革命前夜
こんな私にも「読書の秋」は皆さまと同じく平等にやってきます。
ということでたまには毒抜きします!
タイトル通り「革命前夜」をまじめにレビューしていきます。
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この国の人間関係は二つしかない。
密告しないか、するか──。
ベルリンの壁崩壊直前の冷戦下の東ドイツを舞台に一人の音楽家の成長を描いた歴史エンターテイメント。
本の性質や特徴は様々あるが正直、普段の私では読みきれない
"総合力"
で楽しませてくれる本書。
知りえない世界を知れた満足度は、作品の細やかな情報量の多さも重なり非常に高い。
主人公のピアノを通じて目に見えない苦悩を様々な人を通って克服していく
"擬似体験"
大小関わらず誰にでもある体験を見せる。
一方で、密告するかしないか。
こちらも字面としては同じ「目に見えない苦悩」を時代背景にうまく落とし込み世界に引き込んだ。
皆が同じ想いで分かりえないかも知れない「音楽」を通して様々な感情を表す。
文字としてこの感情描写を読める本は他にない。狭い世界の中、視野が広がりを見せる前半。
「壁」崩壊に向け、ミステリー要素満載で駆け抜けていく後半。
読みものとしての読了感のみならず、コンサートや演劇などに近い豊かすぎる表現力をぜひぶつけられて欲しい。
いわゆる、
贅沢な作品。
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