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受け皿

例えば、遠く離れたふたつのものの影の先端が丁度重なる瞬間や、人為的でなく等間隔に並んだ落ち葉や石ころ、人間でない誰かのものかもしれない痕跡など、そういうものを見るとわたしは別の場所に行ける。それを受け皿とわたしは呼んでいる。


人為的に行ける方法もある。

自分の顔を粘土で模したものをかべぎわに立てる。そしてその顔に見られながら服を脱ぎ机の下に入る。するとその顔が大きくなり、机ごとわたしを包んでくれる。

わたしを呼ぶ声がしても、そこにいれば全て守られる。全て大丈夫になる。何をしても許される。


現実に戻ろう現実を見ようと何度言われても、同じものを見ているとなぜ言えるのかわからないさっきの1秒と今の1秒は本当に同じ長さなのかもわからないわたしが10秒活動している間にもしかしたら宇宙人は寿命が来て死んでいるのかもしれない見ているものが本当に存在していると誰も言えないわたしにとってはわたしの見ているものが全てでそれが世界で現実、わたしは受け皿の中を何度もしっかり見ている