見出し画像

Re:Imを掘り下げる

どうも、route9(ルートナイン)という同人サークル兼ロックバンドにて、代表とギターボーカルを担当している「あぐに」と申します。
早速ですが、今月頭の例大祭で我々が発表した1stアルバム「Re:Im」の収録楽曲について、当時の思い出(?)なんかを振り返りつつ、まったり解説していければなと思います。
ちょっとした暇潰しでも何でもいいので、今作を手に取ってくださったorこれから手に取ってくださる貴方にとって、少しでも有意義な記事になっていればこちとらこれ幸い〜。

では、早速いってみましょう。


◎Re:Im
まず、タイトルの由来について。

Re:Imに収録されている7曲は、一貫して「歌詞の主人公が何らかの困難に陥りながらも、それを乗り越えようとする」というテーマを軸に歌詞を書いている。そのため「自分を再構成する」という意味合いをアルバムに持たせたく、このようなタイトルに落ち着いた。
そして、このアルバムの主役は「一度シングルとしてリリースされているものの、以前のテイクを超えるという目的を持った再録の曲たち」である。
さらに個人的な話をすると、route9結成前にくろとはバンドを組んでいたが一度失敗していて、それでも「route9として音楽活動をリスタートさせた作品だぞ」という気持ちを込めたかったのもある。

ちなみに、正式な読みは「リアイム」だが、そのまま読むと「レイム」とも取れる。事実、このアルバムには霊夢をテーマにした楽曲が2曲収録されている。

・・・タイトルについては以上!


◎EMOTIONS
幽霊楽団+天空の花の都アレンジ。
2022年夏、この曲を収録した手焼きCDをくろと2人で制作したところからroute9の活動はスタートした。その数ヶ月後に「この東方アレンジがすごい!」に取り上げてもらったことも含めて、何かと思い入れの強い1曲。
手焼き版では俺、くろの初期メンバー2人で演奏していたが、リズム隊にありくんとようかいが加わったため、今回は4人全員で各パートを再録(他のリテイク曲×4についても同様)。

原曲イントロのメロディをサビで歌っていたり、逆に原曲サビのメロディはラスサビ〜アウトロ間にちょろっと差し込んだり、当時の自分なりに色々と捻った感が滲み出ている曲。初の東方アレンジ曲だからこそ、既存のアレンジと被る要素をできるだけ減らそうとしていたのかもしれない。そのせいで幽霊楽団アレンジの定番である「てててて」をサビに入れられなかったことは少し心残りでもある・・・。
とにかく、ギターソロがかっこいい。軌道を自在に操る光線銃のようなサウンドが爆イケオブザイヤー受賞級。あと、歌がムズい。

YouTubeにてリリックビデオを出しているので、観てみてね〜 ↓


◎ナイトスケープ
二色蓮花蝶アレンジ。にいるれんかちょう、と読むらしいです。初見じゃ絶対読めない原曲、あるよね。
初ライブ「Grazy Crazy!!#4」に出演が決まった際、持ち曲が2、3曲しかないことに気づき、焦りに焦った俺が生み出した曲。結果、当日はセトリの半分が新曲という、なかなか攻めた構成となる。Syrup16gかな?

実は、構想自体はEMOTIONSを作っている頃からあった。その時は没曲扱いだったが、改造に改造を重ね、見事復活を遂げる。
初めて「蓬莱人形」で原曲を聴いた時から深く印象に残っていたので、アレンジできて僕満足。秋霜玉バージョンもいいよね。
原曲サビの突き抜けるような解放感とは少し違う、ふわふわと宙を浮かぶような開放感をイメージしたサビとなっている。
個人的には今作の中でも特にお気に入りな曲。

あり坊の爆イケスラップが目立つ曲だが、個人的にはサビのベースラインがお気に入り。
(俺のデモのフレーズを軸にしつつも)メンバーの解釈で弾いてもらい、良い意味で想像と違うフレーズが自分に返ってきた時「あ〜バンドって楽しいな!!!!」となる。これがハマった時、とにかく気持ちいい。
みんなもバンドやろうぜ。


◎無重力の夢
G Free+少女秘封倶楽部アレンジ。
ナイトスケープ同様、結成間もない当時のroute9が抱えていた曲数少なすぎ問題を解消するために生み出された曲(ちなみにこの曲はグレクレ4の2週間前くらい前に完成した)。
初ライブ直前で余裕の無い中、いきなり「新曲できたから次のリハまでに練習してきてくれ!!」というLINEを受け取った時のメンバーの心情を考えると・・・正直すまんかった。
以上の異常な無茶振りがあったにも関わらず、心優しい&シンプルに音楽能力の高い3人により、無事披露と相成った曲でもある。

route9の曲は俺が作っているものの、リードギターのパートは基本的にくろのアレンジが入る。が、この曲と同時期に制作した「パラレル Ver.r9」の2曲に関しては、当時の状況を鑑みメンバーの負担を極力減らそうとリードギターを含む全パートを自分でアレンジした(サビのタッピングなんかはくろのアイデア)。

ZUNさん屈指の名盤だと思っている「大空魔術」の収録曲の中でも、トップクラスに好きな曲。何なら、東方アレンジを始めたときから絶対にアレンジする!と心に決めていた(XがTwitterだった頃、実際に呟いたような気もする)。
イントロから2番サビ後間奏までの慎重に音を繋いでいく展開から一転、堰を切ったように鳴らされる、感情が爆発したようなギターソロがポイント。
気流の激しい大気圏を突き抜け、目の前に広大な宇宙が一気に広がるイメージ。

本作、あぐにパートのギターはBlack Smokerのテレキャスタータイプで録音しているが、この曲のみ当時借りていたSAITO GUITARS S-622を使用した。


◎落陽
芥川龍之介の河童アレンジ。らくよう、と読む。
曲全体のテーマが「秋」なので、落葉(らくよう)とも掛けている。
route9初の3拍子曲。

俺は曲を作る時、①まず脳内でイメージを膨らませ、②ある程度考えがまとまったら弾き語りでコードとメロディを具現化、③DAWにドラムとベースを打ち込んで全体の流れを決める・・・という流れが多いのだが、この曲に関しては弾き語りの時点でほぼ完成していたと思う。
正直、エレキではなくアコギの方が映えたような気もする。いつかリベンジしたいですね。
とはいえ、テレキャスターのフロントPUを絞ったクランチ気味のバッキングの音作りは、上手くいったようにも思う。ギターソロ時のコーラスが掛かった、揺れる水面のような音が気持ちいい(自画自賛)。

歌詞。はぜの葉、北向きの部屋、入日など、童謡「ちいさい秋みつけた」に登場するキーワードを散りばめつつ、自らの孤独と向き合うにとりの心情を綴っている。
というか「太陽の裏側 足跡をつけるように」という歌詞、ミッシェルすぎる。歌詞を書く前にチバユウスケの詩集を読むの、やめようかな・・・
と思ったけどこの曲の歌詞、グレクレ6の翌日に大阪から東京に向かう飛行機の中で書いたから、詩集とか何も読んでなかったな・・・

「やがて冬が来る」というフレーズから次の曲に繋がる展開は、アルバムならではですね。


◎Stargazer
ラクトガール+ヴワル魔法図書館アレンジ。早くもアルバムは後半戦へ突入。
ひとつ前の曲・落陽から季節は流れて「冬」がテーマとなったこの曲は、route9が現体制になってから初めてできた曲である(あまり関係ないが、route9メンバー4人が揃ったのは秋で、この曲が完成したのは冬だったりする)。
この曲のレコーディングからヘルさん宅のドラムセットを使わせてもらっており(いつも有難うございます)手焼き版の時点でドラムの音がめちゃくちゃ良い。
ゆえに、今作のリテイク枠からは外れている。

怪しげで不思議な雰囲気を纏う原曲からガラッと雰囲気を変え、疾走感のあるストレートなロックナンバーに仕上げた。仕上がったと思う。
イントロの一瞬の静寂の後に訪れるギターリフは、原曲サビのメロディをイメージしたもの。このリフは自分ひとりで作っていたデモの段階から存在し、レコーディング前には新しいリフをくろが考えてきてくれていたが、どうしても原曲のメロディを大切にしたく、デモ通りのリフを弾いてもらうようお願いした。

レコーディングといえば、当時はあり坊が指を負傷しており、ベースは油脂の木リーダー兼route9エンジニア(?)のパーム氏にお願いした。彼がやっているオリジナルバンド「ペンギンとジョーカー」の影響なのか、個人的にはピック弾きのイメージが強かったが、後々ありくんが弾くことを想定して全編指で弾いたとのこと。やりおる…

ライブで演奏すると楽しい曲ランキング第1位かもしれない。サビで一緒に歌ってくれるお客さんの顔を見るのが好きなんじゃ。


◎ゼロ
U.N.オーエンは彼女なのか?のアレンジ。本作のために書き下ろした完全新曲。
ひとつ前の曲・Stargazerから続く紅魔郷ゾーン。魔理沙という人間と出会ったことで変わったパチュリーと、誰とも出会えないまま495年という永い時を一人で過ごしたフラン。この2曲、歌詞の結末も大きく異なる。

以前からメンバー(主にようかい)に「ツーバスが映えるような、めちゃくちゃ激しい曲が欲しい」というリクエストは貰っており、アルバムに書き下ろしの新曲を入れることも計画していたので「それならやっちゃうよ?」と意気込んで作った曲。結果、彼の好きな○mm Parabellum Bulletの要素がこれでもかと詰め込まれた、route9史上最も激しい曲が完成した。イントロの「ダダダダダダダ!」というドラムのフレーズも、ようかいのお気に入り曲のオマージュ。ピンと来ない方は是非「VAMPIRE」というアルバムを聴いてみてください。「Vampiregirl」という曲が収録されていますが、東方アレンジではございませんのでご注意を・・・

タイトルは「プラマイゼロ」の略で、歌詞は「たとえ失ったものが多くても、後から得るもので損得が等しくなれば良いよね」的なことを歌っている。はず。


◎セカイ系
万年置き傘にご注意を、のアレンジ。
とにかく速いとメンバーに定評(?)があるEMOTIONSのカップリング曲として、「ゆったり」と「浮遊感」をテーマに作った。
自分が初めて手掛けた東方アレンジかつ、初めてDTMを使って形にした曲。
今作ではキーがライブ仕様となり、我ながらリテイク4曲の中で最も印象が変わった。

ディレイ・リバーブ等の空間系エフェクトをふんだんに使い、音の隙間にふわっとしたと雰囲気を漂わせるイメージを軸に録っていった。実際の雨の音とは全然違うのだが、自分の中でイメージしている「雨っぽいサウンド」があり、それに結構近づけられた気がする。同人は好きなことやったもん勝ちだと思っているので、自分が満足できてりゃそれでいいのさ!
あと、本作で「一番歌を録るのに苦労した曲は?」と訊かれたら、この曲を挙げる。

タイトルはcakeboxの曲のパクリではなく(このnoteのタイトルはシノダさんがヒトリエのサイトで更新していた「REAMPを掘り下げる」という記事のパクリオマージュなんですが)、小傘を含めたふたりの妖怪の狭小な人間関係が破綻し、小傘の世界そのものが揺らいでしまう、という歌詞のストーリーが基となっている。小傘のお相手のイメージはあるにはあるが、ここには書かないでおく。
「赤い視界も 青い視界も 映るものは同じ」という歌詞の一節は、意味不明ながら気に入っている。

とにかく、自分が初めて作った曲ということも相まって、とても大切な曲。
みんなと再録できてよかった。


以上、Re:Im解説でした。
この作品が少しでも多くの東方好きの人、ギターロック好きの人に届くことをやんわり願っております。
今後としては、10月、紅楼夢前日に大阪でライブをすることが決まっています。
また会いましょう。

route9 あぐに



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?