11話 期待しないこと
3年目のシーズンは、2年目で得た自信とともにスタートした。
毎年のことだが
フロンターレのポジション争いは熾烈だ。
しかし、自信を持てていたこともあり、スタートは順調だった。
シーズンの前半戦は、途中出場や、スタメンで使ってもらうこともあったが、思うような結果を出すところまではいかなかった。
今も覚えているのは、2018年、ホームで迎えたサンフレッチェ広島との試合だ。
この日、負けている状態から途中出場をした。なんとしても結果を出したかった自分に不運が起きた。
決まったはずの同点ゴールがオフサイドの判定で取り消されてしまったのだ。
試合に負けたこと以上に、変わることのない結果に対し、自分で消化して切り替えることができなかった。
気持ちが焦っていたんだと思う。
2018年はW杯イヤーということもあり、
夏にリーグは中断期に入った。
「中断明けこそは活躍してやる」
という気持ちでトレーニングに励んでいた。
しかし、リーグ再開後、出場機会が減った。
ベンチはおろか、ベンチ外になることも多くなった。
自分はどうしたらいいのか考えた。
何故うまくいってたはずのことが表現できなくなったのか、理由が分からなかった。
うまくいかないとき、自分は現実から逃げるという最悪な選択をしてしまった。
''環境や人に矢印をむける''
うまくいかないことは、自分じゃない環境や人に原因があるのだと。
環境のせいにしていると、凄く楽な気になった。
現実から逃げていることで、サッカーに取り組む姿勢は低下し
サッカーが楽しくなくなっていた。
もちろん試合に絡めるはずもないし、いいパフォーマンスを出すこともできない。
そんな最悪の状況を理解してる一方で、
行動できてない自分からなんとか抜け出したい気持ちもあり、
客観的に見て自分はどんな人間なのか、
今どんな姿なのかをノートに書き出した。
気付いたのは、
''今の自分、ダサいな。''
ということ。
このままダサく終わるのは自分のプライドが許さなかった。
「現状にもがいて苦しんででも解決策を思考し、必死に取り組む姿がかっこいいのではないか。」
そう考えた。
そんなことを考えている時に、
ちょうど海外に住んでいる知人との話の中で、
'' 期待をしない '' という言葉を聞いた。
雷に打たれたように自分に響いた。
なぜ、自分ではコントロールできないものばかりに目を向けて、コントロールできるはずの自分に全然矢印を向けてなかったのかと。
そこから環境や人が変わることに期待するのではなく、まずは自分自身が変わることに矢印を向けた。
すぐに結果は出なかったが、最終節の前の試合に久しぶりのスタメン出場を果たすことができた。
試合前、
綺麗事でもなんでもなくて、
''試合に出れなくても、練習場に足を運んで
自分のプレーを楽しみにしている!
と、応援してくるファンの人たちの為に今日はプレーをする''
と考えた。
遅すぎるリーグ初ゴールという結果で、少しだが恩返しすることができたと思う。
うまくいかない時でも背中を押してくれる人たちの存在の有り難さに、思わず涙が出そうになった。
この1年間は自分を成長させるために必要だったのだと強く感じた。
どの環境に身を置いても
自分の意識と考え方が大切なのだと学んだ。
3年目に感じた経験を無駄にしない為に、
4年目はどんな状況になったとしても、
自分に矢印をむけて日々を過ごそうと決めてスタートした。
1日1日、自分が意識して変わろうとすることで結果を出すことができると信じて臨んだ2019シーズン。
コンスタントに出場を重ね、
プロ生活で初めて10得点に絡むことができた。
改めて自分に矢印を向ける大切さを感じることができた1年だったと思う。
プレーの内容も結果にもまだまだ納得はいっていない。
これからも、
自分が納得できる結果を求めて、
日々成長していきたい。
プロになるまでの道のりとプロになってからの
ことを書いていきましたが、
読んでいただいた皆様
ありがとうございました😊
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