見出し画像

ブッカーズに口づけを…


雨降りの夜

年下の男の子に誘われてbarに行った。

楽しそうに自分の履歴書を語る彼の隣で、明日のデートの事を考えていた。

私の憂鬱に気がついた彼が焦った様子で私にウイスキーを薦める。

(彼は私の孕を満たしてくれるのだろうか…)

「1番強いので…」

熱り立つのは喜ばしい事だ。しかし閉じた唇は潤わない。 

若さかな…勢いだけでは跡が勃たない。

彼は1人夢の世界へ果ててしまった。


jazzyな雨音に浸りながら1人でネオンに耽る。

声をかけられた。

「隣いい?」

LARKの煙と一緒に彼は入ってきた。

このまま今日を終わりにするのも、乾いたまま帰るのも勿体無い。

さもしい私は雨が止むまでの間、彼と一緒に夜を過ごす事にした。

会話らしい会話もない。

店内に流れるピアノの音色に

互いの身を預けるだけ。

ピアノの伴奏が終わり雨が止んだ。

約束なしの約束を交わす。


「…また会いましょう。」


重ね合わせた唇は、

喉を焼くようなブッカーズの味がした。


etc.









フィクションです。

たまには、大人の雰囲気で…