〈読書録〉同一労働同一賃金

本日の読書:「同一労働同一賃金」のすべて 水町勇一郎
この本は、水町先生が辿ってきた、「同一労働同一賃金」ということであって、一般的にいうすべて、というわけではないのだけれど。法改正までの議論経過がまとまっていて、それを知るにはわかりやすい。
今回の法改正が、どちらかというと賃金というわけではなく、「手当」に及んでいる理由は、「日本型雇用慣行」の特徴を捉え、あえて賃金以外の広い範囲を対象とした策であるということがよくわかる。
日本のトップが「非正規をなくす」と言った。どうやらこの背景には伏線が色々とあるようだ。
私の見立てでは、OECDが新雇用戦略に基づき、日本への勧告として、「労働市場が二極化」→「日本は最も正規雇用が難しい国」という指摘もあるのではないかと考えている。
さて、
この本を通じて知りたかったのは、法改正の基礎となり、参考にしたという欧州の制度。とりわけ、ドイツに注目していきたい。日本がもし、フルタイムとパートタイムが同じ雇用形態であれば、参考になりそう。
しかし、大きく違うのは日本が企業別組合であるということ。欧州のような産業別組合であれば、「職務給」という視点で整えられる。
「日本型雇用慣行」をどのように考えていくかが、キモとなりそうだ。
それから、
個人的な興味は、日本がILO100号条約(同一価値労働同一報酬)に批准している点。
女性差別撤廃条約や同一価値労働同一報酬は、ILO条約に批准している国はずなのに、なぜ世界に比べて格差があり、問題となってしまうのか。
単純に、不思議。そしてそこに探究心。

■「同一労働同一賃金」のすべて 水町勇一郎



2019.05.19過去ログ

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