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桜の花が散ったら。

会いに行く。
会いに行かない。

そんなことで迷っていたら、二度と会えなくなった。
行っても行かなくても、結果は同じだったということか。

会いに行くことで、「その日」を最後の思い出にしたかった。
最後にひと目、会いたかった。

会いに行かないことで、「あの日」を最後の思い出にしたかった。
「またね」という言葉を、終わらせたくなかった。

会いに行く。
会いに行かない。

あの日とその日の違いはあれど、対立する2つの想いは同じ。
どちらも「思い出」を大切にしたい、ということなのだと気づいた。

あなたを忘れない

対立する行動の向こうには、共通する想いがあった。

どちらの行動を取っても、求めていたことは同じ。
あなたに会いに行かなくても。
あなたに会いに行っても、あなたに会えても、会えなくても。
結果、私はいまだに、あなたを忘れられずにいる。

あの日、満開を迎えた桜の花は、それから1週間、咲き続けた。
名残惜しさにも似た、美しく儚い時間が、ゆっくりと流れた。
桜の花が散っても、なお想いは去り難く。
小さなさよならを幾つも重ねて、いつになったら本当のさよならができるのか。

そして、また次の春。
桜の花が咲いたら。

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