アイドルになるまで

今日は私がしてしまった悪いことについて書きます

これを読んで、御守ミコ最低だな、とか、自分勝手だ、とか、もっと周りの人を大切にしろ、と思う人が沢山いる(というかそう思われて当然)と思うんだけど、書きます。



前にTwitterにも書いたけど、わたしはどうしても心がしんどくなって、失踪してしまったことがあります。去年の夏のことです。


どうしても勉強したいことがあって、留年してまで大学のコース変更をしたのにコロナで学校に通えなくなったこと、人にあまり良くない感じで付きまとわれてしまい警察にまで行ったこと、その他色々なことが去年の春に重なってしまい、毎日引きこもって一日中寝ていました。外に出られないので、病院にも行けず、本も読めず、絵も描けず、ご飯も食べれませんでした。

そして、このままだったら死んでしまうなと思いました。


失踪したい、誰もわたしを知らないところに行きたい、という考えに取り憑かれて、毎日毎日朝から晩まで「失踪 方法」と調べていました。

そして、わたしはそれを実際に実行してしまいました。


保証人なしで入れる家賃2万円台のシェアハウスを見つけ、親にも周りにも黙って荷物をまとめて引っ越しました。

インターネットで身につけた知識で、家族に居場所を知られないよう、事前に警察に「親から捜索願が出されるかもしれないけど、事件ではなく自分の意思で引っ越しました」と電話をしました。

こういう事はたくさん考えられたのに、周りの人の気持ちはなにひとつ考えられませんでした。家族からの連絡も、数少ない友人からの連絡も、全て無視し続けました。

娘が自殺したと思い泣きながら探しに来た親は荷物のなくなったアパートを見てびっくりしたと思います。

警察の人からは「親御さんが探しに来たよ。自分でちゃんと話をしなさい。まだ若いんだから真っ当に生きなさい。」と電話がかかってきました。


シェアハウスに住んでいた人達は、すごく社交的で健康的な人達で、「保証人がいない」というわたしに対して、「自分が保証人になるよ」と言ってくれました。休みが合ったらみんなでご飯を食べたり、毎週大掃除をしたり、地域のイベントに参加したりしていました。

それでもわたしはそのほとんどに参加することが出来ず、心が落ち込み、ただただ寝ていることしかできませんでした。


誰も前のわたしを知らないところに、何も責任が無いところに来て開放されたはずなのに、ただ生きているだけで、あの人に似ている顔や声の人や、美術館のポスター、楽しそうにしている同世代の人を見る度に色んなことがフラッシュバックして落ち込み、気持ちは明るくなりませんでした。

そして日が経つにつれて、「わたしはこの先どうなるんだろう」という気持ちがどんどん大きくなっていきました。

このまま人とまともに関わらないまま、大学も辞めて、身分証もなく、どうやって生きていったらいいんだろう、毎日辛くて死にたい消えたいと思っていたつもりだったけど、野垂れ死んだらどうしようと心配をしていたのでほんとは死にたくなかったのかもしれない。 

数十年後かに家族がいなくなってしまったとき、それをわたしは知らずにいるのか、と思うとなんとも言えない気持ちになり、それでも今の生活からどうしたら普通の生活に戻れるのかもわからず、気持ちは良くならないままほんとうに抜け殻のように過ごしていました。


そして、なんとなくInstagramを眺めていたときにきのホ。のオーディションの広告を見て、受けました。2次審査の動画を撮った部屋は、自分の家ではありません。

どうにかこの生活から抜け出したい、という藁にもすがる思いで受けて、合格しました。

これでやっと、普通の人間になれる。太陽の下に出られる、と思いました。絶対に前の生活には戻りたくない、戻らない。


わたしの行方を心配して、東京からアパートの様子を見に来てくれた友人がいました。父親は「生きていてくれればなんでもいい」と言ってくれました。

そのすべてをわたしは、「自分は誰からも愛されない」と思い続け跳ね除けて、見ないようにしていました。

本当に悪いことをしてしまったと思っています。


なんだかまとまらず、暗い感じになってしまったけど今のわたしは毎日とても楽しく、元気に過ごしています。

この前のライブで約2年ぶりに親に会いました。

友人にもアイドルになったよと報告をしました。


今でもまだ、昔のことを思い出して苦しくなったり、眠れなくなってしまうことは沢山あるけれど、ライブのことや、みんなのためにしていることで忙しくしているときは頭の中がそれでいっぱいで、嫌なことは考えずにいられます。

これからどれだけ辛いこと、大変なことがあろうと、その全部を合わせても去年までの生活より幸せだろうと心の底から思っています。