發王戦ってなに? ~天鳳予選で勝った~

こんにちは。髙倉 拓馬(メタビート)です。
今回は最高位戦が誇る全団体・一般オープンタイトル、發王戦について紹介させていただきます。

發王戦とは?

読み方は「りゅうおうせん」です。直近2年では日本プロ麻雀連盟所属、渋谷ABEMASの白鳥翔プロと日本プロ麻雀協会所属、U-NEXT Piratesの仲林圭プロが優勝されているので、名前は聞いたことがあるという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
發王戦は他のタイトル戦とは変わった形式でプロ予選・本戦が行われます。それが「トーナメント形式」です。
よくあるタイトル戦の予選ですと、一日で5半荘打ち、全体の上位何パーセントかが本戦に勝ち上がりといった形式が一般的かと思われます。ですがこの發王戦は、2半荘、あるいは3半荘(1~3回戦は2半荘、以降準決勝まで3半荘)を同じ4人で打ち、その卓内の上位2名が次の回戦に進む形式を繰り返して行われるのです。これをトーナメント形式と呼んでいます。
決勝に残るためには、プロ予選でこの形式を3回、本戦が1回戦~5回戦と準々決勝、準決勝があるので計10回のトーナメントを勝ち上がる必要があります。そして最後に決勝を5半荘行い、そこで優勝が決まります。
ルールは最高位戦ルールになります。(30000点持ち30000点返しウマ10-30)
詳細なルールはこちら(https://saikouisen.com/about/rules/)を、簡単に最高位戦ルールを知りたい方は私のnote(最高位戦ルールってなに?リーグ戦ってなに?|高倉拓馬/メタビート|note)をぜひご覧ください。

發王戦の魅力

①他では経験できない条件戦を堪能できる・練習のしがいがある

このルールは2半荘が終わった時に上位2位以内に入っていればOKというものです。1位である必要はありません。1半荘目が終わった段階で、各々が成績をメモし卓上に置き、2位以内に入る条件を確認し、最善の手段を模索します。


これは去年私が実際にプロ予選で使っていたメモになります。〇で示されているのが順位、プラスマイナスは30000点からの素点変動になります。
どうも私はこの時1半荘目は3着で、順位を一個上げないといけなかったようです。私に課せられていた条件は、

・4着の下家Aさんに2着順差、あるいは1着順差のとき6100点差つけられると順位が落ちる

・2着の対面Bさんに2着順差、あるいは1着順差のとき11500点差つけると順位が上がる
・1着の上家Cさんに3着順差、あるいは2着順差のとき17500点差つけると順位が上がる

なので2半荘目では、現実的には4着の人に抜かれないようにしつつ、2着か1着の人を抜くことで2位浮上を目指すことになります。このように、自分の都合がいいように着順操作をすることを「並びを作る」なんて呼んだりもします。
この「並びを作る」ことが非常に重要で、1半荘目で4着だった人は、大体1着の人を抜くことができません。(一応トップラスでひっくり返せるが、結構難しい)そのため4着のAさんは、、2着のBさんと3着の私をなんとしてでも下位に引きずりこむことが最大目標になります。
…と、このように、各々の条件を整理していくと、かなり色々なことが見えてくるものです。
1着の人は2位以内に入ればよいから、捌ける手を捌いて悪い手はさっさと手じまいしそうだ。1000点っぽかったら2着の人は1着の人にアシストや差し込みをすることもありそう。3着の人は4着の人の仕掛けをケアする場面もあるだろう。4着の人はたまに見逃しをいれてくることもあるかな?…ほかにも沢山考えられることはありそうです。
そして、オーラスに近づけば近づくほど「この人の着順を下げるアガリをしてはいけない」「この人からは〇点条件、あのひとからは△点で、ツモは×点以下じゃないと親被りで着落ちが出てしまうから…」という複雑怪奇な条件も時折生まれてきます。ふだん天鳳や麻雀店で麻雀を打つときは、その半荘の順位や期待値を最大化するような選択を取るのに対して、發王戦は「この並びでないといけない」というのがあるために、普通ではありえない見逃しや意図的な手牌の打点下げ、絞りやアシストも駆使して、頭をフル回転させて戦うのです。
このように、上位2位以内に入ればよい条件戦で生まれる他家の行動予測、またそれをもとに選択される打牌やリーチ、副露判断などが、發王戦最大の魅力と言ってよいと思います。
そして、条件戦に慣れている方はこの判断が滅茶苦茶に強く、そして速いのです。練習のしがいがあるルールになっています。
僕はまだまだひよっこなので、本戦まで最高位戦ルールも含めて沢山練習を積まねばなりません。
先日練習して面白かった場面を参考までに。

下家は1回戦トップで、あとは捌き切ればOK、そこまで得点が必要ない場面。
普段ならもろホンイツだろみたいな河だが、上記の条件から本当に爆速の手の可能性があると判断。速い手でホンイツが絡んでいるパターンも一応考えたが、オタ風が一個も鳴かれていないことからその可能性もかなり低そうと考えた。

オーラス。自分は3位で、条件が
・上、下から12000点、またはリーチ棒込み8000点
・対面から3200点以上直撃
・満貫ツモ
・対面がノーテンの時、下家と自分がテンパイ
という頭が壊れそうな条件だった。本当はもっと考察すべきところがあるのだが、ここでは省略。

別の半荘のオーラス。下家との2着順差を維持すれば自分は突破だったが、その条件が意外に面倒。
ツモ400-700以上1000-2000未満と、対面からの3900未満は下家の着順を上げてしまうのであがれないが、1000-2000と5200以上は自身がトップ逆転できるのであがれる。この手はもしかすると逆に副露手のほうが都合がいいかもしれない。

②他団体、一般の方も集まる特大オープンタイトル

このタイトル、特大なのです。プロ予選には最高位戦以外の団体のプロも多数いらっしゃいますし、一般予選も用意されています。また、天鳳を使った予選もあり、「天鳳ワンデー予選」と「天鳳鳳凰卓予選」があります。前者は大会ロビーを使った連続5戦成績上位4人➝決勝2半荘の優勝者、後者は一か月間にわたって行われ、鳳凰卓で100戦以上打った人の中で東風・東南上位各2名が本戦に進むことができます。



様々なフィールドから多くの方が集まっているので、普段戦わない人と同卓できる貴重な機会です。また、人数が多い分、勝ち上がる喜びはひとしおでしょう。これが發王戦第二の魅力です。

さいごに「鳳凰卓予選で勝った・發王戦に思うこと」

ここまでご覧くださった皆様、本当にありがとうございます!
今回も今回とて難しい記事になってしまいました(笑)
なぜ私が今この記事を書くに至ったかというと、予選の一つである「鳳凰卓予選」に勝ち上がったからなのです。そして、この思い入れのある發王戦の紹介をぜひしたいと思い、記事にしました。
私が大学一年生でまだプロにもなっていないころ、ありえないほどの運量で鳳凰卓予選を勝ち、アマチュアで發王戦に出場しました。その時は、今でも敗因を鮮明に覚えているくらい悔しい結果になりました。
その悔しさもあって最高位戦に入会し、今まもなく丸3年経とうとしていますが、コロナもあり發王の開催は一回(予選落ち)、そして他のタイトルもすべて予選落ちと、ここまでタイトル戦はとても不甲斐ない結果になってしまいました。
そこに大チャンスが到来しました。検討グループでいつも議論しあっている若色良樹p(天鳳:帰りたい。)との最終日デッドヒートを制して、鳳凰卓予選を2位通過することができました!

今回はこちらから本戦出場ができることになりそうです。本戦まではまだ時間があるので、沢山練習をして備えます。
そして、もう一つチャンスなのが天鳳のポイントです。11月でかなり稼ぐことができました。天鳳十段は私の憧れで、今欲しくてほしくてたまらないものの一つです。今月は日本プロ麻雀協会主催、日本オープンの天鳳予選ですので、それをこなしながら十段を狙っていきます。
これからも気負いすぎずに戦っていこうと思います。同卓して下さる皆さん、クソ生意気な僕とセットをしてくださっている方々、いつもありがとうございます。また僕を強くしてください!!!!!


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