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プリンセスになりたい、その気持ち

こないだの朝、やってしまった。どんなふうに言葉をかければ、どんな態度をとれば良かったんだろう。

娘の通うスクールで、好きな物語の登場人物の格好をして投稿するイベントがあった。アニメでもいいわよ、と先生。ハロウィンみたいな感じらしい。

そこで私は手持ちの物で済ませようと、「魔女の宅急便のキキの格好をしよっか」と提案した。

娘はその時「でもそれは、ハロウィンの服だよ〜?」と言っていて、実際ハロウィンのときに別のイベントで着たんだけど、それはスクールのみんなは見てないから、「ハロウィンじゃなくても着てもいいんだよ」と諭す私。

いま考えれば娘はその時、良いともヤダとも言っていなかった気がする。でもハロウィンの時は大喜びだったし、普段も自分でキキのワンピースとカチューシャを選ぶくらいお気に入りだしで、今回も喜んで着て行くだろうと信じて疑わなかった。

そして当日の今朝、黒いワンピースを着たあとリボンのカチューシャをつけてあげようとすると、「これはリュックに入れていきたい」と娘。それだとキキが完成しないよ?と私が言うと、ポツりとひと言「プリンセスが着たい」。

出かける直前も直前だったこともあり、私のイライラスイッチが入ってしまった。

「なんでいまそんなこと言うの?もっと早くから言ってくれないと、用意できないよ!」
「プリンセスが着たいなんて一度も言ってなかったでしょ」
「じゃあもうキキの服も着なくていいよ。好きなのに着替えればいいじゃない。」

そんな事まで言わなくてもいいのに、自分から出る言葉を止めることができなかった。

娘はとっさにマズい、と思ったのか、「やだ!キキ着るの。キキがいいの。」と泣きながら言う。私の機嫌が悪くなったがためにそう言うのが分かるから、余計にイライラしてしまう。

結局キキの格好をして家を出たけど、彼女は泣きそうな、そして私を責めるような目をしている。

私はその目線が、「どんな服が着たいか、ちゃんと聞いてくれなかったのはそっちじゃない」と言っているように見えた。確かにそう。私は、彼女の意見を聞こうとしていなかった。

まだ4歳で、曜日や日にちの感覚がつかめていない彼女にとっては「プリンセスを着たい」というタイミングもなかったんだろう。私自身、彼女が言い出せない雰囲気も出していたかもしれないし、私に気を使った結果かもしれない。

そもそも、もっと早くから言ってよ!という叱責は、4歳にはハードルが高すぎる。

それ以上に、こうなってしまった時、もっと別の声のかけ方が出来たら良かったのに、と後悔がどっっと押し寄せてくる。

こういう時こそ、子どもの気分が少しでも上向きになるように明るくいたり、ポジティブな態度で接した方がよかった。楽しいイベントがある朝に、すごくネガティブな気分のまま送り出すことになった娘に対して、申し訳ない気持ちでいっぱいになり、そんな自分に余計イライラした。

スクールに着くと、みんなのコスチュームは凄まじい。本気を出してる。女の子はほとんどと言っていいほどディズニー系のドレスを着ており、あぁ、彼女もきっとこういう服が着たかったんだな、と胸がギュッとした。

全てを子の希望通りにしてあげるのは難しい。意思疎通がうまく図れなくて、今回みたいな些細なことですれ違いが生まれることだって沢山ある。

そんな時、私はついイライラが勝って冷たく接してしまうことが多い。もういいよ、好きにしな、と突き放すような態度をとってしまう。

でも、そんな物言いをしていても悪循環になるだけだと、今朝痛いほど分かった。娘も、何か理不尽なことを言われたのが分かっている顔だった。

もう4歳。まだ4歳。
こちらが想像する以上にずっとしっかりと彼女の自我は形成されているけど、その願いを自力で形にする能力はまだまだ小さい。言葉も追いつかない。

彼女自身がこうしたい、と思うことが叶わずしょんぼりしてしまった時。テンションが下がってしまった時。投げやりになってしまった時。それにつられてこちらもテンションを下げるのは、もうやめたい。

ジェットコースターのような、まっすぐで率直な娘の気持ち。でも日々、複雑になっていき人間味を帯びていくそれ。

子をもち4年。私自身の感情コントロール修行も、まだまだ始まったばかりなんだろう。

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