教えてくれたこと

あれは、夜が深くなった頃だった。

気のせいだ。きっと気のせいだから早く寝よう。そう思ってベットに入った。

翌朝、シャワーを浴びようと服を脱いで確信した。

あぁ、ぎっくり腰だ。

腰が痛くてズボンも下着も脱げない。

この一年弱、毎日オフィスでパソコンの前に座って仕事をして、家に帰ってもパソコンで仕事をするか動画を見ているくらいで全くと言っていいほど体を動かしていなかった。

それからというもの、生きている世界が変わった。

毎日歩いて5分で行けた職場には10分以上かかる。こんなにもインドの道はデコボコ、歩きづらかったのかと気付く。

座っていると腰が痛くなる。1日ってこんなにも長いのか。こんなに長いのに、ずっとパソコンの前に座っているだけなのか。

社会人一年目にしてはわりといいお給料もらって、そこそこな暮らしをした一年だったけど、自分の好きなこと・やりたいことに死ぬほど熱中するわけでも、余暇を全力で楽しんだわけでもない。

スキルアップなんて程遠いけど、とりあえずは自分を好きと嫌いをしっかり知った一年で、そういう意味では実り多い時間を過ごせたのかもしれない。

失恋とかぎっくり腰とか、合わない職場で働くこととか、一見ネガティブに見えることほど新しい世界というか視点をもたらしてくれるので嫌いではない。