初めて父親の名前を知った話

保健所「指定難病の人は受給者証の更新するんやで~。必要な書類を絶ッッッッッ対に読んで一式耳そろえて9月までに送るんやで~」

2年前に働いてたパン屋でメンタルやられてて一式用意したのに郵送を忘れた僕「今やる今やる今やる今やる今やる

身分証のコピーやらお医者に書いてもらうものをその場で書いてもらったりしているうちに、必要書類一式の中で僕が書く欄に、「出生地」という欄がある。

出生地……??
去年そんなん聞かれなかったが??
え、どこの病院で母が出産したかとか分かる? 戸籍で?

と、おっかなびっくりしながら市役所へ行く。

僕「出生地書かなきゃいけないらしいんですけど」
お兄さん「じゃあ戸籍謄本ですかね? 市民課です」

僕(うろうろ)
おじさん「大丈夫ですか? どういった御用です? あー戸籍謄本ですね。申し込み書これなんですけど、ご自身の本籍地分かります?」
僕「!? ……分かんないです……」
おじさん「じゃあ住民票の発行もしないといけないので、こっちのここだけ書いてください」
僕(カキコカキコ……)
おじさん「受付票もらっておきましたよ~。あ、いまちょうど呼ばれてますね、あそこの窓口ですね」

お姉さん「用意できたらあの大きいパネルに番号が出るので座ってお待ちください~」

介護されながら必要項目を書くための書類をゲット。
書き終わって改めて戸籍を見て気づく。

僕の「本籍地」ってどこ? 知らんが。
僕の父親の名前書いてある!
僕の父親が離婚した日も書いてある! 自分の子供1歳半のときに独身貴族に戻ったのか! なんて根性なし!

面白。
あとで母に電話したろ。
と思ったら向こうから電話が来た。
ので大いにこの話をした。

母「今思うとジジくさい名前ね!」
僕「あんたが一回結婚した男の名前だがな」
母「まぁ若かったし遊びたかったんじゃない?」
僕「ところでなんで北海道で出産したん?」
母「忘れちゃった~
忘れちゃったかー……。

母「パパが北海道出身だから行ったような気はするけど」
僕「遠いから向こうの義両親に一瞬孫の顔見せようとか?」
母「それではない
なんでそれが違うことは覚えてるんだ。

母「だから1歳児のシングルになったから小学校上がるまでは一人で頑張ろ~と思って母子家庭向けのアパートがある地域に一旦引っ越したのよ。で小学校上がるときにお姉ちゃんの娘とあんたが同級生だからってお姉ちゃんのいる地域にまた引っ越したのよ。田舎だから余所者が来たぞって感じだったけどお姉ちゃんの顔が広いからそんなに変なことはされなかったし」
僕「そして今度は洪水のせいでおばあちゃんちへ一旦引っ越して」
母「そして罹災者のための県営住宅に一旦引っ越して、その無償期限も過ぎてまた引っ越して」

僕「引っ越し多いな」
母「そう、あんたは結構壮絶な人生を送っている……」
僕「指定難病にもなるし」
母「まぁ、あんたは結構手のかからない子だったから……ファミレスでよくいるキッズみたいに走り回ったりとか大声出したりだとかしなかったし、スーパーで勝手にモノ持ってきたりとかこれほしいとか言わなかったし……唯一欲しいって言ったのポケモンだったから珍しいと思って全然普通に買ってあげた」
僕「せやったんか」
母「うむ。だから今病気でお金とかご飯とか、もうちょっとわがまま言ってもいいんだからね!!(迫真)」
僕「えー(´・ω・`)液晶の処分にお金使ったから欲しかったゲーム買えないことくらいしか今困ってない」
母「あーこないだ言ってたやつね。いいよ、買ってあげるよ」
僕「いやいいよ」
母「だめ!( ・`д・´)」
ナンデ?

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