昔の写真

時々、散らかった部屋の片付けをしていると、何かの拍子で写真が入った箱を開けてしまい、時間を忘れて過去への旅路が始まってしまうことがある。

今から何年前になるんだろう・・・ドイツのケルンに住んでいた頃の写真が出てきて・・・たった1枚の写真なのだけれど、じっとみていると色んなことが瞬時にフラッシュバックしてくる。

あの頃の僕、明日の予定も無しに日々を、時計の秒針が進む速度そのままに生きていた。昨日や明日に想いを馳せることなく、いつも何かを感じた瞬間に筆を取っていた気がする。

いつも、やって来た今日を迎える度に、ひとつ何かを絵にしていたのだ。展覧会の予定さえないのに、僕は毎日描き続けていた。そういう行為に快感を覚えていたわけでもなく、使命感でもなく、なぜなんだろう・・・理由なんて考えることもなく、ただただ描き続けていたのだ。

あの頃から、たくさんの夜を乗り越えて、ちょっと年取った自分が今こうして文字を紡いでいる。少しは冷静に、過去を振り返って書きとめることが出来るのだろうか・・・いや、出来ないなぁ。一人で考えてると、都合の良いふうに記憶が物語化されてってしまうぞ。

頭の中一杯に思い出を膨らませて、過ぎ去った時間を確かめるのは、懐かしい友に久しぶりに会った時にしよう。

古い写真を手にとって時間を止めてはいけない。時間を遡ってもいけない。今を越えるために、今を感じているのだ。

・・・つうか、普通にテキパキと片付けなきゃな!

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