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ちょこっと映像お仕事こぼれ話 完パケってなに?

本当に物事が変化していく速さには驚きます。
時代の流れが早いのか、自分の進むのが遅いのか?
ちょっとよそ見をしているとガラリと風景が変わっていることが
多くなっていると感じる今日この頃。

長い間、映像制作に携わる仕事をしてきて、いろいろな経験をさせて頂きました。

そこで、覚え書きのつもりでつれづれを書き綴っていきます。
あまり知る機会がない(もしかしたら興味がない?)中の人の話です。

今回は、完成したTVCMをどのように納品しているのかです!

完パケとは「完成パッケージ」

企画、演出、撮影、オフライン(仮編集)、オンライン(本編集)、
MA(音入)
ざっくり制作の過程はこんな感じです。
多くの制作やキャスト、スタッフが関わって完成に至るわけですね。
最後に完成したものをを局に納品します。

これが「完パケ」です。
完成原版が正式名称ですが短く完パケと言う方が多いのではないかと
想います。

それではどの様な形態で納品をするのでしょうか?
フォーマットが決まっています。
これは、アナログからデジタルに変わっても同じでした。
いや、正確に言うと細かいところは変わりましたが、、

完成した映像はビデオテープで各局に納品するが一般的です。
そのフォーマットというのは、

最初にカラーバーを45秒間入れます。
その後にクレジット
3秒間の捨てカット
本編
3秒間の捨てカット

というものです。
それでは、それぞれを説明しますね。

かんぱけ

カラーバー(color bar)
放送局が一日の番組が終わって休止している際に流しているアレです。
というものの最近は目にしていないのですが、まだ流しているのかなぁ?
あの何色もある帯の画ですが、重要な役割があるんです。
それは、明るさ(明度)、色の濃さ(彩度)、色の種類(色相)の基準を
出しているのです。
カラーバーを出力して波形モニターという計測機器でデッキの調整をする訳です。
同時に0dbの大きさで1kHzのトーン信号を入れます。
というと難しく聞こえますが、ピーっというあの音です。
これは、音の大きさの調整基準にします。

これらを調整するので45秒間と長く入れているのです。

クレジット(credt)
クレジットは、その映像の内容をわかるように伝えるものです。
昔は手書きしたものをカメラで撮影して録画したのですが、
今は当然イラストレーターなどで作成したものを使っています。
内容としては

クライアント(広告主)
タイトル
10桁コード
本編の長さ
音声のタイプ
広告代理店
制作会社
録画日時
備考

などを記載します。

タイトルなどは使ってはいけない文字など細かい決まりがあります。

10桁コードはCMバンクというところに登録するためのもので、それぞれ本編一本一本に発行されます。

本編の長さはそのCMが何秒かです。多いのは30秒、15秒、たまに60秒です。昔は45秒というものもあったのですよ。

音声のタイプとはステレオかモノラルかということですが、モノラルという事はまずないですね。

欄外にはこの完パケを作ったポストプロダクションの名前が入ります。
このクレジットの終わりのタイミングで短く1kHzの音が入ります。
これは、これから3秒後に本編が始まりますよという合図です。

捨てカット
本編の前後には3秒づつの捨てカットをつけます。

捨てカットというのは、最初のカットの3秒前と最後のカットの3秒後を
ノリシロとしてつけるものです。
その名前の通りにオンエアされることはなく、捨てられてしまうものです。

それでは何故そんなものを付けるのかというと、送出つまりオンエアする
際に切り出しのタイミングが遅れたり、早まったりした際に意図しない
映像が放送されることを防ぐためなのです。

今はデジタルなのでないとは思いますが、昔はままありました。
CMの頭か終わりに画が止まっているのを見たことはありませんか?
あれが捨てカット部分です。

作れる場合にはその前後のカットを伸ばしますが、複雑なCGや合成など
動画で作ることが困難な場合はそれぞれの静止画をつけるのでそのような
事が起きるのです。
なぜオンエアのタイミングがずれるのかは、いろいろな理由があるのですが
長くなるのでまたの機会に、、

本編
そのとおりに本編です。

オンエアでは一秒間に30枚の画が送出されます。
30秒では900枚、15秒では450枚の画が必要です。
この一枚の画の単位をフレームと言います。
1秒間で30フレームということです。

本編の映像にはMA(マルチオーディオ)で調整された音声や音楽、効果音をつけます。

音の大きさはオンエアされた時にいきなり大きな音にならないように、決められた基準内に収めます。

もうひとつ、本編の初めと最後には15フレームの無音部分を付けなくてはなりません。これは音の切れ間をいれないと慌ただしい事と、先ほどのお話した送出のタイミングがずれた場合に音声が切れてしまうのを防ぐためです。

これをノンモンと言います。
ノンモンとはノンモジュレーションの略で波形がない、つまり音声が入っていないという事です。
フィルムの時代に音声は光の波形を書き込んでいた名残の呼称ですね。

その他にも、映像に関してはハーディングチェックという点滅の基準や明るさ色の上限値などの細かい規格があります。

キューシートと呼ばれる録画内容を記載する紙を書き込んで、 同封します。
最後に、原版と判るシールをテープケースに貼って作業は完了です。

こうして完成原版、完パケとなるのです。
お疲れさまでしたー。

この後に局に納めるためにプリント作業があるのですが、
そのお話はまた今度の機会に、、

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