春のささくれ
ずいぶんと年下の彼と一緒に歩いていて
付き合い初めの頃は周りから「お母さん」と見られる事に不安がない事は無かった。
彼は私に
「君は10歳若くいてよ。僕は10才歳をとるから」
そう言って笑っていた。
今日、スーパーで「奥さん、蜂蜜の試食どうですか?」
なんて言われて、
「すみません。ハチミツアレルギーなんです。」
って彼が答えた。
嬉しそうに
「お母さんじゃなく、奥さんだってね」
「それより、私がハチミツアレルギーって良く知ってたね」
「え、そうなん?いらないって言うより、アレルギーって言ったほうが向こうも楽じゃん。」
すぐ別れると思っていたのに、ずいぶんと同じ時間を過ごしたものだ。
あれからお互い、同じように歳をとり。
その差は縮まる事は永遠にないのだろうけど
それも良いような気がしてきた。
彼は私がいなくなったら別の人と一緒になってくれるのだろうか。
彼の我儘に耐えれる人と結ばれるといい。
彼は人肌が好きなはずなのに私とのセックスは諦めたと言った。
熟年夫婦のような気がして申し訳ない気持ちもあるが。
「俺は好きに生きるし、君も好きに生きろ。」
そう言って何かを我慢したように笑った。
なにかのタイミングで若い女の子と出会って、結婚して子供を作ってほしい。
その願いも彼は拒むのだろう。
今日はいつものデート
たまにはお化粧して行こうと思う。