そうやっていまわたしはここにいる

この看板の写真、どうしようかなぁってトイレの便座に座りながら考えていたら

むかし、いなかのじいちゃんに頼まれて塩川の自販機に
マイルドセブンメンソールを買いに行ったことを思い出した
スズキの4サイクル・バーディー50で60km/hで10分くらいの道程だったかな
1000円預かって1箱買っておつりはお小遣いだった気がする
気前良いな
うまそうに吸っていたような

まだじいちゃんが現役で米を作っていたころ
1俵60kgの米俵を両肩に2俵乗せて歩き回っていたらしい
2俵で120kgですよ　120kgですよ
信じられない
むかしの人ってすごいな
うちが稲刈りを手伝っていたときは
30kgの米俵を担ぐのにいっぱいいっぱいだったのに
塩川ではかなり有名な力持ちさんだったらしい

晩年、足が悪くて歩行器を使っていて
わたしが田舎に帰るたびに錆び付いた歩行器を
磨いてくれと頼まれていました
クレ556を染み込ませた布でしこしこ磨いて
もう疲れたんでこんなんでいい？って言ったら
「おう　ありがとう」って言われた

じいちゃんの口癖「ほい ちた(きた)」
古い会津の人なんで「き」が「ち」になる
「ハナミズキ」が「ハナミズチ」になる
おかしなことにポチ袋にも「みづち」と書いてあった
おれは「みづち」じゃないのに
ずーっと俺の名前を間違えていたのだろうか

じいちゃんが風呂場で倒れて亡くなる前
亡くなる1～2週間くらい前に
うちのおかんが1人でじいちゃんに会いに行った
1人で田舎に行くことなんてまずなかったのに
おかんはなんか胸騒ぎみたいなものがあったと言っていた

「虫のしらせ」ってほんとうにあるのかな

おとんとおかんが関東労災病院に通っていたとき
ロビーで待っていたら亡くなったばぁちゃんを見かけたと言っていた
気になったので追いかけたんだけれど
角を曲がったところで見失ったらしい
ちなみにうちの川崎のばあちゃんは関東労災病院で病気で亡くなっている

うちのおかんは子どものころ「三途の川」を見たらしい
なんかの病気で入院していたときに渡りそうになったと
えらい暖かくてきれいなところだったって
知らない人たちに「こっちへおいで こっちへおいで」って手招きされていたとか
じいちゃんやばあちゃんの「戻ってこい　戻ってこい　死ぬな」
という声が聞こえたらしい
あとで聞いたら「今夜がヤマですよ」と言われた夜だったと

なるべく科学的でいたいけれどオカルトのような
スピリチュアルなこともあったりするんだな

じいちゃんの話に戻ると
じいちゃんは第二次世界大戦で中国に派兵されたと聞いた
戦争なんで何人も人を殺しているんだろう
生き残るために人を殺さなければいけなかったのか
国家の命令には従わなければいけないのか

そうやっていまわたしはここにいる

じいちゃんの歩行器　ばあちゃんはまだ健在