白金燐子 -「音」と共に進む少女- 第2部

みなさん、こんにちは。Meziroです。

今回は、白金燐子の記事の第2部であり、燐子を語る上で最も重要なお話をお送りします。
今回取り上げるイベントストーリーは「再演のプレリュード」。「Ringing Bloom」という曲のイベントストーリーです。
そして、このストーリーの中に、私にとって燐子がこれほどまでに大切な存在になった理由があります。今回の記事では、私自身の話が多くなってしまうかもしれませんが、その点はどうかご容赦ください。

燐子がなぜ音楽を始めたのか。彼女の原点をぜひご覧ください。


第2部 「再演のプレリュード」


迷走する音楽

話は、燐子がピアノのコンクールの出場することをRoseliaのみんなに話すところから始まります。「新緑のラルゴ」イベントストーリーの最後に、コンクールに出場することをあこに話すところからつながっている場面です。
コンクールでは大勢の人の前で弾くため、あこは人前が苦手な燐子のことを心配します。しかし燐子は、

「平気じゃないけど……挑戦してみたいんだ……」
「ずっと逃げてたことにも……今ならちゃんと向き合えるような気がするから……」

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と答えます。これは、前回の記事を読んでいただければわかるとおり、Roseliaに入ってから成長を続けて、一歩踏み出す勇気を手に入れた燐子だからこその返答です。
そんななか、そのコンクールの課題曲へと話題は変わり、燐子はネットで課題曲を確認します。すると、今回の課題曲は、かつて出場したコンクールの課題曲と同じ曲でした。やったことある曲なら大丈夫だね、と安心するあこ。しかし、燐子の面持ちには少し戸惑いがありました。

燐子は、コンクールに向け、Roseliaの練習の合間を縫って個人練習を始めます。Roseliaの練習後にスタジオに居残って練習することもしばしばありました。しかし、かつて弾いたことのある曲であるにもかかわらず、課題曲をなかなかうまく弾くことができません。何時間練習してもうまく弾けず、気分が沈んだままスタジオをあとにする燐子。すると、同じく個人練習をしていた友希那と偶然出会います。

燐子は友希那に、課題曲がうまく弾けないこと、そして、その理由について話します。今回のコンクールの課題曲は、燐子がかつて出場し、そして失敗してしまったコンクールでの課題曲だったのです。

幼いころに母親に連れてもらっていったコンサートがきっかけで、燐子はピアノを始めました。優れた音楽センスを持つ燐子は、難解な曲を次々と弾いていきます。また、そのころの燐子は、大きくなってからの燐子と違ってコンクールにも出場していました。確かに人混みは苦手ですが、コンクールで頑張ると、お父さんやお母さん、ピアノの先生が喜んでくれるのがうれしかったのです。

あるとき、燐子は先生から大きなコンクールに出ることを勧められます。最初は遠慮しますが、強く勧められて出場を決めます。しかし、そのコンクールは今までのコンクールと違い、母親と観に行ったコンサートと同じくらい大きな会場でした。
あまりに大きな会場に燐子は動揺してしまいます。そして、それが演奏にも出てしまい、とても怖い思いをしてしまったのです。その結果、燐子はコンクールに出ることをやめてしまいました。

その話を聞いた友希那は、今回のコンクールを見送ることはしないのかと尋ねます。それに対して燐子は、

「そ、それは……したくありません……。」
「コンクールから逃げたくなくて……。逃げてしまったら、結局何も変わらないから……」

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と答えます。冒頭でもお話しましたが、初期の燐子であれば、このような返答は絶対にしなかったし、そもそもそんなコンクールに出ようとも思わなかったでしょう。しかし、Roseliaに入って、色々な影響を受け成長したからこそ、そこまでの志を手に入れることができたのです。これだけでも本当にすごい成長だと私は思います。

そんななか、友希那が燐子にこう質問します。

「あなたはなんのためにピアノを弾くの?」

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ずっと続けてきたもの。燐子にとって当たり前の存在。だからこそなのか、そんなピアノを弾く理由を聞かれた燐子は、すぐに答えを出せませんでした。しかし、この理由は燐子の中に確かにあるはずなのです。そして、それこそが今回のストーリーの最も重要な点です。

ピアノを弾く理由を考えながら、スタジオで個人練習を続ける燐子。すると、そこにあこ、紗夜、リサが現れます。気分が沈んでいる燐子を見た3人は、気分転換にセッションをしようと提案します。
うながされるがまま、いざセッションを始めると、3人とも燐子の音が沈んでいると感じます。そこで、もっと楽しい音を奏でてほしいという気持ちを音に乗せて3人は燐子に伝えます。音から気持ちを感じ取る能力に長けている燐子は、その気持ちをしっかり受け取ると同時に、初めてRoseliaのみんなと音を重ねたときの「楽しさ」を再び感じます。

そして、このセッションのおかげで、彼女はピアノを弾く理由を思い出しました。


音楽を奏でる理由

話は幼少期にさかのぼります。小さいころから人と話すことが苦手だった燐子。同年代の子ともなかなかうまく話せません。

ある日、公園で友達から遊びに誘われた燐子。しかし、その日はピアノのレッスンがあり、一緒に遊ぶ時間はありませんでした。
燐子は遊びに誘ってくれたことに対してお礼を言おうとします。しかし、燐子は人と話すのが苦手なため、うまくお礼が言えません。そして、その間に、友達も他の子たちとどこかに行ってしまいました。

うまくお礼を言えなかったことで落ち込む燐子。ピアノのレッスンでもその気持ちを引きずってしまいます。ピアノの先生に、いつもの曲を弾いてみようか、と言われますが、そのときの彼女はそんな気分ではありませんでした。しかし、弾かないわけにもいかないので、燐子は言われたとおりに曲を弾きます。

すると、ピアノの先生が「元気がないね。悲しいことでもあった?」と燐子に尋ねました。突然のことに驚く燐子。先生は、ピアノの音がしょんぼりしてると言います。そして、なぜそう尋ねたのか不思議に思う燐子にこう教えます。

「ピアノってね、音に気持ちが出ちゃうんだよ。
悲しい気持ちの時は悲しい音に。楽しい時は楽しい音になるの。」

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その話を聞いた燐子は、自分の気持ちがピアノの音を通して伝わっていることを実感します。人と話すことが苦手な燐子でも、音を通して気持ちを伝えることができることを知ったのです。

「音を通して、『楽しい』という気持ちを相手に伝える」。これこそ燐子が音楽を奏でる理由です。確かに燐子は、自分の音については気持ちを乗せて演奏することの大切さを忘れていました。しかし、彼女はいつでも音に敏感で、そこから気持ちを読み取れていました。だからこそ、友希那との会話やRoseliaのメンバーとのセッションという、多くはないヒントの中で、自分で答えを導き出し、自分の本当の音楽を取り戻せたのではないでしょうか。つまり、燐子にとって、彼女自身の音楽はすぐ近くにあったのです。この点も、彼女が「真に音楽家である」ことの証左であると私は感じます。

数日後、コンクール本番を迎えます。友希那たちが客席で燐子の出番を待っている間、あこは燐子の緊張をほぐすために控室に行きます(それは失敗してしまうのですが)。あこは燐子に緊張していないのか聞きます。それに対して燐子は、怖くて逃げ出したくなるようなことだからこそ、乗り越えたい、と答えます。大舞台を前にしても、強い志を持ち続けられるほど、彼女は成長したのです。

ついに、ステージに上がる燐子。最初は大勢の観客を前にして、少したじろいてしまいます。しかし、彼女はもう弱くありません。心の中に確かなものを持っています。ピアノを弾いている時の楽しい気持ちを伝えるために、彼女は弾きます。

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だんだんと遠のいていく景色。ただ、自分とピアノだけが存在する、そんな感覚。この感覚こそ、「新緑のラルゴ」ストーリーで紗夜から学んだ「正射必中」の境地です。
この考え方について、紗夜は以前「心を静かにして、自分を見つめることが大事」だと言っています。燐子がピアノにおいてその領域に達するのが難しかったのは、そもそも見つめるべき幼いころの自分(ピアノを弾く理由を理解していた自分)が彼女自身の心の中にいなかったから(忘れていた)からです。そして、それを思い出すきっかけをくれたのが、友希那であり、Roseliaだったのです。

自分の音楽を取り戻した燐子は、純粋な気持ちでピアノと向き合い、そしてなにより、燐子自身が一番ピアノを楽しんだからこそ、素晴らしい音色を奏でられたのです。

燐子の出番が終わり、彼女が出てくるまでの間、友希那は他のメンバーに今回の燐子について話します。友希那は、燐子から、今回のコンクールをプレッシャーに感じていて思うように演奏ができないことを聞いて、向き合うべきなのは自分自身とピアノなのだと彼女に気づいてほしかった、と思っていたのです。
以前の記事でもお話しましたが、友希那も燐子も音楽に対する姿勢やセンスは高いレベルにあります。だからこそ、その時の燐子がどうすべきかをいち早く理解できたのです。燐子にとってRoseliaはとても大切な存在ですが、そのなかでも音楽面に関して、友希那は非常に大きな存在なのです。

友希那と燐子の関係性についても書きたいことはたくさんあるのですが、その話はまた追い追いしていこうと思います。

コンクール終了後、燐子は偶然、かつて習っていたピアノの先生と再会します。ここのやりとりは、燐子がピアノを習い始め、音楽で気持ちを伝えられると知ったことがどれほど大きなことだったかを実感できるシーンなので、画像だけで見ていただきます。

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やりとりとしては短いものです。しかし、だからこそ、燐子の音楽への想い、ピアノへの想い、Roseliaへの想い、すべてが凝縮された会話だと思います。

後日、燐子のコンクールのことが再び話題に上がります。リサが燐子に、これからも人前で立つようなことをやってみたらどうか、と勧めますが、まだ多少の恐怖心がある燐子は断ってしまいます。しかし、友希那は、挑戦すればいい、自分を変えたいと思うなら線を引かない、そうすれば新しい自分になれる、と助言します。燐子に対する信頼があるからこその発言でしょう。そして、それを受けて、燐子も一歩ずつ挑戦を続けていこうと決心するのです。

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これが、「再演のプレリュード」ストーリーのあらすじです。燐子が大きな一歩を踏み出しながら、彼女自身の音楽を取り戻した、そんな貴重なストーリーとなっています。


「Ringing Bloom」

では、次に「Ringing Bloom」という曲についてお話していきましょう。この曲は、先ほどまでお話していた「再演のプレリュード」のイベント楽曲で、燐子を題材に書かれています。聴いたことないという方は、サブスクで配信されてますので、ぜひ聴いてみてください。

まず、その曲調についてです。
白金燐子というキャラクターのイメージを考えると、落ち着いた曲になると想像するのが自然です。しかしこの曲は、今までの、そして今回のストーリーを通じて分かるような、彼女の心に秘めた信念の強さ、そして音楽やRoseliaへの想いを見事に表現した、熱く激しく、そして時として優しい曲です。ストーリーを読んでからこの曲を聴いたときの衝撃、そして感動は忘れられないものでした。作曲のディレクションをしてくださった方には頭が上がりません。

そして、やはり重要なのが歌詞です。特に、この曲は「音を通して、『楽しい』という気持ちを伝える」、「一歩ずつ進む」という、燐子を燐子たらしめる二つのテーマにフォーカスしています。
本当はすべての歌詞を解説したいのですが、あまりに冗長になってしまうので、私が気に入っている節をいくつか紹介しようと思います。

・「私を動かすのはこの居場所」「私を変えたのはこの居場所」
この居場所はRoseliaのことです。Roseliaに入ったことで燐子は一歩踏み出すことの大切さを学びました。彼女にとってなくてはならない場所です。

・「涙腺の震えた気持ちが奏でゆく直情のセレナーデ」
「楽しい」という気持ちを音に乗せて伝えるためにピアノを弾く燐子。その気持ちは燐子にとってありのままの気持ちであり、とても純粋で、美しい気持ちです。
また、「セレナーデ」とは、「夕べに恋人のために窓下で奏でられる音楽」という意味です。まさに想いを伝えるための音楽であり、燐子が音楽を奏でる理由に通ずるものがあります。

・「望む結末へと伸ばした両手」
「伸ばした両手」とは、鍵盤へ手を伸ばしピアノを弾く両手のこと。彼女が真に望む結末とはなんなのか。私にははっきりとはわかりませんが、真に音楽家である燐子なら、その両手でピアノを奏でる、ピアノと向き合うことで、正しい結末に至るのではないでしょうか。

・「Heart to Heart」
「心から心へ」。今回のストーリーで一番重要である「気持ちを伝える」という部分を、簡潔に、かつわかりやすく伝える言葉です。

・「立ち昇る情熱に乱舞の魂 皆の声が私の声となるとき 世界でたった一つの想いを抱きしめよう」
「乱舞の魂」とはRoseliaのことです。ライブでの友希那の振り付けからそう解釈しました。そんなRoseliaの音が、私(燐子)の音と交わる時、ピアノを弾いているときの「楽しい」気持ちが、燐子の中で純粋に研ぎ澄まされていくのです。

・「Faith」
この単語にはいくつかの意味がありますが、私は「確信」だと考えます。音楽を奏でる理由、その信念を取り戻した燐子は、自分の音楽と向き合うことで前へ進めることを「確信」しています。

・「取りに帰ろう あの日の忘れ物を」
燐子は音楽を奏でる理由をずっと忘れていました。しかし、今回のストーリーで彼女はそれを取り戻しました。以前コンクールで失敗してしまって、音楽を奏でる理由を見失ってしまったのが小学生の頃なので、実に5年以上の時を経ています。本当に長い間の忘れ物でした。だからこそ、この取り戻した忘れ物には、とても大きな価値があるのです。

・「(I will be just myself)」
「私は今まさに私自身になる」。長い時を経て自分の音楽を取り戻した燐子は、まさに幼いころ音楽と自然に向き合えていた「私自身」になるのです。今回のストーリーの核心を突いた素晴らしい歌詞だと思います。

・「儚げに咲いていても心には 何者にも負けない強さが宿る 世界でたった一つの夢は離さないよ」
燐子の心の内に秘めた強さを表しています。彼女はRoseliaの支柱として、幾度となくRoseliaを支えてきました。その強さこそ、彼女の芯なのです。


(番外編)「[仮入部員]白金燐子」と「[わたしとピアノ]白金燐子」の共通点

ここでは、カードのイラストについて少しお話します。

まず、副題であげた2枚のカードですが、「[仮入部員]白金燐子」は「新緑のラルゴ」イベントでの☆4カード、「[わたしとピアノ]白金燐子」は今回の「再演のプレリュード」イベントでの☆4カードです。

[仮入部員]白金燐子(特訓後)

[わたしとピアノ]白金燐子(特訓後)

この2枚のカードに共通している点が、青い蝶が舞っていることです。
青い蝶は「仕事運」「勝負運」の暗示であると言われています。「新緑のラルゴ」も「再演のプレリュード」も燐子にとって己との勝負の話でした。青い蝶は、その勝負の行方をすでに暗示していたのではないでしょうか。
また、次回の記事で扱う予定の、シーズン2にある燐子がメインのストーリー「花咲く学び舎その片隅で」の☆4カードでは青い蝶がいません。それは、そのときの燐子は己との勝負に勝ち、成長したあとだからであると考えます。


筆者にとっての「音楽」、そして「白金燐子」

さて、最後にもう一つお話したいのは、このストーリーを通じて、なぜ私にとって彼女がこれほどまでに大切な存在になったのか、です。
少し私自身の話をさせていただきます。

私は小さいころから音楽に触れてきました。最初にピアノ、小学・中学で打楽器と少しだけバイオリン、高校以降はユーフォニアムを弾いています。ユーフォニアムとピアノは家にあるので、今でもたまに弾いています。

最初に触れたピアノについては、母の勧めでした。母も小さいころピアノを習っており、私にも色々と体験してほしかったのだと思います。私自身もピアノを弾くことがとても楽しかったです。今考えれば、この体験が私と音楽の最初の架け橋になっているのでしょう。

それからは、音楽に触れる機会があれば積極的に参加していくようになりました。はじめはクラシック。ピアノではクラシックが王道なので、ショパンの「英雄ポロネーズ」(当時はまだ子供だったので、優しい譜面に編曲してもらっていました)やシューベルトの即興曲など、色々な楽曲に触れました。また、中学の部活ではポップスを中心に、そして高校の部活や大学のサークルでは吹奏楽を中心に演奏しました。どの楽曲も演奏しているときはとても楽しかったです。

そんな私ですが、高校での3年間で音楽への接し方が大きく変わります。
みなさんも経験があるかもしれませんが、高校の部活というのは、学校で最も濃密な時間を送る場所ではないでしょうか。私の場合も、高校では定期演奏会だけでなくコンクールにも出ていたので、とても印象的な時間を過ごしました。
また、その3年間で、私は初めて音楽に対して真剣に接しました。それまでは、音楽を奏でることの楽しさが一番で、それ以外のことはあまり考えていませんでした。しかし、高校の部活では、何を意識して演奏するのか、その部分を考えなくてはなりませんでした。仲間とも色々話し、実際に演奏してみて、ブラッシュアップをして。
そして、最終的に、私の中でこれから音楽を演奏する上で重要な柱を2つ決めました。

一つ目は、「『音を楽しむ』と書いて『音楽』、演奏者が楽しまなければ音楽ではない」。
これは誰かの受け売りだったと思うのですが、初めて聞いたときは目から鱗でした。もちろん、それが「音楽」という言葉の本当の語源ではないでしょう。しかし、演奏者が楽しまなければ、聴衆も楽しめないというのは確かだと思います。なにより、それは私自身がそうだったからです。音楽に限らず、やりたくないことを仕方なくやっていてももちろん楽しくありません。自分が楽しめるものこそ、その行動に意味が生まれて、伝わるのだと考えます。

二つ目は、「音に『イメージ』を乗せて聴衆へ伝える」。
たとえどんなに技術があっても、そこに気持ちや風景が伴っていなければ、それはただの「音」です。「音楽」ではありません。技術だけなら機械に任せればいいのですから。まず、その音から読み取れる「イメージ」、そしてそれを正しく伝えるための「技術」。この二つが備わって初めて「音楽」になるのです。
さらに言えば、ほとんどの場合、作曲者も「無」を音楽にしているわけではありません。必ずそこには着想があり、イメージがあるのです。それを意識して音を奏でなければ、意味がなくなってしまうのです。

さて、ここまで私の音楽観についてお話しましたが、なぜこんな話をしたのか。くどいですが、私の音楽観は上記の二つ、燐子の音楽観は「音を通して、『楽しい』という気持ちを相手に伝える。」です。


私にとって燐子がこれほどまでに大切な存在になった理由、それは、

「私の音楽観と彼女の音楽観がとても似ているから」

です。


今まで自分の音楽観について、何回か友達などに話す機会がありました。引退の際の軽いスピーチなんかが代表的です。そのたびに私は自分の音楽観の話をしました。ただ、この音楽観に声を上げて共感してくれる人はなかなかいませんでした。
もちろん、聞いてくれた仲間は納得してくれていると思います。しかし、そこから話が盛り上がることはなかなかありませんでした。

時は流れ2019年、前から少し興味があったバンドリのライブビューイング(ラウクレ)のに友人から誘われて、一緒に行くことになりました。最初は、曲もキャラクターも何も知らなかったので楽しめるか不安でしたが、いざ公演が始まれば、とても楽しんでいる自分がいました。そして、その流れでガルパもプレイし始めました。
そんなある日、次に行く予定のバンドリのライブが2020年のRausch(Roselia単独ライブ)だったので、Roseliaのイベントストーリーを予習しておけと友人に言われたのもあり、ストーリーを読み進めていました。
もともと燐子のことはそれまでのストーリーで気になっていたので、「再演のプレリュード」選択画面で燐子が大きく映っていたのを見た私は、「お、これは燐子がメインのイベントストーリーなのか!楽しみだな!」と嬉々としてそのストーリーを読み始めました。

正直、読み始めたときはここまでの衝撃を自分が受けるとは思ってもみませんでした。今まで自分の中で確かにあり続け、しかし真正面から肯定されたこともない自分の音楽観。それと似た音楽観を燐子が持っていることがストーリーを読んでわかりました。
その時の衝撃は今でも覚えています。ストーリーを読んでいるとき、言葉を失っていました。今まで自分の中に確かにありながら、どこか一抹の不安があった音楽観。その音楽観を彼女が肯定してくれた、そう感じました。
「ピアノの音を通して、『楽しい』という気持ちを伝える」ことを思い出し、そのことを胸に素晴らしい演奏をした燐子。その姿は、私にとって大きな自信につながりました。

語彙が稚拙でなかなかうまく伝わらないかもしれませんが、自分と同じ考え方を持つ人がいてくれるのは、本当に心強いです。今では昔ほど楽器を演奏していない私ですが、芯にある二つの柱は変わりませんし、楽器でなくとも歌などでもこの音楽観は適用されます。そんな大事な価値観が、燐子とマッチしていたのです。

ずいぶん私自身の話が長くなってしまいましたが、これが私にとって燐子がこれほどまでに大切な存在になった理由です。何度も言ってしまいますが、初めてこのストーリーに触れた時、本当に感動しました。
今では、そんな彼女の音楽観だけでなく、一歩ずつ歩み続け自分を変えていこうとする勇気を心から尊敬していますし、一つの目標にもしています。キャラクターが人生を変えてくれたというお話は何回か聞いたことがありますが、まさか自分がその対象になるとは思ってもみませんでした。白金燐子に出会うきっかけをくれた友人には、この場を借りて感謝申し上げます。本当にありがとうございました。


最後に

第2部は以上になります。
燐子はコンクールと向き合い、悩み、苦しみ、その果てに自分の音楽の原点を取り戻しました。そして、さらに一歩ずつ前へと進んでいくことを心に誓いました。
もうかつての臆病な彼女はどこにもいません。彼女はこれからも前進していきます。

第3部は、高校3年生となり、より成長した燐子が、様々なことに挑戦しながら、Roseliaとして一つのゴールに到達する物語です。燐子の記事はついに一つの区切りを迎えますが、気ままにお待ちいただければと思います。

ここまで読んでくださいありがとうございました。それでは、また。


燐子、私と出会ってくれて、ありがとう。

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