米イラン問題は激化。FRBはトランプ政権に待った

米国とイランとの間の対立は25日も一段と高まり、米国が前日に発表した制裁措置についてイランのロウハニ大統領が「知的」面で問題があると批判した一方、トランプ米大統領はイランが攻撃すれば米国は「圧倒的な力」で対応する姿勢を示した。

イラン大統領、米国を激しく批判

イランのロウハニ大統領は、同国の最高指導者ハメネイ師に対する米国の新たな制裁を批判し、ハメネイ師は海外に資産を所有しておらず、制裁は失敗すると述べた。

ロウハニ大統領は「米ホワイトハウスの行動は知的障害があることを意味している」と述べた。イランはこれまでトランプ米大統領に対して同様の表現を用いたことがある。

対話の温度感にも差

こうした中、イスラエルを訪問中のボルトン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)、米国は対イラン制裁を強化したものの、依然としてイランとの交渉を望んでいると指摘。

ただイランは米国と交渉する意味はないとの立場を表明。イラン外務省のAbbas Mousavi報道官はツイッターへの投稿で、イランの最高指導者ハメネイ師や政府高官に対する追加制裁で両国の外交チャネルは永久に閉ざされたとの見方を示し、「自暴自棄になったトランプ政権は、世界の平和と安全維持のために築かれた国際的メカニズムを破壊している」と批判した。

国営ロシア通信(RIA)によると、ロシアのラブロフ外相はイランを巡る状況は危険なシナリオに向かっているとの見解を表明。

米国防長官代行に就任したばかりのマーク・エスパー氏は、週内にブリュッセルで開かれる北大西洋条約機構(NATO)国防相会議に出席する際に、イランとの対立を回避する米国の取り組みへの賛同を呼び掛け、外交による解決を模索する考えを示した。

FRBは「短期的な政治圧力から隔絶」

過激的対処をとるトランプ政権に待ったがかかった。

パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は25日、FRBは「短期的な政治圧力から隔絶」していると表明し、トランプ大統領の利下げ要求をけん制した。

金融政策については、米経済が堅調に推移すると見込まれる一方、通商問題などを巡る不確実性が利下げの根拠になり得るかどうかを見極めようとしていると説明。「不確実性が引き続き見通しを圧迫し、追加緩和の必要性につながるのかといった疑問にわれわれは取り組んでいる」とした。

トランプ大統領は現状の金利に対して高いと評価しており、FRBに対して利下げを要求している。
また、先日もFOMCの結果に対して批評したばかりだ。こうしたなか、FRBが政治介入にNOを表明した。

但し、市場は7月に利下げすることが前提になっており、FRBが利下げを急いでいないことと捉えこの日の株価は下落した。

総括

ここのところトランプ大統領の過激的対処が目立つ。

・イランへの攻撃承認
・FRB議長の解任模索
・日米安全保障条約の破棄

これらの情報リークは意図的である可能性が高い。

米国第一主義を掲げるトランプ大統領の政策は、世界中に散らばった米国資産を国内に戻すことを狙っていると思われる。

資産とは、米ドル、米企業、米国人、米軍隊すべてとみられ、発言や経済効果からこれが現れている。

グローバリズムからナショナリズムに転換されているが、景気後退と進行が繰り返されるなかで、歴史的にも繰り返されている。

但し、各国に散りばめた火種をどうおさめるのか。
その出口があまり見えず、これが世界情勢の先行き不透明の原因と考える。

いずれにせよ、平和的解決を望むばかりです。

出典

米・イラン対立深まる、トランプ氏「圧倒的な力」で攻撃に対応

最高指導者ハメネイ師への米制裁は失敗する=イラン大統領

FRB議長、トランプ氏の利下げ要求けん制:識者はこうみる

G20での米中首脳会談、通商協議再開が目的=政府高官