見出し画像

メタバースと社会問題:新しい形のアクティビズム

Robloxの「(PALESTINE) Dataran Tanjung Mas」というパレスチナへの連帯と支持を表現する新しい体験が注目を集めています。

本コラムではZ世代が中心のメタバースコミュニティが社会問題にどのように取り組んでいるのか、Robloxを例にご紹介します。

1:Robloxでのパレスチナ支持運動

イスラエルによるガザへの激しい空爆が6500人以上の命を奪って以降、ロンドンからカラチ、アンマンからケープタウンに至るまで、世界中の都市でパレスチナへの連帯抗議が広がっています。

一度に最大200人のユーザーがデモ行進に参加可能

そして今、メタバースユーザーも新しい形で活動に参加しています。

マレーシアのRobloxプレイヤーが作成した「(PALESTINE) Dataran Tanjung Mas」というプロパレスチナの体験は、10月14日に作成されて以来、60,000回以上訪問されています。

2:メタバースと既存の社会運動

メタバースユーザーが社会的な問題に反応するのは初めてではありません。

https://images.app.goo.gl/YDCa1PcBB6ARgqzq8

2020年には、「The Sims」のユーザーがBlack Lives Matter運動を支持するための仮想集会を作成し、人種差別や社会的不平等に対する世界的な抗議活動を行いました。

3:メタバースで伝えたいメッセージ

TikTokアカウント@cikguzydが共有したRoblox内での抗議動画には、アニメーションされたキャラクターたちがパレスチナの旗を持ちながら行進しています。

一部のプレイヤーはマレーシアの旗も持っています。抗議活動は「Solidari5y Untukmu」と書かれた広告看板の前で締めくくられます。

このようなメタバースでの抗議活動の背景には、ヨーロッパの政府がデモを禁止したり、パレスチナの自由を訴えるスローガンで逮捕される可能性があるなど、リアル世界での表現の自由に制限がある状況が寄与しています。


メタバース内での活動は国境を超えた連帯と協力を実現します。
SNSと簡単に連携できるため、TikTokやXなどでそれらの活動が瞬く間に拡散され、一つの小さな運動が大きなムーブメントに繋がる可能性もあります。

しかし、このような活動には良い面もあれば、懸念すべき点も存在します。

例えば、メタバース内での抗議活動が瞬く間に拡散されることで、情報の真偽が確認しきれないままに大きな影響を与える可能性や、オンライン空間での活動が増えることで、リアルな行動への移行が希薄になる「スラックティビズム」の問題も指摘されています。

メタバース内での抗議活動は、そのプラットフォームを運営する企業のポリシーに大きく依存するので、企業がそれらの活動を制限する場合、表現の自由が脅かされる可能性も考慮しなければなりません。

国際的な問題に対するスタンスが明確でない場合、メタバース内での抗議活動が外交問題に発展するリスクもあります。これは特に、政府と企業が密接に関わっている国々で懸念される点です。

このように、メタバースが新しい形のアクティビズムの場として機能する一方で、その運用と影響には多くの課題と注意点が伴います。

それでもRobloxの事例のように、新しい形の表現が社会や政治に与える影響は無視できないものとなっています。

どのようにメタバースを活用、または規制していくのか。
メタバースの存在意義が真に問われるはこれからかもしれませんね。


参照:Kids in Malaysia protest for a Free Palestine on Roblox (newarab.com)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?