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雪想①

曲を流しながら読んで頂けたら幸いです。


BGM 『Merry Christmas, Mr Lawrence』




「いかないで…

       おねがい…」



神様は優しい人を自分のそばに置きたがる。

運命なんて言葉があるなら神様は悪魔なのかもしれない。

試練なんて言わても私は受け入れられないし、今も認めていない。


「ごめん…ちょっとだけ、寝るわ。………。」


そう言って彼は私1人を現実の世界に置いていってしまった。


雨が降っていた…

朝になれば雪に変わっているのかもしれない。


寒さなんて感じなかった。


ただ祈るように、叫びながら彼の名前を呼び続けた。

握っていた手が冷たくなってくる。


「お願い…神様…お願いだから彼を連れていかないで…」


「先生がなにか言っている。聞こえない。聞きたくない。」


「…そんなはずは無いでしょ。ちょっと休んだら起きてくる、彼はそんな人。私が泣いていたら誰よりも私を心配してくれるんだよ」


看護師さんが私の身体をさすりながら、彼の眠るベッドから私を離す。

「本当に残念ですが…」


みんな泣いている。


「ご帰宅の準備を…」


そうだ…


帰ろう。

2人が暮らした家に帰ろう。

ここはいつも静かで大声で笑う彼には似合わない。


「大丈夫?」


友達がきてくれた。


「うん、一緒に帰る所…」



あぁ…


昔。彼が言ってた。


「もし…オレが先にいった時は、さっさと忘れて新しい男と付き合って幸せになれよ」


クリスマスの時期だった。ラジオから戦場のメリークリスマスが流れて、私は初めて彼の前で泣いた。

「本当に泣くなよ。ごめんごめん。お前をおいていけるかよ。」

泣きじゃくる私をずっとずっと抱きしめてくれた。


もう…


彼は私を抱きしめてはくれない。


静かに眠る彼の顔は笑っていた。

「なんで笑ってるの…」

なんどもなんどもなんども後悔した。

もっと、素直になれば良かった。もっと、一緒にいれば良かった。もっと、話をしていれば良かった。もっと、もっと、もっと…


これは悪い夢…


目が覚めれば、またいつものように。朝から私を困らせるに違いない。


ねぇ…


あなたが最後に言った言葉


「…してる。」だなんて


今まで言ってくれた事なかったくせに


ズルいよ…。





続く。





フィクションです!

ひっぱられないようにしてくださいね!

ハッピーハッピーメリークリスマス…素敵な夜をお過ごしくださーい!( *ˊᵕˋ)ノˊᵕˋ*)