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I just wanna know you better, Solver

Cover Photo by Daiga Ellaby

すっかり一般的になったGTOソルバーですが、現在広く使われているのはおそらくGTO+とPIOでしょう。

しかし日頃から使い込んでいるツールではあっても、細かな設定の影響まで確認した方は少ないのではないでしょうか。

今回の記事で扱うのは、ソルバー自体についてです。解析の際に設定する値が、EVや戦略にどういった影響を与えるのか、簡単な集合分析を何度も行い調べてみました。

私なりの考えですが、ソルバーでの学習は、その計算結果を覚えようとするのではなく、ソルバーがどういう条件でアクションやその比率を動かしていくのか理解することが重要だと考えています。

今回の調査で、私自身ソルバーの理論のようなものをまた一つ学べたと思います。この記事を読んでくださった方が、そういったソルバーの動きの一端を理解し、適切な設定でソルバーを運用できるようになる助けとなれば幸いです。

特に断りのない限り、計算結果はBTN vs BBの2ベットポットです。

ちなみにタイトルは街でたまたま耳に入った楽曲の歌詞から一部頂きました。

それでは、本題に移りましょう。

Accuracy(dEV)

ソルバーを回す際に、GTO+であれPIOであれ、どこまで精度を求めるのか決めることができます。広く使われているのは0.5%や0.25%くらいではないでしょうか。

まずは、この値を変えることによってどれくらい戦略に影響を与えるのか確認してみたいと思います。

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ここでは6種類の特徴が重なっていないボードで、3回集合分析した計算結果を比較しています。それぞれのdEVは0.1%, 0.25%, 0.5%です。上の結果は0.1%から0.5%を引いたもので、下は0.1%から0.25%を引いたものです。

色は数値の正が大きいものほど深い緑に、負が大きいものほど深い赤になります。ここでは正負よりも絶対値が問題といえます。

さて、見てわかる通り、どちらも0.1%での解析結果の方がEVが高くなっています。しかしその差は0.1%と0.25%の比較の方が小さくなっています。ここから、基本的にソルバーは精度をあげていったほうがレンジ全体のEVが高くなるであろうことがわかります。

次に1.25xや0.75xですが、これは設定したベットサイズです。ここでは頻度と紛らわしくないように、125%ポットベットを1.25xのような表記にしてあります。0xはチェックのことです。

先ほどのEVの誤差は、どれも1bb/100ハンドに満たない値でした。dEV=0.5%でもEVはそれなりの精度で求められることがわかりましたが、一方でアクションの頻度についてはどちらも10ポイントを超える誤差があります。dEV=0.25%でもかなりずれがありますね。

どこまでを許容するのかですが、ある程度以上に正確なベット頻度を知りたいときには、少なくとも0.25%までは回す必要があり、可能なら0.1%以下まで計算しなくてはならないと思います。ただし、これはベットサイズの設定数にも依存します。ベットサイズが2つならdEV=0.25%でもかなり良い結果が得られると思います。

余談ではありますが、上下どちらの表でも共通して[Kd9s7h]と[Qs8c6s]の誤差が大きくなっています。これらのボードは、ベット頻度が近い数値で複数サイズに割れるようなパターンであることが多く、人間が頭を悩ませるボードでもあります。このあたりはコンピュータにとってもそれなりのコストがかかるということですね。

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