家族編

母がいる。母と一緒に暮らしている。
島根に来て1日目。寂しくなった。
2日目。帰りたくなった。居心地のいい我が家に。母の気配を感じていたかった。怖くて不安で。それは見知らぬ土地に対してもだし、車を運転することに対しても。自分が操作したことで進んでいる。怖すぎる。
3日目。もう甘えたくてしょうがない。守られた何もしなくても全てやってもらえる家に帰りたくて仕方がない。威圧的な教官。なんか私がエンストするたび謝っても全然機嫌治んない。気を遣って話聞いても気に入られない。なんで。怖いよ。
母。母。助けて。大丈夫って言って。甘えさせてよ。
自宅まで高速バスで12時間。そんな簡単に帰れない。自分で身の回りのこと、毎日をやるしかなかった。
4日目。怖い。ビクビク怯えている。母という大きな後ろ盾がないと歩けない。進めない。怖い。でもホテルに帰っても1人。
5日目。もう無理。怖い。パニック。なんでこんなことしてるんだろう。大人しく自分の部屋で引きこもってればよかった。免許取るなんて無謀な挑戦するんじゃなかった。もう嫌。でも…母よく許してくれたなバイクの免許取るの。バイクで亡くなった人がいるって言ってた。いく前に気をつけやとは言われた。でも、免許を取ること自体は止められなかった。なんでだ。あの厳しい母が。
6日目。母に初めて連絡した。電話した。昨日の疑問を聞いてみた。なんでバイクの免許取ること許してくれたの。
だって言い出したらあなた聞かないじゃん。だし、免許ならいいかなって。
愛だなぁと思った。母は信じてくれていた。私のことを信頼してくれていた。どんな状況でも。
行っといで、母の意見とは違うことをする娘を送り出す。懐の深さ。
教官に教えてもらえるのは自動車学校だけだよ。だから、いっぱい失敗して教えてもらい。最悪免許取れなくても大丈夫。安全に気をつけて帰っておいで。
すごいなぁ。母。無性の愛を感じた。
あともう一つ。母の健康を心配に思った。私が島根に来てからちゃんとしたもの食べてないらしい。自分のために料理するのはちょっと…1人で食べても寂しいじゃん。大好きな母には健康でいてほしい。長生きしてほしい。ただ母の幸せと健康を願った。
母と私は別の生き物だ。家族でも全ては分かり合えない。どんだけ時間を過ごしても。だからこそ、願った。感じた。ありがとう、いつも。ありがとう母。これからもよろしくね。

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