菅田将暉 キネマの神様

#菅田将暉作品を語る

菅田将暉さんがこれまでに出演した作品の数々。
私はそのどの〝菅田将暉〟も大好きだけど
今回は、私が3年ぶりに映画館で見た作品、
『キネマの神様』の〝菅田将暉〟ついて話そうと思います。

菅田さんの魅力の一つは菅田さんの作る表情。
ゴウの希望に満ち溢れた心は
台詞のないシーンでも伝わるように思います。
眉毛の動きや目の輝き、頬の動きや口角。
使えるパーツを全て使っているのに大袈裟でない。

私なら、好きなタレントさんが
出演されている作品を見たら、
役ではなく、
そのタレントさんとして見てしまうのに
菅田将暉さんの演じる役はどれも
〝菅田将暉〟ではなく、その役でしかない。
あんなにかっこいいのに
ダメダメな役も、悪役でさえも似合ってしまう。
そしてそのどれも
〝菅田将暉〟だけど〝菅田将暉〟じゃない。
菅田さんのお芝居で印象深いのは目と眉毛。
菅田さんは目と眉毛でほとんどの心境を
伝えきれてしまうのではないでしょうか

今回、菅田さんの演じた若き日のゴウは
映画に真っ直ぐで、一生懸命で、
自分の作る作品に対して妥協を許さない一方、
プレッシャーに弱く、自分の思い通りにならないと投げやりになってしまう、大人げない一面を持つ人だと感じました。
情けない一面を持ちながらも、淑子やテラシンに
愛され、決して見放されないゴウ。
その理由は劇中の誰の台詞にある訳でもなく、
菅田さんが見放せないゴウを演じていたからだと
思います。



そして菅田さんの二つ目の魅力は声。
菅田さんのお芝居には大きく分けて
二通りの話し方があるように思います。
一つは自然な話し方。
もう一つははっきり、滑舌よく話す話し方。
単調でない菅田さんの話し方に
見ている人は、
より引き込まれるのではないでしょうか。
菅田さんの、優しく、力強い話し方は
簡単に真似できるようなことではないと感じます。
決して菅田さんご本人の喋り癖ではない、
それぞれの役にあった話口調、そして声のトーンは
観客を引き込む秘訣だと思います。
私は、菅田さんの話し方で
母音が〝あ〟と〝お〟の言葉が好きです。

三つ目の魅力は菅田さんの身振りや手振り。
人には普通、表情や話し方、
身振り手振りの癖があると私は思います。
菅田さんの走り方もその一つだと思っていましたが
今回は違いました。
海辺で太陽に向かって走るシーンの走り方は
〝菅田将暉〟ではなく〝ゴウ〟だと感じます。
菅田さんは、ご自身の
表情や話し方、身振り手振りの癖を
全て把握していらっしゃるのか、
それとも、役に入れば無意識に
その癖を無くしてしまえるのか
とても興味深いと思いました。


今回の映画で私が印象に残っているのは
ゴウの何気ないシーン。
感情的になるシーンでも、
見せ場と呼ばれるシーンでもなく
ゴウの日常の何気ないシーン。
これが菅田将暉の魅力の全てだと感じます。
特別なことを特別にせず
当たり前を当たり前で終わらせない菅田将暉が
私は大好きです。

そして、今作とは関係のない話ですが、
私が菅田さんのファンになった時の話を
少しだけさせて下さい。
二年ほど前、当時長期入院をしていた私は
いくら治療を受けても良くならない自分の体に
嫌気がさし、
「治療なんかやめて、このまま死んでしまいたい」
と感じていました。
そんなとき、何気なく見ていたSNSで
菅田さんの『まちがいさがし』を耳にしました。
優しく、力強い歌声。
誰が歌っているのか気になって調べてみると
〝菅田将暉〟の文字を目にしました。
「この俳優さん、歌も歌うんだ。素敵な歌声。」
何のやる気も起きなかったはずなのに
歌っているのが誰なのか調べたこと、
そしてその曲を何度も聞き返したこと。
小さなことだけど、
私にとってはとても大きなことでした。
それから調子がいいときは動画配信サイトで
菅田さんの出演された作品を観たり
リハビリ室で菅田さんの曲をかけてもらったり
薬や点滴の副作用も菅田さんの歌う曲を
頭の中で口ずさんで耐え、
治療に対しても前向きになりました。

もともと、映画やドラマ、舞台など
演劇が大好きだったのに、入院してから
それに触れる時間も減って、
夢も、希望も何もかも取り上げられた気分に
なっていた私が、
もう一度希望を持つことができたのは
間違いなく、菅田さんのおかげです。

二年十ヶ月の入院治療を終え、
久しぶりに映画館で観た映画が『キネマの神様』
私の観た映画館では、笑い声や
啜り泣く声が聞こえて、
出演者の皆様、スタッフの皆様、
協力企業の皆様、そしてその場にいた観客の方々、
沢山の人がこの作品の感動を作り上げているんだと
感じました。

本当に観て良かった。
また映画館で映画を観られて本当によかった。
今作も菅田さんの魅力がたっぷり詰まっていました。

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