【みつきとかぶき_Vol.1】五月大歌舞伎編

(歌舞伎鑑賞ツアーのようなものを企画しました!そこに参加してくださる方向けの記事です。無料ツアーですので公開します)

この度は一緒に歌舞伎をみてくださり、ありがとうございます!
なかなか鑑賞するにあたってのハードルが高いと感じられやすい歌舞伎ですが、大好きな歌舞伎をもっとたくさんの方と楽しめたらいいなと思ってお声がけをしました。
お応えいただきうれしく思います。とても簡単な拙い解説ですが、少しでも観劇の際の楽しみのヒントになればと思いますのでご参考になさってください。

そもそも歌舞伎とは

日本の伝統芸能の一つで歌舞伎そのものが重要無形文化財に指定されています。数百年の間に様々な形式の変化がありましたが、現在は江戸時代の「野郎歌舞伎」を受け継ぎ、男性のみが役者を務めています(一部の子役を除く)。
演目は大きく分けると踊り(舞踊)とお芝居(狂言)の2種類があります。ただどちらの演目にも物語があるので、それをあらかじめ理解して観るとわかりやすく、グッと歌舞伎が身近に感じられると思います。

歌舞伎を楽しむポイント

歌舞伎の楽しみ方は人によって違うともいえるほど、いろいろなところにあります。
例えば初めてご覧になる場合は、豪華なお着物や迫力のある舞台背景、綺麗なお化粧、隈取りに目がいくかもしれません。また歌舞伎の舞台は、生演奏なので生の和楽器の音や唄の声が心地よく感じるかもしれません。まずはなんとなく目で見て、耳で聴いて、劇場空間を楽しんでみてください。

とはいえ、舞台の上で何が起こっているかも当然気になります。
台詞回しが難しく聞こえるかもしれませんが、日本語のわかる方であれば誰でもある程度は理解できる言葉になっています。最初は違和感があると思いますが、少し頑張って聞いているとちょっとずつ聞き取れて、思ったよりくだけた内容に拍子抜けしたり、笑えたりするでしょう。
台詞を理解する時に大きな助けになるのがあらすじです。お話を知っていれば出てくる言葉も大体予想がつくので、さらにわかりやすくなります。
歌舞伎の物語は、現代の感覚からすると理不尽だったり、あまりにも悲しかったりすることも多くあります。そんな場面での俳優の演技は、表情や仕草などに感情がにじみ出るようで、まさにお話の中に引き込まれてしまいます。
その一つ一つが楽しめるようになると、もっといろんな演目、俳優が見たくなるのではないでしょうか。

特に十八番といわれる、特定の俳優が得意とされる演目では、見せ場のシーンになると客席全体がその瞬間を楽しみにし、「待ってました!」と文字通り声がかかります。これは「大向こう」といって、歌舞伎を盛り上げる掛け声です。
大向こうは俳優が登場する場面でも、屋号(その役者の家を表す名前)が掛けられます。今は新型コロナウイルス感染症の感染対策のため、大向こうのない劇場ですが、決め台詞見得(みえ:大袈裟にゆっくり動くことでストップモーションやクローズアップのような演出になっています)にはいつもより大きな拍手が湧き上がるので、ここだ!とわかると思います。
アニメや特撮、そして現代のお芝居にも受け継がれるお決まりの展開、待ってましたのあの場面、というわけです。

今回のお話:「三人吉三巴白波」「土蜘」

どちらも有名かつ分かりやすく、見どころの多い作品です。

まず「三人吉三巴白波」(さんにんきちさともえのしらなみ)は、簡単にいうと、3人の吉三(きちさ)と名乗る白波(=盗賊)がひょんなことから知り合い、義兄弟の契りを交わすものの、実は3人は悲しい運命ではなから結ばれていた…という物語です。
登場人物は主にこの3人(とその家族)です。今回は3人の出会いの場面のみですが(歌舞伎は長いお話の一部のみを上演することが多いです)、その先の展開や登場人物の関係を予習しておくとより楽しめる、はず!

こちらが分かりやすいのでご参考まで!
http://enmokudb.kabuki.ne.jp/repertoire/662

この作品の魅力は、なんといっても個性豊かな3人の吉三、お坊吉三、お嬢吉三、和尚吉三、それぞれのキャラクターです。
それこそ現代のアニメやアイドル、特撮ヒーローにも通じる三者三様の吉三達の姿はとっても華やかです。

特に女装した盗賊であるお嬢吉三の二面性、ギャップ、艶やかには心を奪われること間違いなし。「こいつぁ春から縁起がいいわぇ」の台詞は、きっとどこかで聞いたことがあるのでは。この台詞の時には万雷の拍手が響くことと思います。楽しみ!
今月演じるのは、現在テレビにもよく出演されている若手の尾上右近(おのえ・うこん)さんです。本名からケンケンと呼ばれています。
今回は3人とも若手の役者が演じますが、これは実は珍しいことです。しかも全員初役(はつやく:初めてその役を演じること)とあって、ドキドキです。どうなるんだろう〜〜〜〜〜
和尚吉三の妹おとせを演じる中村莟玉(なかむら・かんぎょく)さんも物凄く可愛らしいので必見です。通称まるる、苔玉(こけだま)ちゃんとも呼ばれたりする。

そして「土蜘」ですが、こちらは踊りのお芝居です。セリフもあり。元がお能の作品なので、最初は少し難しく感じるかも。舞台も「三人吉三」とは打って変わってシンプル、松羽目物(まつばめもの)と呼ばれ、能舞台のような大きな松の前で演じられます。
しかし、大きな立ち回りや和製スパイダーマンとでもいうべき演出にすぐ釘付けになると思います。主人公は土蜘の精です!人間じゃない!!ダークヒーローともいうべき土蜘の迫力ある流れるような動きにご注目。最初は僧侶に化けている土蜘の影の演出もお見逃しなく!
演じるのは尾上松緑(おのえ・しょうろく)さん。「土蜘」に出演するのは、「三人吉三」のメンバーからするとふた回りくらい上のお兄さん世代、中堅どころの俳優さんです。とってもパワフル!これも歌舞伎では若手寄りの配役。

松緑さんの「土蜘」への思いはこちら。
https://mainichi.jp/articles/20210423/k00/00m/200/104000c

土蜘が襲う源頼光は、ドラマ「半沢直樹」での演技も記憶に新しい市川猿之助(いちかわ・えんのすけ)さん。猿之助さんのお芝居はとにかくエモーショナルで引き込まれる要素が多くて、個人的にも大好きです。
どんな頼光なんだろう!ミッキーも実は猿之助さんの頼光は初めてです。
上で書いた内容からうっすら?伝わっているかもだけど、歌舞伎では一つの演目をいろんな俳優が演じ、受け継いでいくので、同じ役でもこの俳優さんでは見たことがない!ということもあり、また「三人吉三」のように初役を見る、ということもあります。これもまた歌舞伎の楽しみです。

いかがだったでしょうか!

少し参考になったかな…?あとはとにかく全身で体感して楽しんでください!わからないところはわからないなあでOK!
劇場にも初めての方はたくさんいらっしゃいます◎

それでも不安な時の強い味方、イヤホンガイド!これは観劇中も耳元で、この役者は誰、今こんな場面、この唄ではこんなことを説明している、と手取り足取り教えてくれる優れものです。
当日劇場で借りられます!!!!!

使い方や利用方法はこちら
https://www.eg-gm.jp/e_guide/usage_individual.html

幕間には歌舞伎座もご案内予定です。
ソーシャルディスタンスを保ちつつ、安全な観劇を第一に当日は楽しみましょう〜!
これから参加したい!という方は今週末5月16日の一部のチケットを購入してかんだみつきのTwitterまでご連絡ください!!!
公演案内&チケット詳細:
https://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/play/714/

それでは当日歌舞伎座でお会いしましょうー!!

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