お守り

怖がりな性格で情けないなと思う。
最近は少しはマシになって来てるのかな。学生時代は怒りや悲しみを感じるべき場面でも何故か恐怖を感じて固まってしまう人間だった。

今年の夏、一人で京都へ行った。
好きなアーティスのライブを観に行った。

音楽はもちろんロケーションも素晴らしくて、半ば夢見心地で幸せに浸っていたけれど、一曲、すごく不思議な感覚に陥る曲があった。

別に初めて聞くわけでもないし、なんならその頃は毎日のように聴いていた曲で今までそんな事なかったのに、その日は何だかすごく怖いと感じた。

その怖さがすごく日常的に感じるあの怖さに近くて、一人で眠る前のあの感覚や、朝の満員電車に乗り込む時とか社員証を首にかける瞬間とかに感じるあの感覚に似ていて、息が止まりそうだった。

でもすごく印象的だったのが、怖さと同時にどこか明るいものを感じられたこと。

生活の中で感じる恐怖は終わりがなくて、それこそライブとか友人との食事とか、そういったもので何となく曖昧にしているだけ。ずっと暗いまんま。

日常に近い怖さと同時に新鮮な明るさを感じられた事で、私の生活にも光みたいなものがきちんとあって、気づいてないだけかもしれない、これからときめくような生活があるかもしれないと少し希望を持てた気がする。

薄暗い不安とか重くて苦しいけど手放せない自意識とか、自分と切り離せなくたってちゃんとやって行ける気がしてありがたかった。

諦めじゃなくて希望のこもった「まだ生きていかなきゃいけない」を少し感じられた明るい夜だった


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