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7.誰と出会い、誰と過ごすか

“良い環境”ってものを考えてみると、気候や地勢と同じように、人も環境を構成する要素の一つ。であれば、誰と一緒なのかは、とても大事だ。気の合わない人とレストランで食事をするよりも、好きな人と近所の公園でコンビニおにぎりの方がよっぽど楽しい。一緒に過ごす人の顔ぶれが、日々の雰囲気をつくると考えて間違いない。

職場や地域。また趣味の領域であっても、顔ぶれで雰囲気はガラッと変わってくる。ただ、自分の意思だけで選べる状況ばかりではない。社会生活は、偶然居合わせた様々な人と交流していかなければならない。時には我慢して、無難にやり過ごす。そうしたメンタルの強さも備えておきたいところだ。
相手のあることだけに、回避策も一概にこうだといえる方法はない。運に振り回されることも多いだろう。
ただ一つ心得ておいてほしい。どうしてもダメなら逃げたっていい。そのコミュニティを離れ、状況をリセットすれば済むことだ。自分を殺してまで他人の顔色を伺う必要はない。だって人生には限りがあるのだから…。

そういえば、クラスに好きな子ができると学校が楽しくなるってのを思い出した。これ、けっこう同意って方も多いのでは?
月曜日の朝の憂鬱もなくなり、ともかく急いで学校に行きたくなる。もっとも小学生の恋愛感情なんて可愛いもので、ドキドキして話すこともままならず、見ているだけでワクワクできたりする。一歩進展があったところで、一緒に帰るくらいのことなんだけれど…。それでも渦中にいる当人にとっては、人生の一大事。
4年5年と学年が上がるにつれ、男子が集まると「誰が好き」って話題が多くなる。楽しくて何時間でも話していられたね。女子はどうだったんだろう?誰かに確かめてみようかな(笑)。
好きな人ができるって、家族外に大事な他人ってことだ。成長過程の大きな節目だね。おそらく対人関係を本格的に意識する最初のことなんじゃないだろうか。そしてこの先、長きに渡って誰かを好きになるってことに一喜一憂しながら生きていく。生きる目的といったら大袈裟だけれど、少なくとも向上したいと願う動機のところに深く関わっている。そのうち、自分が生まれたのも、その結果だって気づくことだろう。

大事な人間関係は、恋愛に限った話ではない。学校を卒業し社会に出ると、人生終了までの長い期間、なにかに所属し、あるいは関わりを持って仕事をするようになる。どこで、どんな仕事を誰としていくのか、多くの時間を仕事に費やすわけだから、しっかり考えておきたいところだ。就職、自営と形態は様々だけど、どんな形であれ、そこには必ず人との関わりがある。学生時代と違って、利害も絡み人間関係はより複雑化していくだろう。企業なら、上司、同僚の人間性や、その人との関係性は、仕事の効率や充実感にも影響してくる。これもやはり、自分でコントロールが利く範囲は限られている。しかも一時的な関係では済まないのが仕事というものかもしれない。であれば、そもそもの選択を疎かにしてはいけない。少なくとも企業理念に共感できるところを就職先として選ぶというのはどうだろう。そこには価値観の近い人が集まっている可能性が高いのではないか。やりがいは、もちろん大事なことだけど、所属先の風土は、思っている以上に日々の形を決めるように思う。
また、取引先やお客様といった外部の人であっても、関わりという点で無視できない。どういった人に、なにを提供して仕事になっているのか、目を向けておくといい。間違っても、人の苦しみを利益にしてはいけない。けっきょくそういったものは、ジワジワと自分自身の心を蝕んでいく。ともかく、8時間労働を基本とするなら、1日の1/3は仕事に費やす。いくら稼ぐことが必要であっても、嫌なこと、嫌な環境では精神的に続かないと心得ておいてほしい。

経済活動は、好き嫌いといった感情と関係が深い。ある意味、それを巧みに利用しているといってもいいかもしれない。まぁ、冠婚葬祭は当然として、お洒落する楽しみや住まうこと。もちろん出産や育児。教育だって無縁じゃない。自分をより良く見せたいという願望や、他人への嫉妬、対抗意識。そういったものすべての根本に、恋愛的なものが絡んでいる。小説や映画も、多くの場合男と女の愛憎劇。歌だってそうだ。誰かに届け!だったり、失恋の痛手を癒すことだったり…。いずれにしても、産業の多くは、こうした人の行動心理を意識している。つまり人との関わりなしには、何事も成り立たないということだ。

大事なことだから、もう一度言っておきたい。
自分の周りにいる顔ぶれが、人生の景色を決める。「誰と出会い、誰と過ごすか」これに尽きる。

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