自著 「グッバイ・ドリーム」について



 この「グッバイ・ドリーム」について、色々思うことがあるのでちょっと吐き出します。
 この作品は、今となっては僕の一番のお気に入りなんですが、実は投稿した当初では、これで完成させていいのかとずっと迷っていました。理由としましては、橙の自己完結で強引に話を畳んでしまった事が本当に作品として良い方向に働くの分からなくなったからです。
 これは僕の自論ですが、怒りとか葛藤などといった感情、本作の場合は反抗期と形容されていますが、そういったものは基本的に1人で勝手に終わるものだと思ってます。フィクションでは、話を盛り上げる為に、他人に諭されたり、何か大きな出来事に巻き込まれたりなどして主人公が成長していく訳ですが、現実でそういったイベントが起きる事はあまり無いんじゃないかなと思います。
 ですから、リアリティを出す為にもある程度現実に沿った立ち直り方を取る事にしました。一応藍が橙を追ってきた事が、橙を立ち直らせるきっかけとなった訳ですけど、特別大きな出来事であった訳でもなく、本当に些細なものでしかないと思います。ですから、これは橙が勝手に自己完結して終わった話なんです。藍も橙を見つけたと思ったら、まあ、泣きはしましたけど、急に立ち直っているんですから、そりゃ困惑したと思いますよ。しきりに悩み事を聞こうとしたけど結局答えてくれないし、予兆すらも感じられないまま色々と終わった訳ですから。
 そうやってこの話は、保護者が何も気付けないまま、勝手に橙が自己完結して終わったんですけど、やっぱり強引過ぎたのかなって思ったんですよね。勿論、橙の心持ちが変化していく様を力の限り丁寧に書いたつもりだし、実際そうやって人は立ち直るんだと僕自身信じている訳ですから、間違ってないんだとは思っていたんですけど、それでも、この展開で面白いと思わせられるかと不安な思いで一杯でした。
 そうして実際に投稿して反応を見てみたところ、これが思っていた以上に好評で、凄く嬉しかったですね。みんなこの作品に共感してくれているんだと思いました。決して面白いストーリーがある訳ではないので、エンタメ要素はあんまり無いと思うんです。ですから、この作品が評価される要素としては、読者にいかに橙の心情に共感してもらうかだと思ってて、実際にそれが成功してとても満足しています。
 結局、この話は僕が抱えていたルサンチマンを発散させる為のものだったんですけど、書き終えた後、異常なくらいすっきりしたんですよね。憑き物が落ちたみたいな、自分の中で消化出来た感覚がありました。
 これは最近気付いたんですけど、言語化する事で気持ちが落ち着くんですよね。自分の感情を明確な言葉にする事で先に進めるみたいな感じなんですよ。小説を書くのが上手くなったのも出来るだけ言語化をしようと努めていたお陰なんだろうなって思います。
 あとは、最後に橙に謝りたいですね。未来の橙はこんな感じになるのかなあ、なんて思いながら書いてたんですけど、書いてるうちに可哀想になってきちゃって、投稿した後はずっとごめんなあって思ってました。橙、ごめんなあ。これから頑張ってね。

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