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さよならは言わない

何かと思い出深く、ここ最近よくお世話になっていたゲーセンが閉店した。
これは今の気持ちを書き残しておきたいな~というだけの記事なので、特におもしろいものでもなんでもないです。というかこのnote自体いつもそんな感じだろ。

私はなんだかんだ10年近く音楽ゲームをやっているが、お世話になったゲーセンの最終日に遊びに行くのはこれがはじめてだ。もちろん今までお世話になったゲーセンや行ったことのあるゲーセンの閉店は経験している。私がかつてホームにしていた大好きなゲーセンも今はもうない。アーケードゲームのプレイヤーにとって、ゲーセンの閉店は避けては通れないものだ。

前述の、大好きだったかつてのホームは、私が大阪に引っ越してからしばらくして閉店したらしい。Twitterで知った。
私はその最後を見届けられなかったし、長らくその場所に足を運んでいないから、しばらく「閉店してしまった」という実感がなかった。「もうそこにない」と頭ではわかっていつつも、「まだあの場所はあるんだ、また行きたいな」と思ってしまう。
つい最近、ストリートビューでかつてゲーセンがあった場所が不動産屋になっているのを見て、「ああ、やっぱりもうないんだな」と心にぽっかり穴が空いたような気持ちになった。
この記事を読んでいる方の中に、もしこのゲーセンをご存知の方がいらしたらそっと思い出を共有したいので、あえて名前を出します。TAC北方、今でも私の大切なホームです。

そんなこんなで大阪に来てから大変お世話になったゲーセン、アミュージアム茶屋町。
梅田に来たらだいたいアム茶で遊んでいたし、1年ほど前に諸々の事情で生活スタイルが変わってからは「ホーム」と呼んでも差し支えないレベルで通っていた。
閉店のお知らせを見て、ただただショックだった。だが同時に、仕方ないよねとすぐに諦めて受け入れる私もいた。このご時世だ、いくら老舗の有名ゲーセンだからといって生き残れるとは限らない。それに、ここ最近のアム茶はお世辞にもすごく賑わっているとは言い難かったことも知っている。
ときどきカードコネクトをアホほど回したり、毎回飲み物は店内の自販機で買ったり、ちょっとでも力になればいいな~と思っていたが、雀の涙ほどの貢献すらできていたのかわからない……。もっとクレーンゲーム遊べばよかったなとか(かわいいぬいぐるみがめちゃくちゃいっぱいいることを閉店決まってから知りました……)、もっとたくさんカードコネクトやればよかったなとか、そもそも音ゲーもっとたくさん遊べばよかったなとか、いろいろ考えてしまう。

これは前にアム茶で取ったかわいいぬいぐるみです。ごはんとりす。

梅田に向かう電車の中で、ゲーセンの閉店に「またね」はなくて、ぜんぶ「さよなら」なんだな……とぼんやり思っていた。
その場所にその店が戻ることはもうないだろう。「またね」「元気でね」という前向きな別れの言葉はなく、そこにあるのは「さよなら」だけなのだ。
だからちゃんと「さよなら」を言おうと思った。今までお世話になりました、楽しい思い出をたくさんありがとう、さよなら、と。

うさお。

音ゲーが置いてある2階は信じられないぐらい人が多かった。DDRやキーマニを中心に、本当に人がたくさん。その光景にちょっと涙が出そうになる。
1階のクレーンゲームコーナーは2階に比べると人は少なかったが、かなり取りやすい設定になっているようで、そこかしこから景品獲得音が聞こえた。楽しそうに遊んでいる人たちを見て、またちょっと涙ぐむ。歳取るとほんと涙腺弱くなる。

10年ほどお世話になっているフォロワーさんも来られるとのことだったのでお声掛けし合流。このフォロワーさんは私が音ゲーム赤子だった頃からずっと成長を見守ってくださっている方で、またアム茶で一緒に遊んだ思い出がたくさんある方だった。てか今10年ほどってさらっと言ったけどそ、そんななる!?!?!?
まだ1階にDDRが置いてあった頃好きな曲をリクエストして遊んでもらったり、20ファンタジアがあった頃なつかしいなつかしいと言いながらバトルしたり、ポップンを遊んでいたら突然肩を叩かれ私の推しのカードを渡されそのまま風のように去って行かれたり、いろいろ思い出深い……。最終日一緒に遊べたことが本当にうれしい。ありがとうございました。

最後にちょっとだけでも遊びたいねとポップンの順番を待っているとき、他の方のプレイを眺めていた。
いつも通りに遊んでいるであろう方、とにかく好きな曲や思い入れのある曲をたくさん遊んでいるであろう方、「とってもとっても、ありがとう」や「さようならは言わないけれど」など、「ありがとう」「さようなら」というワードが入っている曲を遊んでいる方……本当にさまざまだった。その選曲を見て、また泣きそうになる。涙腺雑魚。

これが最後のつもりで遊んだ4曲。私らしい選曲なんじゃないかな~と思う。
熱帯のマッチング画面の店名のやつが撮りたくて「さよならのうた」を投げたところ、隣で遊んでる方が来てくださって本当にうれしかったです。めっちゃ泣くかと思った。この人なんもなくてもさよならのうた聴くと泣きますが……。

流れでもう1クレやった。
フォロワーさんが隣で「Good bye, Summer~さよならは言わない~」をやっているのを見た瞬間、とくに明確な理由はないが「こ、こ、これや!!!!!!!!」と痺れた。「めっちゃいい、パクッていいですか?」って聞いて私もやりました(何?)

そんでこれは締めの輪廻の鴉です!!!!!!
※締めの輪廻の鴉とは
「とりあえず最後に輪廻の鴉でもやっとくか……」で選ばれる輪廻の鴉のこと。最近よくやる。

そろそろ帰ろうかと外に出て、店舗の外観の写真を撮って、それからずっとアム茶を眺めながら立ち話をしていた。いろんな思い出が脳裏によみがえってきて、なんかもう途中だいぶ半泣きで喋っていた。
あそこにDDRあって~、あそこにミライダガッキもあったんですよ!
前にすごく好きな曲アム茶でフルコンしたから今日やったんですけど、全然ボロボロでした!
奥のビートマニアツーディーエックス筐体がお気に入りだったんです!
アム茶のちょっと薄暗い感じが好きでした。わかる~。
今からでも閉店嘘でした!って言っていいよ。
帰りたくないね……。

仕事帰りにお気に入りの筐体で遊ぶことも、待ち椅子で上手い人のプレイを眺めることも、誰かと一緒にワイワイ遊ぶことも、もうできないんだな。明日ここに来ても、もうアム茶はないんだな。
私の中でまだ気持ちに整理がついていないというかなんというか。「ずっとそこにあると思っていた場所がなくなってしまうこと」をどう受け止めればいいかわからない。正直TAC北方のこともアム茶のことも、心の中のどこに置けばいいかわからない。
「仕方がない」と受け入れて諦めたつもりだったから、自分がなんでずっと泣きそうなのかわからなかったけれど、これは「寂しい」と「悔しい」だ。当たり前にあると思っていた大好きな場所がなくなってしまう寂しさと、何もできなかった悔しさ。やっぱり受け入れることなんてできないし、嫌だ。

でももう、決まってしまったものは仕方ないし、どうにか受け入れるしかない。場所も人間も時の流れとともに変わっていくものだ。「溶けかけのくすぶりアイスクリーム 早く食べなきゃNo, No, Go ahead!」だ。溶けかけのくすぶりアイスクリームって何??
名残惜しかったが、「さよならは言わない!」と言って背を向けた。
「最後に輪廻の鴉やったんだからいつでも戻って来い」とめちゃくちゃなことを言って笑いながら帰った。

たくさん遊ばせていただき本当にありがとうございました。お世話になりました。
さよならは言いません。また戻ってきてええんやで。

この人帰ってから風呂でめちゃくちゃ泣いたらしいです。