心臓ちょっと、どきどきしてる、お酒のせい
初めて呑んだアルコールの味を、その後しばらく心が美化し続けていた。
どこにでもあるような安い居酒屋で出された、至って普通のカルーアミルク。ごろんと大きな氷を1つだけ浮かべたパステルブラウンはお酒らしくない、ほんのり甘くて上品な匂いを漂わせていた。
ドキドキしながら呑んでみると、淡くて心地良いカフェオレの奥にきゅんと感じる微酔の火種。するすると喉に癒えていくその感覚を、何とか舌で絡めとる。
ハタチを迎えた誕生日の夜。帰り道の夏風は妙に涼しく思えたが、まだ「酔う」とい