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仮面ライダーが追えなくなった

日記です。


9月の暮れ、僕の住む北海道の辺境ではそろそろ雪が降ってもおかしくないくらいの時期になってきた。

9月にはもう1つ大きなイベントがある。
仮面ライダーの交代イベントだ。

一年周期で放送されている仮面ライダーは8月末頃に最終回を迎え、9月頭に新しい仮面ライダーへと世代交代されるのだ。

ドヤ顔で語ってるが、
僕はもう仮面ライダーを観れていない。

事の始まりは覚えていないが今年の1月辺りだろうか。今まで好きだったものに対する情熱がフッと冷めた。一瞬だった。鬱病の典型的な症状らしい。

ポージングに拘ったフィギュアは倒れたまま。
漫画を読んでも何の感情も湧かない。
未視聴のアニメも溜り今から観るにはリモコンが重いし、どのみち観ない。

かれこれ10年以上追いかけていた仮面ライダーも例外ではなかった。
変身ポーズは覚えているのに、変身ベルトに電池を入れて遊んだのはいつだったか思い出せない。

心を満たしてくれたものがいつの間にか自分の身体からスゥッと抜けていく感覚。
"好きだったもの"は"どうでもいいもの"に変わり、透明になってどんどん身体から抜けていく。
「大切なものは失ってから初めて気づく」なんて恋愛ソングは歌ってるけど、僕の身体から抜けていったものは"大切なもの"ですらない。

失う事による哀しみの感情すら湧かないのが不幸なのか幸いなのか分からない。
気分転換になるはずのものが効かず、むしろ悪循環になってしまった。
鬱病怖すぎる。

自分からありとあらゆるものが抜け落ちていき、このまま空っぽになって死んでいくんだ。
鬱の底に沈みながら昔の事を思い出した。

会社の飲み会で上司から休日は何をしているのかと聞かれたので録り溜めたアニメを観ると答えたら笑われた記憶。
ボーナスが入ったので僕は2万円する変身ベルトを買った。先輩はスポーツカーをローン組んで買っていた記憶。
プリキュアの映画を観に行く為1人で街に繰り出す僕と、先輩と一緒にゴルフに行く同期とすれ違った記憶。

いつも不思議だった。
なんでここまで違うんだろうと。
誰だって最初は好きだったハズなのに、なんでみんなで示し合わせたかのように忘れていくんだろうと。

違うんだ。忘れていった訳じゃない。

交代していくんだ。

仮面ライダーみたいに、
好きなものはバトンタッチしていくんだ。

鬱の底に伏せて気づいた。

多分、僕の中に好きなものの世代交代が行われようとしている。
確かに仮面ライダーはもう観れていない。
それでも新しいおもちゃが並んでるとなんとなく箱を手にとってしまうし、Twitterで新情報が出ると心が踊る。
佐藤健くん(仮面ライダー電王)や菅田将暉くん(仮面ライダーW)や福士蒼汰くん(仮面ライダーフォーゼ)や竹内涼真くん(仮面ライダードライブ)がテレビに出ると照れくさくなったりする。

全てがまるっと交代していった訳じゃない。
プリキュアは新しいダンスを覚えるのに必死だし、身体の調子が良い時は漫画喫茶に籠もって流行りのものや興味があるものを少しづつかじっている。
(チェーンソーマンは色々しんどかったのでしばらく距離を置く事にした)

すっかり小さくなってしまったけれど、まだ僕の中には"好きだったもの"が残っている。
しかも新しい好きなものも増えている。本当に少しづつだけれども。

たまに、現実が怖いから逃げるように今でもアニメやマンガをみてるんじゃないか。
と、うっかり鬱へダイブする日もある。

現実とかいう怪物は鬱じゃなくても何歳になっても怖いだろうよ。


でもきっといつか、仮面ライダーが助けにきてくれるハズだから。

……可能ならプリキュアも来てほしい。

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