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新東京名所大久保公園

「さっきの人はご飯だけで6000円って言ってくれたんです…!」

後ろから、少し舌足らずだが可愛らしい女性の声が聞こえる。
ここは東京都新宿区にある大久保公園。近頃、SNSで援助交際の聖地として有名なエリアだ。

土曜日の夜だからだろうか、20時を超えた頃には多くの男性が集まりそこに佇む女性に声をかけている。

女性たちは20代ほどで、新宿らしいと言えばらしいメイクと服装をしている。
男性たちは年齢層は広いもののおおよそ35歳以上が多そうだ。目的は性行為。

女性の求める金額と男性の出せる金額に差があるのか、なかなか女性がすぐにいなくなることはない。

「泊まりならイチロクはないと…」と最低のラインは引かない女性。

男性の言い分は聞こえなかったが、その場からすぐに立ち去ったため交渉は決裂したのだろう。

とはいえ5分も待っていれば、公園前から移動し近場のホテルへ消えていく男女のペアも出てくる。

Twitterなどを見てみると、店を通さないので交渉した金額が全て自分のものになるから、客を自分で選べるからなどの理由で立ちんぼをする女性が多いようだ。

最近では外国人女性も立っていたりするらしい。

その異様な空間を異様な空間とたらしめているのはやはりその場に集まる人々の雰囲気だろう。

私が女だからかもしれないが、まずそこに集まる男性たちの目が怖かった。

彼らの目には性行為という目的しか見えていない。欲望を前面に出すと人間の顔つきは随分と異様なものとなるんだな。たしかにあの場にいたら見栄なんて考えなくてもいいのだろう。

そこに立っている女性も、安全性やらプライドやらそういった諸々を捨てた気持ちでそこにいるのではないか。彼女らの目にも目的のお金しか見えていない。

歌舞伎町とか新宿は空気が澱んでいる感覚があるのだけど、大久保公園前の空気の澱み方ったら尋常でなかった。
何か悪いものが溜まってるし絶対あのエリアには怪異が住み着いている。

冗談はさておき、自分でも思っていた以上にその場の雰囲気に耐えきれなくなり程なくして撤退。

見なくてもいい世界を見てしまった気分だった。
目の前の現実があまりに自分の世界と違いすぎた。後味の悪い映画を見た後のあの感じ。

私個人としては大層な正義感も責任感もないので、問題提起をするようなことはここではしない。別の媒体でもするつもりはない。

けれどあの気分の悪さ、自分のむねのムカつきを吐き出すためにこうして文章にしておくことにした。

この文章をうっかり読んでしまった人、ごめんなさいね。何か悪いものを移してしまうかも。

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