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上辺だけの会話と妖怪

「砂漠さん、趣味は何か?」

「ここ数年、自分の時間がなかったので、趣味がないんです…」

目の前の、畑に突っ立っているカカシのような男に、小首を傾げなが答える。さながら、子育てが一段落した主婦のような発言。まあ、一発ヤるだけの男だから、上辺だけの会話でいいだろうなどと考えたり考えなかったり。


この当時、専門時代からずっと付き合っていた男と別れたばかりで、中々に迷走していたと思う。

元彼、顔は小島よしお。性格は、ジャイアン・スネ夫・のび太のトリオに、School Daysの謎モテ要素を抜いた誠と、幼児性と虚言癖を加えた盛り沢山な男だった。付き合っていた当時は、彼のおかげで寝ている最中にマジでしょっちゅう魘された。妖怪かよ。

さて、この妖怪、私が尽くしやすく依存しやすい性質だと見抜いてか、『時間をほとんど全て俺に使え!体当たり』をめちゃくちゃにしてくるのだ。

学生時代の愚鈍な私に、体当たりがクリーンヒット!時間を消費!趣味が制限される!飯を集られる!ゴリゴリに削られる自尊心に自信!なぜか逃げないバカな私!!そしてずるずると続く関係…


ようやく妖怪と別れた。気が付いたら趣味が無くなっていた。
趣味がないと会話が続かない。趣味がないと休日は寝て過ごすだけ。趣味がないと日々に色がなくてツマラナイ(妖怪と付き合っていた時も毎日つまらなかったけど)。

自立・自制心のない妖怪に時間を費やした代償が、自身の主体性の喪失。
それに加えて、自尊心と自信の喪失。

この妖怪と付き合って学んだことは、私が費やした時間と同等の価値の物を、恋人だろうが何だろうが、必ずしも返してくれる訳じゃないってこと。それと、自分の時間は自分のために目一杯使うべきだってこと。

いつだったか親切な男性に、「他人を変えることは難しいのだから、自分から変えていきなさい。そうしたら、砂漠ちゃんの周りに幸せが溢れるよ。めげずに頑張りな。」って言われたことがある。

この言葉のおかげで、別れてもなおトラウマという形で心に住んでいた妖怪の存在感が、バーコードハゲのバーコード並みの薄さになった。

彼の言葉を頭の片隅より3歩ほど手前に置いてこれからも生活していく所存。


てか、冒頭の会話、

「お前、これが婚活とかだったらどうすんだよ!婚活なめてんのか?!」

って、あと5年したら親友にキレられそう。うける。

まとまんない。まあいいや。




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