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深夜ラジオの正しい使い方をした話

 先日、初めてコロナに罹患した。
 なんだかんだ、ここまで一度も(運よく)感染してこなかったので(もしかしたら無症状で感染していたことがあったかもしれないが)、あーいよいよか、という思いと、今さら?という思いがあった。
 
 病院へ行き、検査をし、あー陽性ですねと慣れた様子で告げられ、普通の風邪薬と咳止めと抗生物質をもらい、その日は帰宅。食欲もまああるし、味覚も変わらない。そこまで症状は重くなかったので、とりあえず水分だけは枕元に準備して、いそいそと就寝準備に入った。

 問題はそこからだった。コロナにはいろいろな症状があり、個人差で発症するものが異なるとは聞いていたが、私の場合は発熱・咳・鼻水のほかに、関節の痛み・筋肉痛のような痛みがあった。びっくりするくらい痛みが全身を巡った。めちゃくちゃ痛い!!

 痛くて眠れないという事態は子どもの時の成長痛ぶりではというくらい痛くて眠れなくて、年甲斐もなく夜中にアァ~と声を出して泣いた。ちいかわかよ。まじで痛かった。

 どうにか気を紛らわしたくていろいろしたものの、Twitter(現X)を見ていると酔いそうだし、電話してまで誰かに縋るような年齢でもないし。でもこのまま朝までは無理~ウゥ~、と唸っているときにハッ、と思い出したのがラジオだった。

 こういうときこそラジオを聴くんでないか。よく聞くじゃんね、眠れない夜のおともはラジオで~とかなんとか。ああーこういうことね、と思いながらなんとか力を振り絞ってradikoのアプリを開いた。深夜27時。定番のオールナイトニッポンはメイン帯が25時から27時。TBSラジオのメイン帯も25時から27時。ちょうど「おぎやはぎのメガネびいき」が終わった瞬間だった。普段なかなかリアルタイムで聴けない深夜の芸人ラジオ、聴きたかった。

 と、熱に浮かされた頭でradikoアプリをスワイプしていたら、一周回って画面がニッポン放送に戻ってきていた。27時からマヂカルラブリーのANN0が始まっていた。この時間帯にやっているラジオで私が知っているパーソナリティはこの日マヂラブしかいなかった。たったそれだけの理由なのだけれど、全身を巡る激痛にこれ以上耐え切れなくなって、マヂラブのANN0を垂れ流しにしながらスマホを枕の横へ放り投げた。ANNは昔からいろんなパーソナリティの番組にお世話になっているけれど、マヂラブのANN0を聴くのは初めてだった。耳元で野田クリスタルがなんか喋っている。横浜でクワガタを取る話だった。カブトムシだっけ? もうよく覚えていない。でも、それがよかった。特別におもしろかったわけでもないけれど、でも、聴き心地がよかった。
 気付いたら寝れた。

 ……っていうハッピーエンドにはなれず、結局ずっと体は痛いままで、イテエ~~~と思っている間にマヂラブのANN0は終了時間を迎えていたんですけど。ANN0って1時間半しかやらんのな。5時までやってくれよ。何の話? ボケボケの頭で一人ツッコミをしながらまた番組を変えて、チルい音楽を流しているプログラム見つけてそれを垂れ流しながら、ようやく眠りについたのでした。
 
 というわけで、初めてのコロナ罹患日記でした。あまり眠れないまま数時間後に目覚めて、まだ微熱は続いていて、深夜ラジオの正しい使い方しちゃったな、というよく分からない優越感がちょっとだけあって、野田クリスタルって横浜出身なんだ、なんてことを調べたりした。