないと思いますが・・・・
私自身も何か一緒にできたらなぁと思ってます・・・楽しみです。
イベントを続けていく事といえば御殿場のアークラ大サーカスの企画を思い出したのですが、御殿場ではアートフェスティバルをまず10年続けると決めて、芸術を根付かせるために頑張った結果、コロナという事もあったのですが10年をめどに一度ストップして(疲労したというのもあるみたいですが)また始めたと聞きました。その間には行政が入る事によって自由が利かなくなってしまうなどの問題も出てきたらしいですし、今では行政無しでやっている(確か・・・またはあまり補助を受けずに?)・・・・そしてようやく今の規模まで出来るようになったと聞きました。(今年の話も聞いたら、去年は人が来過ぎて駐車場に車を止められなかったりバスに乗るためにかなりの行列が出来たりなど、人はかなり来ましたがその分クレームもあったようで、今年は駐車場は予約制にしたら混乱はなくなったようですが、来客数は去年の6~7割くらい?だったと聞きました、人が減った原因はどこにあったのかは詳しくはわかりませんが、でもフェスとしてはこのくらいの人数が適正だったのかも?という声も、ただお店を出していた人達はもう少し売り上げが欲しかったと言う人達もいたみたいで、そういったところも難しいバランスだといってました。
OMAEZAKI STYLE CLUBの方達との話し合いの中にも行政との関わり方について話が出た時もあって、そのあたりの課題も話していました、根付かせるのには御殿場の例もあり時間がかかる・・・もちろん環境は違うので簡単には言えませんが、継続してやり続けていく事から色々な課題が見つかりそれを修正していって少しずつ良くなっていくものだとも思います。
個人的にはMAWで関わった御殿場と御前崎の交流も見てみたいと思いました。
2回目のMAWの参加としては
前回は富士山文化ハウスの皆さんがMAWになれていたという事もあってすべて身を任せてやってみようと思ったのですが、今回は少し積極的に自分のやりたい事があったら聞いてみようと思い、市役所の方と文化芸術や教育の事など話したいという事をお伝えしたら、そういった時間を取って頂いたり、その時間があったからこそOMAEZAKI STYLE CLUBの皆さんとの意見交換会の時間にむけても自分なりのテーマを見つけて有意義な時間となりました。
MAWの楽しみ方はそれぞれで本当にのんびり過ごすのもいいと思いますし、創作に使うのもいいと思います。
ただ僕はやっぱり演劇などを通して人が楽しく生きていくために地域の人達との協働の可能性を探したかったというのが大きいですし、改めて自分には何ができるのか・・・それを探す旅となりました。
御前崎で出会った旅人、額田さん、市川さんとはアーティストとして活動するテーマに共通するものがあったりしてそれが滞在する上でとても力になりましたし、それぞれの目線での地域の課題を話せたのも大切な時間でした。
こうやってジャンルの違うアーティストと交流できるのもMAWの魅力だなと改めて感じました。
こうやって僕らが感じたみたいに、静岡の色々な場所でそれぞれの出会いがあったと思うと、全部聞いてみたい気もします!
滞在中にはすでに来年何かイベントをするのが決まった地域もあると聞いたり、昨年のMAW同期の安里さんは御殿場で主催の展示をしたり、他にもMAWで繋がった方達がイベントをやったと聞くと、ちょっと焦りは出てきたりはしますが・・・でも焦らずに地道に人と地域とかかわっていきたいです。
毎回素敵な出会い、体験、気付きをくれるMAW、今年も終わりましたが、
ここからまたスタートで、この先も交流し続けられたらと思います。
OMAEZAKI STYLE CLUBの皆さん
旅人の皆さん
機会を頂けたアーツカウンシルの皆さん
久々立ち寄っても受け入れてくれる富士山文化ハウスの皆さん
本当にありがとうございます。
そして御前崎に行けてよかった。
また御殿場で御前崎で色々な場所で会いましょう!
櫻井麻樹
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