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【第15話】 キラキラした朝の光は、どこかCDの輝きみたいだ

 VRのライブハウス “SCREAM!!” からマリンは部屋へと戻ってきた。
 時計をみると、朝6時過ぎ。カーテンが窓の外からの光を溜め込んでいて、シャッと音をたてて開けると、放たれたように勢いよく差し込んできた。「きれい……」初めて、朝日が清々しいものに感じた。
 マリンの母が準備してくれた朝食のグラノーラを食べながら、思い切って「歌いたい」と伝えてみた。
 すると、「やっぱりね」と母が微笑んだ。「やっぱりって?」と聞くと、
 「だってマリン、小さい頃から歌うのが大好きだったんだもん。音楽かけると機嫌良くなってキャッキャ笑って。私たちの音楽好きの遺伝子が流れてるんだねって言ってたんだよ」と笑った。
 校舎への坂道を登る。いつもはイライラしていた朝の日差しが、今日はなんだか寄り添ってくれているような気がした。
 キラキラした朝の光って、どこかCDの輝きみたいだ。
 朝のホームルームの時間、窓の外を見ると、澄み切った水色が四角い窓枠から溢れるように広がっていた。その鮮やかさにマリンが見惚れていると、隣のクラスからワアッと大きなざわめきが聞こえてきた。
 「何があったんだろう、なんか楽しそうでいいな」
 その大歓声にマリンは “SCREAM!!” でのことを思い出す。
 そういえば、カードを拾って最初に行ったあの場所はどうなっているんだろう。
 気になって学校帰りに行ってみると、そこには、ただシャッターの閉まった古い建物だけがあった。
 そしてどこかで見たことのある男が、それを見つめ、佇んでいた。