ガルパイベスト「とまどい、迷い、抱きしめたまま」感想
こんばんは、Meziroです。
数日前に記事を書いたばかりなのですが、今回はいつもの調子に戻ってストーリーの感想を記していこうと思います。
題材は、ガルパイベント「とまどい、迷い、抱きしめたまま」のストーリー。まあ皆さん予想はついていると思いますが、燐子メインです。
また、当該イベントに新曲として実装された「Original Call」の歌詞についても触れていきたいと思います。
※最近感想記事を書いてて気づいたんですが、ですます調だと書きづらいので、ここから急に口調が変わります。ご容赦をば。
迫られる選択(あらすじその1)
はじまりは、燐子たちが通う花咲川女子学園の生徒会での1シーン。議題は「生徒会室の書類整理」についてだ。どうやら生徒会に提出された書類の整理が不十分で、あとから見返す際に苦労しているらしい。しかし、生徒会の仕事の量も多く、その整理を生徒会メンバーだけで行うのは難しいので、他の委員にも協力してほしい、というのが今回の提案である。
そのまま議論は進み、多数決を採ることに。すると、参加者9名のうち、生徒会長である燐子以外のメンバー8名は、賛成4名・反対4名とはっきり分かれてしまった。つまり、残る1名である燐子の意見によって多数決は決し、必然的に燐子の意見が全体の意見になる、ということだ。
しかし、燐子はその場で決断できず、結局その日の生徒会では結論は出せなかった。
その後、スタジオに向かう途中で燐子はリサと会い、その出来事について相談する。そのなかで、燐子は決断できなかった理由を以下のように述べている。
すると、リサもこう返してくる。
結局、リサは気にしすぎないほうがいいとアドバイスをするが、根本的な解決には至らず、そのままスタジオへ入ることに。
場面は変わって、スタジオでのバンド練習。練習も一段落したところで休憩時間に入ると、話題は新曲のことに。友希那曰く、さわりはできているが構成に悩んでいて、その候補は「メロディアスなロックナンバー」か「バラード的な広がりのある構成」、とのこと。その上で、友希那はみんなの意見を聞きたいらしい。そう、ここで再び二択が現れたのである。
完成している部分を聴いた燐子は、それぞれについて明確な印象を持つことはできていた。
しかし、明確な印象を持つことができていたからこそ、燐子はどちらも気に入っており、ここでも結論を出すことができなかった。
さらに、その後のあことのNFO(ネトゲ)でも二択に迫られ、燐子は完全に二択に苦手意識を持つようになってしまう。
選ぶことを楽しむ(あらすじその2)
すると、数日後、そんな燐子を見かねてか、リサは燐子をショッピングに誘う。もちろん目的は気分転換。実にリサらしい方法である。
二人はアパレルショップに入り、服を見ることに。リサは気になった服が2つあるから、燐子に選んでほしいと持ちかける。そう、また二択である。このイベスト二択多すぎ。
二択を警戒してしまっている燐子はたじろいてしまうが、リサはもっと軽い気持ちで答えてみてほしいと伝える。少し気が楽になった燐子は、それぞれの服の特徴を的確に捉え、さらにはリサが持っている他のファッションアイテムとどのように合わせるといいかまでアドバイスした。
その結果、買う服を一つに絞れたリサ。燐子に感謝しつつ、その後もショッピングを楽しんだ。
しばらくして、ファミレスで休憩することにした二人。そこでは、『新メニュー&復刻メニューフェア』と銘打って、二つのデザートを特集していた。またしても二択。しかし、いつしか燐子も悩むことを楽しめるようになってきていた。実は、それこそリサの狙いだったのだ。
どちらを頼むか悩んでいた二人だが、ここで燐子がある提案をする。それは、「それぞれが1つずつ頼んで、シェアする」というもの。リサもそれに大賛成。無事悩みは解決し注文することに。
そして、この流れのなかで燐子はこんな気付きを得る。
二択をせまられたとき、その答えは決して2種類だけではない。隠されたいくつもの選択肢がある。それこそが今回のストーリーの肝である。
狭間にある真理(あらすじその3)
後日、再び生徒会の会議のなかで書類整理が議題に上がった。前回は結論を保留にしていたが、燐子はどのような結論を出したのか。
燐子はどちらかを選ばなかった。どちらでもない第3の選択。それこそが燐子が見つけた真理だった。
すると、生徒会や委員会のメンバーもその提案を了承。無事、議論は結末を迎えた。
そして、結論を出さなくてはいけないもう一つの場所、Roseliaの練習へと向かった燐子。そこで燐子が見せた答えは、やはりどちらでもない、しかしどちらの要素も取り入れた、そんな音楽だった。
この提案をRoseliaのメンバーも大絶賛。かくして、Roseliaの新曲はその構成を基調に形作られていくことになった。
皆のための「決断」
私は、今回この記事を書くにあたってストーリーを読んだ際、一つの疑問に直面していた。
「燐子は、Roseliaの一員となり成長していくなかで、そういった決断をする勇気を持てるようになったのではなかったのか?」
以前の記事にも書いたように、Roseliaに加入する前の燐子は、引っ込み思案で、決して前に出るタイプではなかった。しかし、Roseliaの一員として活動していくなかで、燐子は一歩を踏み出す勇気を身につけ、ときにはバンド全体を正しい道へ連れていくこともあった。
では、今回のストーリーで燐子はなぜこれほどまでに決断することに躊躇いを感じてしまったのか。それは、決断の種類に理由があると思われる。
今までの燐子の決断は、自分を変えるため、または、Roseliaが、ないしはそのメンバーが正しい方向へ進むための決断だった。そして、その決断は、ピアノのコンクールに出場するかしないかであったり、LOUDERを封印するという友希那の意志に賛同するかしないかであったりと、「何かをやるか、やらないか」という、まさに一歩を踏み出すことを試されるものばかりだった。
しかし、今回は事情が異なっていた。
たとえば、生徒会での一連の出来事。もちろん、自分を変えるために生徒会長になった燐子は、その職務を全力でこなしている。だが、今回の議題においては、生徒会や委員会のメンバーそれぞれが理に適った意見を有しており、どちらに転んでも、はっきり言ってしまえば全員が納得する結論は得られなかっただろう。これは、一歩踏み出すことによって新たな景色が広がっていた今までの燐子の決断とは、性質が違っていたのだ。
それは、Roseliaの新曲の構成についても同様だ。「メロディアスなロックナンバー」だろうと「バラード的な広がりのある構成」だろうと、どちらにせよそれが「Roseliaの楽曲」であることには違いなく、どちらかが間違っているわけではない。
だからこそ、片方だけを選び、もう片方を選ばないという選択は、燐子にとって一歩を踏み出すのとはまた違う決断であり、躊躇いがあったのだ。
「優しさ」ゆえの悩み
今回、燐子が二択の選択に苦手意識を持ってしまった理由の一つに「選ばれなかった方の気持ちを考えてしまうから」というのがある。これは、あらすじの序盤のリサからの指摘にもあるように優しさからきているものであるが、実は今までの燐子のストーリーにおいて、この「優しさ」という面が描かれたことは少なかった。
確かに、燐子のキャラクターを知っている人間からすれば、燐子がそのような思いを抱くことは想像に難くないのかもしれない。しかし、たとえばRoseliaという領域においてこのような「優しさ」をテーマにしたストーリーを描くのであれば、メインは間違いなくリサだ。どこに対しても気配りができる彼女は、まさしく「優しさ」を持った人間である。
今までなら、燐子のイメージから「決断をためらう」理由を想像しろと言われれば、それは、「自信の無さ」の表れ、という解釈が最もあてはまっていただろう。彼女は音楽そのものやその周りについての決断には強い意志があるが、やはり根は気の弱い少女。どこでも自分の意見を貫けるタイプではない。
だからこそ、今回のストーリーにおいて、その躊躇いの裏に、ただの優柔不断ではない、「優しさ」が隠れていたのだとわかったときは、個人的にとても嬉しかった。どちらにも納得してもらいたい、笑顔になってもらいたい、そんな強い意志があるからこそ、彼女は悩んでしまったのだ。
たとえ通用しなくとも
燐子は生徒会での一件のあと、紗夜にこんなことをこぼしている。
すると、紗夜は燐子にこう返した。
確かに、二択の課題に対して新たな選択肢を提案する今回の解決法は画期的であった。しかし、真に重要なのは、その解決法自体ではなく、全員が納得できるような、そんな結論を出すために懸命に思考を巡らせ、悩み抜いたそのプロセスなのである。そして、それだけの努力を自然にできる才能こそが、燐子の長所であり強さなのだ。
この点は、紗夜だけでなく友希那もこう評している。
Roseliaのことに限らず、どんなことに関しても慎重に、そして真剣に悩み抜くことができるからこそ、燐子は自ずと正しい道を選ぶことができるのだ。
楽曲「Original Call」について
ここからは、本イベント開催時に実装された楽曲「Original Call」について触れていく。
まず、ジャケットを見てもらいたい。
このジャケットの絵のイメージ、どこかで見覚えはないだろうか。実は、Roseliaの練習で新曲の2パターンのさわりを燐子が聴いたときの、それぞれのイメージそのものなのだ。忘れた人は是非この記事の前半を確認してもらいたい。
そして、その2つのイメージの境界が光り輝いているが、これこそが燐子が選んだ「第3の選択肢」である。その選択は光をまとい、道を照らしていくのだ。
次に題名「Original Call」。意訳するのであれば、「新たな選択」といったところか。正直そのままである。
ここから歌詞の話にも入るが、今回の歌詞はかなり直線的でわかりやすいものが多い。たとえば1番Aメロの
どちらかを選ぶ瞬間 いつもその狭間に真実がある
や、サビの
私しか辿り着けない 答えを信じて 鮮麗な英断を下そう
は読んだ通りの意味である。
そこで、今回はある一部分の歌詞についてのみ掘り下げたいと思う。それがこれだ。
幾度となく出逢う岐路 間違えずに進み続けて行ける 過去がくれた優しさ
私はこの歌詞の最後にある「過去がくれた優しさ」という部分がずっと悩まされた。もしかしたら、過去にこういった二択の決断についてのストーリーがあったのかと思っていたが、いくら探しても出てこない。
そこで私は最終的にこう考えた。
燐子は幼いころから気が弱かった。自分の意見で周りを困らせるのが嫌だった。それは、他人に対しての「優しさ」も一因だった。そして、それは今の燐子にも引き継がれている。その優しさは時に燐子の決断を鈍らせるかもしれない。しかし、その優しさがあったからこそ彼女は悩み抜き、新たな答えにたどり着く。それこそがOriginal Callであり、進むべき正しき道なのだ。
終わりに
さて、こんなところでそろそろ今回の記事を締めたいと思う。
今回のストーリーは、燐子がメインでありながらテーマが「音楽」ではない、という今までにあまりないパターンであり、彼女の本質に触れるにはもしかしたらまだ理解が足りないかもしれない。
しかし、これほどまでに私に光をくれる彼女のことを、私はもっと知りたい。彼女と同じ視座に立った時の景色を見たい。だからこそ、これからも私は彼女の行く末を追っていきたいと思う。
それでは、また。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?