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「869万7600円がたった1日、僅か4競走から発生する日がある」

「869万7600円がたった1日、僅か4競走から発生する日がある」

この869万7600円もの懸賞金が発生する1日とは、2024年3月30日に行われたドバイWCデー。2024年は総勢22頭もの日本馬が遠征した事もあり、多数の関係者が現地へ帯同。その中で何度も耳にした印象的な話をご紹介します。
 
「今は国内より海外のほうが旨いと考えている関係者がほとんど」
 
「イクイノックスがレーティング世界1位を獲得したように日本馬が弱いと言われたのは過去。正直、相手関係を考えれば国内で使うより海外で使うほうが上の着順に来られるし賞金も魅力的」
 
このように今や「日本馬>海外馬」と位置づける関係者が大多数。今回は日本馬の勝利こそなかったものの、馬券販売が行われたドバイWC・ドバイSC・ドバイT・ドバイGSの全てで日本馬が2着に入ったように、日本馬が大きな存在感を示しました。
 
そのドバイWCデー、馬券販売が行われた4競走で発生した賞金は総額36億2400万円(1米ドル151円で計算・META POGで懸賞金が発生する1着から5着に限ったもの)。
 
有馬記念やジャパンCの1着賞金が5億円、その7倍以上の金額が僅か4競走で動くという事を考えれば、賞金額の大きさはお分かり頂けるでしょう。この4競走の賞金をMETA POGでの懸賞金額に換算すると以下の通り。

ドバイWC

総額417万4848円の懸賞金

ドバイSC

総額208万7424円の懸賞金

ドバイT

総額173万9520円の懸賞金

ドバイGS

総額69万5808円の懸賞金

※4競走の懸賞金総額

869万7600円 

ドバイWCで2着に敗れたウシュバテソーロ、1口指名で28万9920円、3口独占指名で86万9760円獲得と、仮に2着でもこれだけの懸賞金が発生。しかもMETA POGでは海外遠征に関わる諸費用や追加費用が生じることは一切必要ありません。
さらに160年以上の歴史を誇り、1着賞金およそ4億2000万円となるメルボルンCを開催していたオーストラリアでは2017年、当時世界最高賞金額(1着:約6億7000万円)のジ・エベレストというレースが新設され、2019年にもザ・ゴールデンイーグル(1着:約5億円)が新たに設けられました。
 
ザ・ゴールデンイーグルは2023年、日本馬のオオバンブルマイが勝利したことでもその認知度を大きく上げたレースかと思いますが、このように世界的な「高額GIの新設の潮流」はまさにとどまるところを知りません。
 
その流れに追随するかのように日本でも2019年から新たな格付けとして、準重賞として位置づけられるリステッド競走を採用し、条件戦でも賞金を増額。
 
それだけでなく、3歳馬の頂点を決める日本ダービーは2023年から1着賞金が3億円にアップ。2011年の1億5000万円から比べれば倍増となりました。皐月賞、菊花賞もそれぞれ5000万円アップしており、三冠制覇のボーナスを加算すれば総額10億円にものぼる賞金となります。
 
更には古馬最高峰・ジャパンCや有馬記念が2022年から1着賞金4億円に。翌2023年には5億円へ。この2年間で一気に2億円増となっており各競走の賞金も軒並み上がり続けている状況。海外レースの賞金が上がる一方で、日本競馬でも賞金バブルの歩みは着実に進んでいる事がお分かりかと思います。
 
勿論、これには海外からの出走馬を呼び込むため、また日本のトップレベルを囲い込んで魅力あるレースを開催することで、より多くの競馬ファンを取り込むみたいという狙いもありますが、一番には賞金を釣り上げて「馬主のなり手」を増やす事が目的の根幹として存在します。
 
というのも、いくら質の高い競走馬を生産したとしてもそれに旨味を感じて購入し「賞金を得よう」と考える買い手の人間、つまり所有する馬主(個人・法人や一口クラブも含め)がいなければ、当然の話、デビューさせる事すら叶わないからです。
 
ご存知の通り、社台グループの企業努力もあり日本の競走馬作りは世界に通ずると言っても過言ではなくなった今。実際に海外のビッグレースや高額賞金レースで日本馬が結果を出す事も当たり前の時代になってきました。
 
そして生産馬の質が向上すればそれに投資する馬主が増えるのは必然で、結果的にレース賞金の増額、高額賞金レースの新設という好循環を生んでいるのが日本のみならず世界的な競馬サイクル。
 
つまり、今は「馬主が最も得をする時代」であり、今後はその流れが加速する事も確実視されております。
 
前述したようなジャパンCや有馬記念、既存の海外GIでも更なる賞金増が見込まれ、あるいはサウジCなどの高額賞金を獲得できるGIの新設、またブリーダーズCや香港国際競走、ドバイWCデーのように高額賞金のレースを集中的に行うイベントの新たな開催も視野に入れられているとの事。国内のレースはもちろんの事、今後は海外GIも大注目となって参ります。