児童性犯罪について

ここ数日、小児性愛をめぐってSNS(X=旧Twitter)上でバトルが繰り広げられました。
しかし、双方ただ感情に任せ罵り合っているだけでできちんとした理解に基づいてなされているようには思えず、一度まとめてみる必要があると思い記事を書くことにしました。
キャラクター文化はこれまで小児性愛と絡められバッシングされてきました。児童性犯罪や小児性愛についてもきちんと理解しておかなければ有効な反論はできません。


すり替えられる論点


インフルエンサーのZ李なる人物が、児童性的暴行事件をきっかけに小児性愛者叩きを始め、これに猛反発が起きました。

事件を批判するのであれば別に批判も起こらなかったでしょう。しかし、Z李氏は「小児性愛者」=「児童性犯罪者」というふうに問題をすり替え、小児性愛者バッシングを始めました。
小児性愛者とは何かという基本が彼は分かってないのか、あるいはわからないフリしてすっとぼけているのかは知りませんが、小児性愛とは「単に」児童にしか性愛感情がわかないというだけの一つのシコウ或いは性癖に過ぎません。
「単に」一つのと書いたのは、世の中にシコウや性癖は無数にあるということです。
小児性愛者を非難したり、病気であるから治療しなければならないと主張する人たちを見ていると、あたかも、世の中には成人にしか欲情しない「ノーマルな、正常な」人間と、児童にしか欲情できないけしからん「小児性愛者」の2種類のみがいて、後者を制圧しなければならないという妄想に駆り立てられているかのようです。
性とはそんな二元論で語れるような単純なものではありません。相手の年齢に囚われない、すなわち大人も子供も満遍なくその欲望の対象とする性癖、シコウなど無数にあります。
児童性暴力事件の加害者の大半は、小児性愛者ではなく、成人の異性のパートナーと普通に性生活を送る、「普通の」、被害者の身近な成人男性です。

一人のレイプ犯の被害者がそれこそ一桁から50代と多岐にわたってた事件も珍しくありません。
子供を欲望の対象にするのは小児性愛者だけではありません。

児童(というより幼女)に性的暴行し捕まり、Z李氏が「ペド」と罵り叩いていた保育士の男性は、「資産家の息子」「好青年」「2人の息子がいる」「愛妻家」「小さい子に(性的)興味がありようにはとても見えなかった」という評判で、小児性愛者ではないでしょう。


なぜZ李氏は小児性愛者叩きに興じているのか?
氏にはどうもホモソーシャル・マチズモ信仰があるようです。小児性愛者たちを貶めマウンティングする。
あるいは、”劣った”小児性愛者たちを、優れた自分たちのステージにまで引き上げてやりたい、みたいなパターナリスティックな態度も見られます。
フォロワー80万人超のインフルエンサーが、ヒーローを気取り、そうした歪んだ欲望のために間違った言説を流布することは、社会の、問題に対する認識を誤らせ、かえって問題解決を遠ざけることにならないでしょうか。

狂気を感じる小児性愛叩き


この”薬物治療”なるもの、単に性欲を抑えるだけで、氏が想定するような治療、すなわち「性的欲求の対象を成人女性に軌道修正する」とは全く違うベクトルのものでしょう。氏の主張には混乱が見られます。
そもそも、前述のように、子供に実際に欲望を向けうるのは小児性愛者とは限りません。いかなる性欲だって子供に向かわないと証明することは不可能です。「性欲を持つやつすべてが子供にとって危険だから全員この薬飲んで性欲なくせ」と言わないのはご都合主義と言わざるをえません。

もちろん、小児性愛者であろうと非小児性愛者であろうと、大半の人は理性によりその欲求をコントロールし、性犯罪は起こしません。性犯罪を起こす人が問題なのであって、小児性愛か否かはそもそも関係ないのです。

まさにこの方の言うとおりだと思います。
ダッチワイフやラブドール、エロ漫画なんかで欲求が解消できて問題起こさない人は何の問題もありません。
それらのせいで小児性愛が刺激され犯罪を助長するという主張がありますが、馬鹿らしいとしか言いようがありません。それらは欲求を解消するために作られているのですから。

それに、ダッチワイフやエロ漫画がダメと言うなら成人の女性だって駄目でしょう。成人女性との性交渉を容認するということは、子供への性暴力に対するハードルをも確実に下げています。

赤線は筆者。

ただし、もちろん、欲求解消のすべがなく、欲望が抑えきれずに犯罪を犯してしまいそうな人、社会生活に支障が出ているような人は病院に行き、Z李氏の紹介にあるような薬物治療を考えてもよいかと思います。
本人が加害行為を起こしてしまうのみならず、被害者も出してしまうことと、副作用のリスクとを天秤にかけた場合、副作用のリスクがあったとしても性欲を抑える薬を飲む意味はあろうかと思います。
ただし、そうでないのならその必要はまったくありません。
必要のない人に薬を飲ませることは害でしかありません。

あとブロックされてるので気づかなかったのですが、この過去に衆院選にも出た人物はこんな狂気じみたポストをしてたのですね。戦慄を覚えます。

児童性犯罪をなくすには・・

いま日本版DBSというものの導入が検討されているようです。子供と接する仕事に就く人に性犯罪歴がないことを確認する制度です。
これに私は懐疑的です。
児童性犯罪者の証言に、「子供だと発覚しづらいと思った」というものがあります。性犯罪者が捕まってはじめて何十件もの余罪が発覚することもあります。捕まるまで発覚せず性犯罪を繰り返してきたということです。
DBSが導入されることで油断が生じスキができてしまうことになります。
もちろん導入はいいですが、あくまでも気休め程度にしかならないでしょう。

昨年小学生が在籍する進学塾の講師が盗撮容疑で逮捕されました。
塾の対応は素早かった。防犯カメラの設置、しかも保護者がその映像を確認できるようにしました。更に講師の教室へのスマホ持ち込み禁止、警備員の巡回・・

不祥事は塾の経営に直結しますので、当然と言えるでしょう。
それに引き換え、学校は塾なんかよりもはるかに多くの性犯罪が行われている印象ですが、対策は遅々として進んでいないようです。

学校こそ防犯カメラを設置が不可欠です。学校の成績は進学するうえでの資料となり、(塾などとは比較にならないほど)教師と児童生徒の間に支配・被支配の関係が生じやすい。
防犯カメラは抜群の抑止力を発揮し、性暴力のみならず、いじめなど学校の諸問題にも幅広く活用できます。
セキュリティは外部委託し、警備員の校内巡回とかもおこなうといいでしょう。
むしろこういったことをしないで、日本版DBSの議論に無駄な時間を費やしているあたり、国のやる気のなさというか当事者意識の希薄さというものを感じざるをえません。

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