雨よ降れ
雨の日か、晴れの日。
どっちが好きかと聞かれたら全力で晴れの日と答える。
太陽がさんさんと降り注いでぽかぽかの日、自然とご機嫌になれるし、なんとなく元気でいられる。
雨は嫌いだった。
でも最近は、雨も良いかもなんて思い始めている。あるシチュエーションにおいては。
2013年公開、新海誠監督の作品。
新海誠監督といえば、「君の名は。」はやっぱり夢中で観たよなあ。
"愛"よりも昔、"孤悲"のものがたり
というキャッチコピーの「言の葉の庭」。
タカオとユキちゃんの二人のストーリーに欠かせないのがやっぱり"雨"だった。雨が降っていれば会える二人、雨が降っていないと会えない二人。ロマンチックだなあ。
好きな人に会えるんだったら、たとえ嫌いだった雨だとしても、頼む!雨降ってくれよ!!!なんて、思っちゃうよなあ。きっと私もそうだ。
ただそこに居てくれるだけでいい。
その存在そのものが自分にとって救いになるわけで、別に何もしてくれなくても、いい。
一緒に時間を過ごしていると、なんだか心が軽くなって、絡まってしまった糸がほどけていくような、氷がじゅわ〜っと溶けていくような、雲が退いて晴れ間が見えてくるような、そんな存在。
友達だったり、恋人だったり、家族だったり、そのどれにも当てはまらなかったり。
心に傷を負ってしまった時、心が壊れてしまった時、心を閉じて自分の殻にこもってしまった時、こじ開けずとも、気付いたら笑ってしまっていたり、前を向けるようになっていたり、特別な力を持っているんですか?とでも言いたくなるような存在。
大切な人、その手を離すんじゃあないぞと言いたい。
そばにいなくても、きっかけをくれた。
だから自分の力で前を向いて、強くたくましく生きていこうと決意できた。
そのパターンもある。
ユキちゃんが選んだのはどんな生き方だったっけねえ。
アニメーションで、実写のように主人公たちの気持ちになれる。新海誠監督ってすごい。めちゃロマンチックなのに、めちゃめちゃリアルなんだよなあ。だから共感する人が多くて、こんなにも支持されるんだなあ。
ずっと映像がキラキラしていて、主人公たちの気持ちも相まって、嫌いだった雨がすごく美しいものに見えた。すごく繊細な作品に思えた。
早く二人を会わせてあげたくて、私は「雨よ降れ」なんてことをメロディに乗せて歌い出したんだ。
そしてどうしてもピアノでしか考えられなかった。人間の繊細で壊れそうな心模様を表現するんだったら、繊細な音色がよかった。
「雨よ降れ」
自信作だ。
ミュージックビデオを公開した。
グランドピアノでの映像、一度撮ってみたかったんだ。叶って嬉しい!
前から色々作ってもらったり、ライブDVDの映像撮ってもらったり、とかしていたチームにお願いした。
朝は来る、ライアーゲームじゃ始まらない、step!、ビューティフルライフ。
そして、雨よ降れ。
大畑監督、私の撮り方よくわかってらっしゃる。さすがでやんす!
撮影チームのみんなが、雨を表現するため、私たちの周りに水撒いてるのすごい大変そうだった。バケツに水汲んでさあ。行ったり来たり。私たちのことは濡らさないように、ザバアっと。
日が暮れるのを待って、廃墟風のスタジオでね。
ヘアメイクはもちろんmadoka。
いつもなんも注文なくてすいません。
madokaにメイクしてもらえた日は、ずっとご機嫌でいられるんだ。生まれ変わった気持ちになれるんだ。魔法使いだよ!いつもありがとう。
本当はね、トレイラーもこだわって撮る予定でスケジュールも決めていたんだ。でもやっぱコロナに邪魔されちゃって、出来なくなった。相当悔しかったけど、また次にいかそう。名案だったのにぃ!(発案したの私じゃない)
それにしても、とっても素敵な映像になりました。
チームの皆様、ありがとうございました。
この曲が似合う6月ぐらいになったらさあ、ざあざあ雨降ってさあ、想いあってる同士がちゃんと気兼ねなく会えるようになってるといいね。
なんかあれだね、織姫ちゃんと彦星くんみたいだね。
そうかあ、雨って天の川みたいな役割もするのかあ。素敵じゃん。
雨は嫌いだった。
でも最近は、雨も良いかもなんて思い始めている。好きな人に会えるんならね。
疲れた心にふっと寄り添って、じんわりじんわりと癒せる曲でありますよう。
「雨よ降れ」いってらっしゃい。
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